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下肢静脈瘤の治療法
下肢静脈瘤には決まった治療法はなく、患者さんごとにいくつかの方法を組み合わせて治療します。近年、主な治療法として、カテーテルという医療用の細い管を血管内に挿入して行う血管内治療が広く行われるよう...
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下肢静脈瘤の治療法

公開日 2018 年 10 月 05 日 | 更新日 2018 年 10 月 05 日

下肢静脈瘤の治療法
木川 幾太郎 先生

医療法人横浜柏堤会 戸塚共立第2病院 心臓血管外科部長  横浜戸塚下肢静脈瘤センター センター長

木川 幾太郎 先生

目次

下肢静脈瘤には決まった治療法はなく、患者さんごとにいくつかの方法を組み合わせて治療します。近年、主な治療法として、カテーテルという医療用の細い管を血管内に挿入して行う血管内治療が広く行われるようになりました。

今回は戸塚共立第2病院心臓血管外科部長である木川幾太郎先生に、下肢静脈瘤の治療法や合併症などについてお話を伺いました。

治療法の種類

ふくらはぎ

下肢静脈瘤の治療法は、大きく分けて、進行の抑制や再発予防のための圧迫療法と、根治をめざす手術治療の2つに分かれます。

進行の抑制や再発予防のための圧迫療法

圧迫療法とは、下肢全体を弾力性のある医療用のストッキングで圧迫することで、下肢静脈の血流を促す治療法です。軽度の下肢静脈瘤に対して行います。

圧迫療法は、できてしまった下肢静脈瘤を治すことはできません。あくまでも下肢静脈瘤の進行を抑制したり、治療後の再発を予防したりするために行います。

根治をめざす手術治療

手術治療の種類

下肢静脈瘤の手術治療には、いくつかの種類があります。一般的に行われている手術は、次の5種類です。

  • 血管内治療(血管内レーザー焼灼術・血管内高周波焼灼術)
  • ストリッピング手術
  • 静脈瘤切除
  • 高位結紮(けっさつ)
  • 硬化療法

これらの治療法から、患者さんの状態や希望に合わせて適切な治療法を選択します。場合によっては、手術治療と圧迫治療を組み合わせるなど、複数の治療法を組み合わせることもあります。

手術を行うタイミング

下肢静脈瘤が進行し、足のむくみやだるさ、血管の拡張などの症状がみられる場合は、患者さんとよく相談したうえで、手術するかどうかを決定します。下肢静脈瘤は直接命にかかわる病気ではないため、患者さんが手術を希望されない場合には、無理に手術をすすめることはありません。

ただし、下肢静脈瘤によって、皮膚のかゆみや湿疹、色素沈着、潰瘍(かいよう)(深くえぐれたような状態)が生じている場合は、血液の流れが著しく悪化している状態であるため、原則手術治療を行います。

一般的に行われている手術治療

ライト

第一選択の治療法となることが多い「血管内治療」

血管内治療とは、血管内にカテーテルと呼ばれる医療用の細い管を挿入して、血液の逆流が生じている血管を、レーザーまたは高周波で焼灼(しょうしゃく)し、閉塞させる治療法です。血液が流れなくなった血管は時間と共に繊維化し、やがて消失します。レーザーを使う治療法を血管内レーザー焼灼術、高周波を使う治療法を血管内高周波焼灼術といいます。

かつては、後述するストリッピング手術が主な治療法でしたが、血管内治療が保険適用となってからは、血管内治療が第一選択の治療法として広く行われるようになりました。

当院でも、ほとんどの患者さんに対して、高周波を使った血管内治療を行っています。

血管内治療は、局所麻酔で行い、日帰り手術が可能です。しかし、重症化した下肢静脈瘤の場合、患者さんの心身の負担を軽減するために、全身麻酔をかけて意識がない状態で治療することをおすすめします。当院で全身麻酔による血管内治療を行った場合は、1泊2日の入院をしていただきます。

血管を引き抜く「ストリッピング手術」

ストリッピング手術とは、足を2箇所切開してワイヤーを通し、逆流が起きている血管を引き抜く治療法です。血管内治療が登場するまでは、下肢静脈瘤の主な治療法として行われていましたが、近年はあまり行われなくなってきた治療法です。

しかし、まったく行われなくなったわけではありません。また、血管内治療と併用してストリッピング手術を行うことがあります。たとえば、血管内治療によって皮膚に色素沈着が生じると考えられるときに行います。血管内治療は熱を使って血管を焼灼する治療のため、皮膚表面に非常に近い血管(副伏在静脈など)を治療すると、皮膚に茶色いシミのような色素沈着が起きることがあります。また、皮下脂肪が少ない膝関節内側(膝の内側)にある血管を治療すると、皮膚が茶色くなることがあります。とくに色白の患者さんは、色素沈着がより目立ちます。このように、血管内治療によって皮膚に色素沈着が生じると予想される場合は、血管内治療とストリッピング手術を併用しています。

静脈瘤を取り除く「静脈瘤切除」

静脈瘤切除とは、静脈瘤がある部分をいくつか小さく切開して、そこから静脈瘤を取り出す治療法です。血管内治療やストリッピング手術は血液の逆流を止める治療であり、これらの治療だけでは、ボコボコとした静脈瘤自体を消失させることはできません。

そのため、静脈瘤切除は、血管内治療と併せて行うことが多いです。

血管を縛って血流を止める「高位結紮術」

高位結紮(けっさつ)術とは、足の付け根にある血管を縛り、血液の逆流を食い止める治療法です。治療後の再発率が高いなどの理由から、近年はほとんど行われていません。

しかし、血管内治療だけでは血液の逆流を完全に止めることができないと判断した場合に、高位結紮術を併用することがあります。

たとえば、非常に太い血管に対してレーザーや高周波で焼灼しても、完全に閉塞させることができないことがあります。術中の超音波検査で、血流が完全に遮断されていないことがわかった場合には、再発を防ぐ目的で血管内治療後に高位結紮術を行います。

血液を固める「硬化療法」

硬化療法とは、血管を固める薬である硬化剤を静脈瘤に注入し、弾性包帯で圧迫して静脈瘤を潰す治療です。硬化療法は、軽度な静脈瘤に対して行うことが多く、気になる部分に対してピンポイントに治療できます。

外来で行うことができますが、茶色いシミのような色素沈着が生じることがあるため、患者さんにはそのようなデメリットもよくご説明したうえで行っています。

重症化して皮膚潰瘍が生じたときの治療

記事2『下肢静脈瘤の症状−初期症状はある?』でお話ししたように、下肢静脈瘤が重症化すると、血流が著しく悪化して皮膚潰瘍(かいよう)(深くえぐれたようになった状態)が生じることがあります。

皮膚潰瘍を起こしていると、炎症によって皮膚と静脈瘤が癒着(ゆちゃく)するため、静脈瘤を取り除く静脈瘤切除は困難になります(レーザーや高周波による血管内治療はできます)。

そのため、皮膚潰瘍が起きている場合には、静脈瘤を取り除くのではなく、静脈瘤を血管から切り離す離断術を行います。血管がボコボコとした状態は残りますが、時間が経つにつれて徐々に消失していきます。その後、皮膚科の治療をしっかりと受けていただくことで、皮膚潰瘍自体も徐々に治っていきます。

手術にかかる費用

当院で高周波による血管内治療を行った場合の費用は、以下の通りです。

  • 日帰り入院(局所麻酔:片足)…約5〜6万円(3割負担の場合)
  • 1泊2日入院(全身麻酔:片足)…約9〜10万円(3割負担の場合)

ただし、高額療養費制度というものがあるため、患者さんごとの年齢や収入によって定められた限度額以上の金額を支払う必要はありません(70歳未満の方は、窓口で限度額適用認定証というものを提示していただく必要があります)。

また、治療費は病院によって異なることがありますので、詳しくはご自身が治療を受ける病院の窓口にお問い合わせください。

手術に伴う合併症

創部からの出血

日帰りで血管内治療を行った場合、治療直後に出血を防ぐために4〜5時間圧迫しますが、翌日に創部から出血が起こることがあります。

1泊2日入院の場合は、翌朝まで弾性包帯で圧迫を続けるため、出血のトラブルが起こることは少ないです。

創部の感染

治療後、創部が細菌などに感染することがあります。糖尿病で免疫力が低下している方や、皮下脂肪が多い方に起こることがあります。

血栓症、塞栓症

血管内焼灼術特有の合併症として、ごくまれですが深部静脈に血栓ができることがあります(約0.05%)。また、その血栓が流れて肺につまる肺塞栓(エコノミークラス症候群)がおきることがごくまれにあるといわれています(約0.05%)。 

これらの合併症を予防するためには、術後早期に超音波検査を行ってその兆候を察知するとともに、術後は弾性ストッキングを3~4週間着用していただきます。

下肢静脈瘤は再発する?

未治療の部分が再発することがある

治療をした箇所の静脈が再発することはほとんどありません。しかし、治療をしていない箇所の静脈に再び静脈瘤ができることはあります。そのため、手術後に、長い時間立ち仕事をするときは、再発予防のために弾性ストッキングを着用しましょう。

気になる症状があれば病院で相談してほしい

木川幾太郎先生

下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではないため、手術するかどうかは患者さんと相談し、一人ひとりのご希望に沿った形で治療方針を決定していきます。たとえば、「症状はそれほど強くないが、血管が浮き出ているのが気になるから治療したい」、「症状は少しあるけど弾性ストッキングを着用して様子をみたい」など、患者さんの意向をよく伺いながら治療を進めていきます。

ただし、かゆみや湿疹などの皮膚に炎症症状が生じているときには、下肢静脈瘤が進行していることが考えられますので、早めに手術治療を受けていただくようにお話ししています。

「もしかしたら下肢静脈瘤かも」と思うような症状があれば、自己判断をせず、一度病院を受診してみてください。

 

1986年筑波大学医学専門学群卒業。成人の心臓血管手術を専門とし、心臓弁膜症、冠動脈疾患、大動脈解離、動脈瘤、末梢血管、バスキュラーアクセスなど約3000例以上の手術を行ってきた。「医師としての専門知識を患者様にお伝えしつつ、患者様のご希望に沿った最善のテーラーメイド治療を提供すること」をモットーに日々の診療に従事している。

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