院長インタビュー

質の高い医療の提供と地域医療の充実に取り組む名古屋記念病院

質の高い医療の提供と地域医療の充実に取り組む名古屋記念病院
長谷川 真司 先生

名古屋記念病院 病院長

長谷川 真司 先生

この記事の最終更新は2017年09月28日です。

1985年に開設された社会医療法人 名古屋記念財団 名古屋記念病院は、日本でも有数の人口増加地域である名古屋市東部に位置し、分娩や小児医療、そして高度ながん治療まで幅広く診療を行う総合病院です。この地域の中核病院として、同院が行っている取り組みに関して、病院長である長谷川真司先生にお話を伺いました。

 

 

 

当院は、がんと免疫を中心とした総合病院として、1985年に開院しました。その後、医療環境の変化や地域の医療ニーズに対応し、現在は、急性期医療を提供する地域の中核病院として、365日24時間体制で救急医療に積極的に取り組んでいます。病床数は464床であり、救急車受け入れ台数は年間4,000台を超えています。救急病院としては2次救急と指定されていますが、集中治療室(ICU)を備え、心肺停止の患者さんなども受け入れております。2.5次救急と自認し、日々患者さんを救うために努力しています。手術数では消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門)や胆管膵、呼吸器などの外科の手術が多く、そのほかに整形外科・泌尿器科・産婦人科などの領域の手術も数多く実施しています。

 

当院がある名古屋市天白区平針は、名古屋の中心部である伏見と、日本の工業(経済)をけん引している豊田市とを結ぶ地下鉄鶴舞線の中央に位置します。そのため、転勤などで名古屋以外から移り住んでこられる方も多くいらっしゃいます。環境のよさから子育てのために移り住む若い世代の方も多く、人口は増え続けてきました。15歳未満人口がほかの地域より多く、少子高齢化は、全国平均と比べて10年くらい進行が遅れています。当院は地下鉄・市営バスの最寄り駅から徒歩1分と交通のアクセスがとてもよく、子どもから高齢者の方まで、幅広く、たくさんの患者さんがいらっしゃいます。

 

 

当院は、1985年の開院以来、地域の医療ニーズに合わせて、病院機能を充実させてきました。

人口が増加し、ますます発展が見込まれるこの地域にとって欠かすことのできない医療機関として、1993年に救急病院の指定を取得し、その後、産婦人科、小児科なども開設しました。

また2007年に災害拠点病院、2009年に地域医療支援病院、2010年に愛知県がん診療拠点病院として、それぞれ指定・認定を受けています。

2011年には社会医療法人となり、地域のみなさまに不可欠な、公益性の高い医療機関として救急医療・小児医療などに、より力を注いでいけるよう院内整備を行っています。

当院は、2001年に愛知県ではじめて「開放型病床」を実施しました。開放型病床とは、かかりつけ医の先生と当院の医師とが、入院中に主治医・副主治医として協力して診療するための専用の病床です。患者さんは退院後も引き続きかかりつけ医の先生が診療するため、安心して継続性のある治療を受けることができます。

最近では、子どもの目の病気を得意とする開業医の先生からの依頼があり、手術を当院医師と一緒に行い、術後の管理は当院眼科医と小児科医で行った事例もありました。当院は入院を要する小児患者さんのケアをもともと多く実施していますので、安心して任せていただきました。

これからも地域の患者さんを地域全体でケアできるよう、開業医の先生方との連携を大切にしていきます。

1985年の開院当初から、がんを重点的に治療する腫瘍科を診察科目に取り入れ、がん医療に積極的に取り組んできました。その取り組みが評価され、愛知県がん診療拠点病院に指定されています。当院には、30年間蓄積された臨床データと豊富な臨床経験を積んだ優秀ながん治療医がおり、エビデンス(証拠)に基づいたがん治療を確実に行う医療体制があります。

内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科などにはその分野におけるがんの診断・治療の専門医師がおり、多職種で協力して診療にあたっています。

たとえば、胃がん大腸がんなど消化器のがんにおいては、消化器内科、消化器外科、化学療法内科(抗がん剤治療の専門家)が毎週カンファレンスを行い、診断や治療方針を決定します。手術(拡大根治手術、機能温存手術など)、抗がん剤治療、放射線治療などまで、病状に応じた幅広い治療を行っています。また栄養サポート、口腔ケア、疼痛対策などはがん治療専門医のほか認定看護師、薬剤師、管理栄養士、提携歯科医師など多職種でチームを組んで取り組んでいます。さらにがん相談支援センターでは医療ソーシャルワーカー、臨床心理士なども含めみんなで患者さんや、患者さんのご家族のさまざまな問題にも取り組んでいます。

2001年には地域のみなさんからの要望もあり、現在の産科病棟を開設しました。自然分娩を基本に、分娩時の立ち会い出産や、母乳哺育、母児同室なども推進しています。当院がある天白区には、分娩ができる施設が当院と一か所のクリニックとの2つしかなく、出産ができる総合病院としての自負を強くしています。高齢出産や内科疾患を持つ方に対しては、総合病院であることをいかし、妊娠中から分娩まで、産婦人科だけではなく、内科医や小児科がチームを組んで見守っています。

最近は、若年層における婦人科検診が盛んになってきました。当院では、婦人科での子宮がんと外科でのマンモグラフィを同日検診することができます。たとえ妊娠中に悪性腫瘍の初期病変が見つかっても、慎重に経過を観察し、出産後に手術をして完治するという例が年間に7、8件ほどあります。むしろ妊娠をきっかけにがんを早期に発見できたと考えられるでしょう。

小児医療については、地域医療を充実させるため、1996年に小児科を開設しました。そのときに赴任した最初の小児科医が私でした。現在では大勢の小児科医がおり、365日24時間で小児の救急医療に対応できる体制を敷いています。

当院では、地域のみなさまがこの地域で安心して出産や子育てができるよう、これからも産科および小児科のさらなる充実に取り組んでいきます。

院長に就任してすぐに、職場環境改善チームを作りました。「職員が自分の仕事に満足していなければ、患者さんにも満足していただけない」と思い、さまざまな職場環境改善に努めてきました。

以前から職員が子育てと仕事を両立できるように、就学前のお子さんを預かる院内託児所を設置していましたが、さらにお子さんが小学校に入学して学童保育に通うようになると、病院が夕方車を出して、学童保育の施設まで職員のお子さんを迎えに行き、病院に連れてきて職員と一緒に帰宅する、という送迎支援をはじめました。そのほか、食堂を充実させるなど、職員全員の満足度を高める努力をしています。

当院は、もともと地域連携に力を入れており、開放型病床や依頼検査システムといった地域の開業医の先生方との連携にいち早く取り組んできました。このような取り組みが認められ、2009年に地域医療支援病院の承認を受けました。地域の開業医の先生方との連携を示す紹介率は76%、逆紹介率は79.7%と、非常に高い数を示しています。近年は、地域の歯科医の先生に、当院の入院患者さんの口腔機能を診療してもらう仕組みをつくり、医科歯科連携のネットワークを広げています。

また、当院は、愛知県で有数の民間医療福祉グループ「HOSPY(ホスピー)グループ」の一員です。HOSPYグループは、当院のほかに、腎・透析合併症治療や回復期、慢性期治療を担当する新生会第一病院、維持透析施設である7つのサテライトクリニック、地域介護の中心となる新生楽舎、身体障がい者の方のための施設である「あしたの丘」を有し、医療・介護・福祉の広い領域でサービスの提供をしています。グループ内の連携もいかし、これからも地域に貢献していきたいと思います。

長谷川真司先生

私たちは、「地域医療のために当院はなにをすべきか」と常に問い続け、患者さんの要望や地域のさまざまなニーズなど、社会情勢や医療環境の変化に対応してまいりました。これからの高齢化社会においては、「困ったときに頼れる病院、いつもそばにある病院」をめざし、当院の急性期医療をより充実させ、さらに地域連携を強化していきます。

子どもたちも街も成長し続けるこの地域で、唯一の総合病院として、優しさと安らぎを提供し、地域のみなさまからより信頼される病院をめざして、全力で取り組んでいきます。

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