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ED(勃起障害)の原因とは ~ストレスや生活習慣病は関係があるのか? 年齢の影響は?~

ED(勃起障害)の原因とは ~ストレスや生活習慣病は関係があるのか? 年齢の影響は?~
永尾 光一 先生

東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)、東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター...

永尾 光一 先生

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ED(勃起障害)とは、性交時に十分な勃起が得られなかったり、勃起を維持できなかったりして満足な性交が行えない状態のことです。20歳代から60歳代以上まで幅広い年齢に見られる病気であり、日本では成人男性の4人に1人がEDに悩んでいるといわれています。

EDの原因は大きく分けて心理的なものと、血管、神経、内分泌、陰茎自体などに異常がある器質的なものがあり、それぞれさらに細かい原因に分けられます。それでは、具体的にどのような原因があるのでしょうか。

通常な勃起では、性的刺激をもとに脳が陰茎部に信号を伝え、陰茎部の動脈を広げて血液を送りこむことで陰茎部を膨張させています。このメカニズムのうちいずれか一部分にでも異常が起こると、正常な勃起が得られなかったり、勃起が持続しなかったりして、EDとなります。

EDは勃起を妨げる原因によって3つのタイプに分けられます。

  • 心因性ED:体には異常がなく、心理的・精神的な原因により引き起こされるもの
  • 器質性ED:神経系、血管系、内分泌系、陰茎自体など、勃起に関与する体の異常により引き起こされるもの
  • 混合性ED:心因性EDと器質性EDの両方の原因が混在するもの

年齢によるタイプの違い

ほどんどの患者は心因性と器質性の原因が混ざった混合性EDであり、その中でも心因性の要因が強いもの、器質性の要因が強いものが存在するといわれています。

20歳代~40歳代の若い世代には心因性の要因が多く、加齢とともに器質性の要因が増える傾向にあります。

EDの原因は、心因性EDと器質性EDのそれぞれで、さまざまなものが考えられます。

心因性EDの原因は、ストレスや精神疾患、過去の体験といった心理的なものです。

さらに、日常の出来事がきっかけとなり、自分自身で心当たりがある現実心因と、心の深層に原因が存在し、現在の自分には心当たりがない深層心因に分けられます。

現実心因

現実の日常生活で受けたストレスや心理的な要因が原因・誘因となるものです。家庭や仕事でのストレス、心身の疲労や睡眠不足、性交に対するコンプレックスなど、多岐にわたります。

深層心因

日常的な心理的ストレスはなく、心の深層にある原因・誘因です。幼児期の体験や性的なトラウマなどによる、潜在的な憎しみ、ねたみ、不安などがEDを引き起します。

器質性EDは、勃起に関わる血管、神経、内分泌、陰茎自体の障害が原因で起こるEDです。このような身体的な障害は、以下の原因によって引き起こされます。

加齢

加齢はEDの主要なリスク因子といわれています。加齢に伴い血管や神経にさまざまな障害が起こりやすくなり、勃起機能は低下します。特に、血管の弾力が落ちることによる血管障害は、EDを引き起こしやすくなります。

生活習慣病

糖尿病高血圧脂質異常症などの生活習慣病は、いずれも血管や神経に障害を起こすため、EDを引き起こしやすくなります。

神経系の病気

正常な勃起には脳からの信号を陰茎に伝える神経系のはたらきが重要であり、神経系の病気がきっかけでEDになることがあります。EDを引き起こす病気の例には脳出血脳腫瘍(のうしゅよう)、脳外傷パーキンソン病、アルツハイマー病などがあります。

手術

前立腺がん膀胱がんなど、陰茎部周辺の臓器の病気では、手術時に陰茎部の血管や神経を傷つけることがあります。

けが

交通事故などのけがにより勃起に関わる神経や血管を傷つけた場合も、EDを引き起こすことがあります。また、明らかな事故以外にも、勃起に関わる神経や血管を傷つけやすい動作が原因となることがあり、スポーツタイプの自転車によく乗る人はEDになることがあるといわれています。

心因性要因、器質性要因のほかにも、特定の薬剤がEDの原因になることもあります。そのような薬の例には抗うつ薬や降圧剤、不整脈薬、消化管潰瘍(かいよう)治療薬、前立腺治療薬などがあります。

EDを改善するには、正しい原因を見極めたうえで、原因に応じた治療を行うことが必要です。さまざまな要因が折り重なっている場合も多く、自分だけで正しい原因を解明することは簡単ではありません。

EDは非常にプライベートな問題であり、日本ではED治療が保険適応外のため受診の割合は高くありませんが、心理的な要因がある場合などは相談するだけで改善する例もあります。受診に適した科は泌尿器科で、できれば診療内容にEDが含まれる病院を受診してみるとよいでしょう。

また、器質性のEDでは生活習慣病が原因となることも多いため、規則正しい生活を送るようにしましょう。

EDの原因は主に心理的なものと器質的なものがあり、細分化すると多岐にわたります。EDを疑っている場合は正しい原因を知ることが大切なので、まずは医療機関を受診してみるとよいでしょう。

EDを予防したい場合は、EDの原因を理解したうえで、日頃の健康管理を行うことが大切です。

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  • 東邦大学 医学部教授(泌尿器科学講座)、東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター(泌尿器科)センター長

    永尾 光一 先生

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