健康診断や人間ドックの結果を見るときに、よく目にする尿糖という検査項目。しかし、どういったことを判断するための指標かをはっきりと把握していない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、尿糖がどういった指標か、また陽性であるとどういった病気の可能性があるかを中心に解説します。
尿糖とは、尿中に排出されたブドウ糖のことです。通常であれば血液中のブドウ糖は腎臓の尿細管で再吸収されるため、ブドウ糖は尿中にほとんど含まれません。しかし、血液中のブドウ糖の値が160~180mg/dL以上になると腎臓で再吸収しきれなくなり、ブドウ糖が尿の中に出てくるようになります。この状態になると、尿糖の値は陽性を示します。
尿検査の結果、尿糖の値が陽性となった場合には、何らかの病気の可能性があります。尿糖が陽性になる主な病気として、糖尿病、甲状腺の病気や腎性糖尿などが考えられます。
糖尿病とは、インスリンと呼ばれる膵臓から分泌されるホルモンがうまく作用しなくなり、血液中のブドウ糖が増加して血糖値が高くなる病気です。糖尿病は高血糖の状態が続くことが病気の特徴であるため、尿糖が陽性であるだけでは診断することはできません。
したがって、原因が糖尿病かどうかを判断するためには、血液検査で血糖値やHbA1cの値を調べる必要があります。
甲状腺では、代謝や全身の機能を調整している甲状腺のホルモンが分泌されています。しかし、ホルモンの分泌が正常ではなくなると、全身にさまざまな症状が表れます。
甲状腺ホルモンの増加に伴い血糖値が上昇するため、尿糖が陽性になることがあります。甲状腺の病気を診断するために、全身に表れる症状の所見の確認と血液検査を行います。
腎性糖尿とは、血糖値は正常であっても尿にブドウ糖が混じる病態です。そのため、腎性糖尿かを診断するためには尿検査に加えて、血液検査で血糖値を実施します。
腎性糖尿は腎機能の低下などが原因で生じますが、治療の必要はありません。
尿糖の異常を放置すると糖尿病などの病気が重症化し、失明などの合併症を引き起こすリスクもあります。原因となる病気を確定するために適切な検査を受け、なるべく早く治療を開始しましょう。
サルスクリニックでは、血液検査や尿検査だけでなく糖尿病や糖尿病予備軍の方への食事指導も行っています。一緒に無理なく続けられる生活習慣改善方法を考えていきますので、まずは一度ご相談ください。
また、2回目以降の診療はオンライン診療にも対応していますので、直接のご来院が難しい方もぜひご活用ください。
医療法人社団ときわ 理事長、医療法人社団ときわ 赤羽在宅クリニック 院長
2008年、東京大学医学部卒業。卒業後の2年間の研修医生活のなかで多くの矛盾や課題を発見したことがきっかけで、初期臨床研修終了後は医療制度・政策を研究するためすぐに東京大学大学院に進学し、公衆衛生学を学ぶ。在宅医療には大学院生時代のアルバイトから携わる。医療の矛盾や課題は、在宅医療という形でも解決できると考え、以後、在宅医療を専門とする診療所で院長として診療に従事。約300名の主治医として、患者さんに寄り添った診療を提供。より質の高い在宅医療を多くの方に提供するため、2016年9月に在宅医療を専門とする「赤羽在宅クリニック」を開業し、日々診療に邁進している。
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