原因
筋緊張が低下する原因として、1)筋力そのものが低下する筋肉の病気、2)筋肉につながる神経もしくは神経筋接合部の異常による病気、3)筋の緊張をつかさどる中枢神経系の異常による病気が考えられます。
神経の異常
神経の異常によるものとして、脊髄性筋萎縮症とシャルコー・マリー・トゥース病があります。脊髄性筋萎縮症は、第5染色体にあるSMN遺伝子の劣性(潜性)変異によって引き起こされる病気で、子どもに発症するI型(重症型)、II型(中間型)、III型(軽症型)と、大人に発症するIV型に分類されます。シャルコー・マリー・トゥース病も主に遺伝子異常によるものですが、原因となる遺伝子異常や発症のメカニズムについてはまだはっきりと分かっていません。
筋肉の異常
筋肉の異常によるものには、Duchenne/Becker型(デユシャンヌ/ベッカー型)筋ジストロフィー(DMD/BMD)、福山型筋ジストロフィー、先天性筋強直性ジストロフィー、先天性ミオパチー、糖原病II型(ポンペ病)、ミトコンドリア病があります。これらの病気は、遺伝子変異や骨格筋の構造異常などによって生じ、多くは生まれつき発症しますが、糖原病II型とミトコンドリア病は成人に発症することもあります。
中枢神経障害
脳にある中枢神経が障害されることで筋緊張低下が起こる場合もあり、原因として新生児期の核黄疸による脳性麻痺、ダウン症、脳外傷、急性脳症、先天性大脳白質形成不全症があります。
脳性麻痺とは受精から生後4週間までの間に、何らかの原因で受けた脳の損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指す症候群のことです。
急性脳症は、ウイルスなどの病原体の感染をきっかけとして発症します。原因となる病原体の中ではインフルエンザウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、ロタウイルスが特に多いとされています。
そのほか
そのほか、神経・筋接合部の異常や自己免疫疾患に合併する筋力低下によって引き起こされる(重症)筋無力症、染色体や遺伝子の異常によって起こるダウン症候群やプラダー・ウィリ症候群、エーラス・ダンロス症候群も筋緊張低下の原因に挙げられます。
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