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かんがん

肝がん

同義語
肝臓がん
最終更新日:
2024年07月04日
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2024/07/04
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概要

肝がんとは、肝臓に発生するがんのことです。

肝がんは肝臓から発生した原発性肝がんと、ほかの臓器から転移して発生した転移性肝がんに大きく分けられます。さらに、原発性肝がんは肝臓を構成する肝細胞から発生する肝細胞がんと、胆管の細胞から発生する肝内胆管がんに分類されます。

肝がんのうち90%以上は肝細胞がんといわれており、一般的に肝がんとは肝細胞がんを指します。

原因

肝がんの主な発症原因は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスへの感染です。長期間にわたって肝細胞に慢性的な炎症が加わり、炎症や細胞の再生を繰り返すことで遺伝子が突然変異し、がん細胞が発生すると考えられています。

近年では、肝炎ウイルスへの感染以外に、アルコールの過剰摂取によるアルコール性肝障害や、メタボリックシンドロームによる代謝異常に関連する脂肪性肝疾患(MASLD)が原因で肝がんを発症する患者が増えています。なお、飲酒や肥満のほかにも、喫煙や食事内容、糖尿病などの基礎疾患も肝がんの発症に関与していると考えられています。

症状

肝がんは、進行しても自覚症状がない場合が多いといわれています。

進行してがんが大きくなると、上腹部の張りや痛み、圧迫感などが生じ、やせ体型の方は体表面からしこりが触れるようになります。そのほか、胆汁の通り道である胆管ががんで圧迫されると胆汁がうっ滞し、皮膚のかゆみや目・皮膚が黄色くなる“黄疸(おうだん)”の症状がみられます。

肝臓には体内の有害物質を解毒するほか、止血作用を持つ凝固因子や体の組織を作るために必要なタンパク質を作るはたらきがあります。肝がんがさらに進行するとこれらの機能が大幅に低下する“肝不全”という状態になります。

検査・診断

肝がんが疑われるときは次の検査を行います。

血液検査

肝臓の機能の状態、肝炎ウイルス感染の有無などを調べるため血液検査を行います。また、肝がんは発症すると“AFP”や“PIVKA-Ⅱ”という血中の腫瘍(しゅよう)マーカーが高値になるため、診断の手がかりの1つとしてこれらの値を測定します。ただし、腫瘍マーカーの結果は必ずしも正確ではないため、血液検査だけでがんの有無を判断することはできません。

画像検査

がんの有無や大きさ、位置、広がりなどを調べるために画像検査を行います。

まず行う画像検査は超音波検査(エコー検査)です。体への負担なく短時間で行うことができ、簡易的にがんの有無を評価できます。ただし、超音波検査はがんの広がりや性質などを詳しく観察することはできないため、精密検査のために造影CT・MRI検査を行います。

治療

肝がんの進行度や全身の状態によって、以下のような治療を行います。

手術

がんが発生した部位とその周辺の肝組織を切除する治療です。がんが肝臓内にとどまっており、がんの数が3つ以下、なおかつ肝臓の機能が保たれている場合に推奨されます。

また、肝臓の機能が著しく悪化して適合条件に合致する場合は、肝移植が適応になることがあります。肝移植の適合条件には“ミラノ基準”や日本独自の“5-5-500基準”があります。

  • ミラノ基準……門脈・静脈・胆管などの脈管への広がりや肝臓以外への転移がなく、がんの数が3つ以下でがんの直径が3cm以内、または、がんの数が1つならがんの直径が5cm以内
  • 5-5-500基準……門脈・静脈・胆管などの脈管への広がりや肝臓以外への転移がなく、がんの直径が5cm以内かつ5つ以内で、肝がんの腫瘍マーカーであるAFPの値が500ng/mL以下

ラジオ波焼灼療法

体表面から肝臓に発生したがんに針を刺し、ラジオ波と呼ばれる特殊な電気を通電して高熱を発生させることでがんを死滅させる治療法です。

手術のようにお腹を切開する必要がないため、体への負担を抑えることが可能です。

肝機能や血液凝固機能、腎機能がある程度保たれており、がんの数が3つ以下かつ3cm以下のケースで適応となります。

カテーテル治療

足の付け根などの太い血管から、カテーテルと呼ばれる細い管を肝臓まで通して行う治療です。

抗がん薬を直接注入する“肝動注化学療法”、がんに栄養を送る血管内に固まる物質を注入して閉塞(へいそく)させる“肝動脈塞栓療法(かんどうみゃくそくせんりょうほう)”などが行われます。肝動脈塞栓療法は少し肝機能の悪い方や手術が適応とならない方などにも行うことができ、適応範囲が広く、繰り返し行えるという利点があります。抗がん薬の注入と血管の閉塞を同時に行う“肝動脈化学塞栓療法”として広く行われています。いずれもレントゲンやCTなどの画像を見ながら体内にカテーテルなどを挿入して治療する画像下治療(IVR)です。

なお、これらのカテーテル治療は、主に3cm以上の大きさのがんが複数あるケースなどで適応となります。

薬物療法

がんが肝臓以外に転移している場合や、肝臓内にとどまっていても手術やラジオ波焼灼療法、カテーテル治療などが行えない場合は、血管新生阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬などによる薬物療法を行います。

まず、血管新生阻害薬のベバシズマブと免疫チェックポイント阻害薬のアテゾリズマブの併用、あるいはデュルバルマブとトレメリムマブの併用療法(STRIDEレジメン)を検討し、適応がない場合はレンバチニブ、デュルバルマブまたはソラフェニブを使用します。これらの一次治療が無効の場合はレゴラフェニブ、ラムシルマブ、カボザンチニブを使用します。

詳しくは「日本肝臓学会肝癌診療ガイドライン 肝細胞癌薬物療法アルゴリズム」を参照ください。

放射線治療

手術やラジオ波焼灼療法での治療が難しい場合に、肝がんの根治的治療として主にX線を利用した体幹部定位放射線治療(SBRT)と、粒子線を利用した粒子線治療を行います。

体幹部定位放射線治療は、がんがある部位にピンポイントにX線を照射することで、周囲の正常組織への影響を軽減することができます。粒子線治療は粒子線に含まれる陽子線や重粒子線を利用する治療法です。X線を用いる体幹部定位放射線治療と比べて、がんがある部位により高い量の放射線を照射でき、さらに周囲の正常組織への影響を軽減できます。

なお、体幹部定位放射線治療や粒子線治療は実施できる施設が限られるほか、治療の対象となる方も限られているため希望する場合は医師に相談しましょう。

予防

肝がんの多くは、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスへの感染が原因と考えられています。そのため、肝がんを予防するためにはこれらのウイルスへの感染を避けることが大切です。肝炎ウイルスは体液を介して感染する性質があるため、むやみに他人の体液に触れないように注意しましょう。また、性行為によって感染することもあるため、不特定多数との性交渉は避け、コンドームを着用しましょう。万が一、肝炎ウイルスに感染した場合は放置せずにウイルスを排除する治療を行うことで肝がんの発症を防ぐことが可能です。

そのほか、肝がんはアルコールの多飲や喫煙習慣、肥満などによって発症することもあるため、禁煙・節酒を心がけ、生活習慣を整えましょう。

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