神奈川県厚木市の救急医療に対応し、地域の病院との連携を密接に行っている湘南厚木病院は、地域医療に貢献するためにさまざまな取り組みを行っています。院内に人型ロボットの導入を開始するなど、地域のみなさまに親しみやすい病院づくりを目指している湘南厚木病院とはどのような病院なのでしょうか。
同院について、また、地域のみなさまに同院を身近に感じてもらえるように行なっている取り組みについて医療法人沖縄徳洲会 湘南厚木病院の院長の黒木則光先生にお話を伺いました。
当院は2005年9月に開院しました。開院以降は、救急を断らないことを方針とし、救急患者さんの受け入れや診療を行っています。また、当院のある厚木市は救急の受け入れ体制が整っている病院がいくつかあり、2018年1月現在では地域のほかの病院と連携を深め、救急の受け入れを行っています。
さらに、救急治療後のリハビリテーションを充実させるために、回復期病棟をオープンし、地域のみなさまの医療に貢献できるように努めています。
地域医療のニーズに対応できるようにさまざまな診療科を備えています。
<湘南厚木病院の主な診療科>
などの診療科があります。
2014年4月に回復期病棟を設立しました。回復期病棟では、脳出血や脳梗塞などの手術後にまひなどの症状がみられる患者さんのリハビリを行っています。また、脳出血などの患者さんだけでなく頸部骨折などでしばらく体を動かすことが難しい方なども入院しています。
回復期病棟は、急性期医療を行っている病棟と同じ建物にあります。そのため、リハビリを行っている際に予期せぬ病気になった場合や新たに手術が必要になった場合にすぐに対処することができます。
外傷センターでは、多発外傷(体の複数か所で外傷を負うこと)や、重症開放骨折(折れた骨が体外に露出している骨折)や一般骨折の治療を行っています。
また、多発外傷など以外にも重症四肢外傷の治療にも対応しています。重症四肢外傷とは、開放骨折や血管損傷、切断四肢などのことを指します。重症四肢外傷の患者さんには、整形外科の医師が治療を担当し、患者さんの1日でも早い日常生活への復帰に努めています。
当院では、手術の際に輸血を行わない無輸血治療を行うことがあります。
病気の進行状況や、患者さんの意思などさまざまなことを考慮し、無輸血治療での手術を行うかを検討します。
胃がんや大腸がん、すい臓がんなどの手術を行った際に出血がみられると輸血が必要となる場合があります。しかし、患者さんのなかにはさまざまな理由で同種血輸血※を行うことが難しいことがあります。
そのため、手術の際に輸血が必要な場合には、自己血輸血を行うようにしています。
※同種血輸血とは、自分以外のひとの血液を輸血すること
自己血輸血とは、患者さん本人の血液を輸血する方法です。
手術を行う前に患者さんに採血してもらい、自己血の保存をします。自己血輸血ではいくつかの方法で患者さんご本人の血液を保管、輸血します。
<自己血輸血の方法>
上記3つの方法のなかで、手術前に採血を行うのは希釈法と貯血法になります。
当院の形成外科では、リンパ浮腫に対する治療も行っています。
リンパ浮腫は、がんの治療の際に、リンパ節を取り除いたり、放射線治療を行うことでむくみが発生することがあるといわれています。乳がんの治療を行った患者さんでは肘の上下に発生することがあります。
また、婦人科がんや泌尿器科がんでは下腹部や陰部、足の付け根にリンパ浮腫がみられることがあります。
しかし、がんの治療を行った患者さんのすべてにリンパ浮腫がみられるわけではありません。
当科は、リンパ浮腫に対して手術を行う医師がおり、リンパ浮腫の治療に努めています。
当院では、救急医療において近隣の病院との連携を行っています。救急の受け入れを行っている近隣の病院が協力し、地域の救急医療を充実させていきたいと考えています。
また、救急医療だけでなく、リハビリテーションや患者さんが退院後に自宅近くのクリニックなどに通うことができるように、開業医の先生方との連携も行っていかなくてはなりません。
地域のみなさまの医療に貢献できるように、医師の雇用にも注力しています。救急医療に対応することや、診療科を充実させることで患者さんに安心して治療を受けてもらいたいと考えているためです。
地域のみなさまの健康を維持できるように、さまざまな取り組みを行うことを検討しています。
また、地域の企業に勤めている方々に対しても予防接種などを行い、健康維持に貢献できるようにしていきたいと思っています。
地域のみなさまの健康維持に貢献するために、予防や運動が行える施設づくりを考えています。当院で運動が行え、病気の予防について相談ができる施設や設備を備えたいと思います。
厚木市内にある企業に向けて、検診車の派遣やインフルエンザ予防接種を行っています。検診車事業では、検診を行える機器を備えたバスを企業に派遣し、バスのなかで健康診断が行えます。また、インフルエンザの予防接種も当院の医師を企業に派遣し、企業の敷地内で行っています。
外来棟では人型ロボットの設置を開始しました。人型ロボットに、病院の案内だけでなく病気の説明をしてもらうことも可能です。たとえば、外来診療の待ち時間などにさまざまな病気の総論を聞くことができます。
手術を検討している患者さんへの手術説明に人型ロボットの活用を検討しています。もちろん、詳細は医師から説明しますが、はじめての手術や大きな手術に臨む患者さんの不安や、緊張を少しでもやわらげることができればよいと考えています。
2014年8月に開設した回復期病棟では働いているスタッフに向けて、介護ロボットの導入を検討しています。
介護を行っているスタッフの負担を少しでも軽くすることを目的とし、働きやすい環境を整えるためです。
地域のみなさまに当院が身近にある病院として、地域医療に寄り添っていくことを目指しています。そのために、さまざまな取り組みを行っています。また、新たな取り組みを行うことも検討しています。
たとえば、2か月に1回、入院棟の1階でミニコンサートを開催しています。ミニコンサートは地域のボランティアの方々が行い、当院を発表の場として活用していただいています。もともとは入院している患者さんに向けて行っていました。また、最近では近所に住む方々もミニコンサートを見に来てくださっています。
湘南厚木病院 院長
黒木 則光 先生の所属医療機関
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。