院長インタビュー

専門性の高い歯科診療をリードし続ける日本大学歯学部付属歯科病院

専門性の高い歯科診療をリードし続ける日本大学歯学部付属歯科病院
メディカルノート編集部  [取材]

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東京都千代田区にある日本大学歯学部付属歯科病院は、歯科を専門とする日本屈指の大学病院として、むし歯歯周病の治療から口腔(こうくう)外科、矯正科まで包括的な歯科医療を提供しています。全国から集まる患者さんは年間で約18万人にのぼり(2021年度診療件数)、地域のクリニックでは対応できない難易度の高い治療も行っています。そんな同院の特長について、院長の佐藤 秀一(さとう しゅういち)先生にお話を伺いました。

当院は、1917年に創立した100年以上の歴史をもつ歯科病院です。歯科用ユニット144台と入院設備24床で幅広く歯科領域の診療を提供し、感染症や体の不自由な患者さんに対する設備も完備しています。歯科と一口に言っても、むし歯歯周病、歯列矯正、あごや顔面の病気など、診療の対象は多岐にわたります。当院は、大学病院として専門性の高い治療や難しい症例にも対応しており、全国のクリニックから患者さんが紹介されてきます。

当院の歯科放射線科では、的確な診断に欠かせないX線撮影やCT検査による正確な診断に尽力しています。中でも、あご全体の展開画像が得られるパノラマ撮影や、3次元的な画像診断を行う歯科用コーンビームCTは日本大学歯学部が開発したもので、今日では世界の歯科医療で広く使われるようになりました。

それぞれの診療科には歯科医師や歯科衛生士をはじめ、歯科技工士、臨床検査技師など専門スキルをもつスタッフが多数在籍しています。たとえば歯科医師だけで362名、歯科衛生士29名、歯科技工士8名、診療放射線技師4名というように、潤沢な人材配置で丁寧な診療を行っています(2021年4月時点)。このような各専門チームの連携による包括的な治療が当院の強みです。

特に口腔外科では、親知らずの抜歯やあご関連の外科手術、顔まわりの病気の治療といった難易度の高い診療に取り組んでいます。地域のクリニックでは対応できない患者さんを引き受ける役目もあり、全国の歯科医療の駆け込み寺的な存在といえるでしょう。また当科では顎変形症(がくへんけいしょう)に対する専門的な治療を行い、また近年注目されている睡眠時無呼吸症の外科治療を行うほか、舌がんや歯肉がんなど口腔外科領域の外科治療も積極的に行っています。

近年、成人になってから歯並びを治す方々が増えてきました。当院の歯科矯正科では、歯科矯正用アンカースクリュー(医療用ネジ)、マウスピース型矯正装置、リンガルブラケット矯正装置など、目立ちにくい矯正装置を使った最新の歯列矯正を行っています。大人はあごが成長しきっているため歯科矯正科だけでは改善が難しい場合もあり、そのようなときは歯科矯正科と口腔外科が連携し、あごの手術も視野に入れた治療を行います。

失った歯の機能を補てんするインプラント治療も、患者さんのQOL(生活の質)向上に有用な治療法です。インプラント治療は口腔外科、義歯、被せもの(クラウン、ブリッジ)や咬み合わせなど、総合的な知識と治療技術が求められます。当院は、歯科における各分野のスペシャリストが集まっていますので、各科の連携と協働により質の高い医療を提供することが可能です。

当院におけるインプラント治療の歴史は古く、1970年代初めに全国に先駆けてLinkow型ブレードインプラントの治療を行いました。2002年にはインプラント治療を一元化するために歯科インプラント科を開設し、直近3年間の年間症例数は300例ほどで推移しています(2019〜2021年実績の平均値)。

当院は2018年の施設リニューアルに伴って中央滅菌室を設置し、全ての医療器具の滅菌と管理を徹底しています。また手指消毒薬の常備はもちろん、飛沫対策として口腔外バキュームを活用するほか、中央換気システムにより常に新鮮な空気を取り込めるようにしました。さらに、インフェクションコントロールドクター(感染制御の医師)と感染制御チームが中心になって定期的に見回りをし、感染予防体制の維持に努めています。

そのほか当院では全ての治療台を個室かパーテーションで区切り、感染症対策とプライバシー保護を実現しています。患者さんが安心して治療を受けられるよう、これからも積極的に院内の環境整備に取り組んでいく所存です。

日本人の口腔ケアへの意識は昔に比べて格段に高まりましたが、現在でもやはり歯周病関連で当院を訪れる患者さんは後を絶ちません。初期の段階では自覚症状があまりない歯周病はどうしても軽視されがちですが、治療の開始が遅れたり生活習慣が悪かったりすると問題が長期化し、健康的な歯を取り戻すのに苦労してしまいます。歯科医としての願いは、毎日の歯磨きで小まめなケアを心がけ、さらに歯科医院で定期的に口腔内の状態をチェックしてもらう習慣をつけていただくことです。歯ブラシだけではどうしても磨き残しがあるでしょうし、1日数回の歯磨きを毎回完璧に行うのはなかなか難しいと思います。そのため、歯科医の診断も積極的に受け専門家の意見をぜひ取り入れてほしいです。

当院は、開院より一貫して“医歯一元論”を標榜し、口腔内と全身との関係性に着目した全人的な医療を実践してきました。これからも引き続き高水準かつ良質な歯科診療を通じて皆さんの健康に役立てるよう、職員一丸となってまい進して参ります。

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