島田市立総合医療センターは、1946年に島田町立診療所として開設されました。1957年に島田市民病院へ解消、2005年には救急センターが建設され、2021年には新病院が完成して診療を行うとともに名称を“島田市立総合医療センター”と変更して現在に至ります。
同院では今、どのような取り組みが行われているのでしょうか。院長である和田 英俊先生にお話を伺いました。
静岡県島田市にある島田市立総合医療センターは、市内で唯一の総合病院です。隣接する地域にも頼られる急性期病院として、地域の皆さまの健康を支えています。
24時間365日体制で救急患者さんを受け入れる一方で、リハビリテーションなどを幅広く提供することで、地域から寄せられるニーズに対応しています。
当院の診療科で特に強みとしているのは、循環器内科です。
日本循環器学会認定の専門医が多数在籍しているため、急性心筋梗塞などの循環器救急疾患には24時間常時対応しています。
当院の循環器分野の受け入れ症例数は年々増加しており、心臓カテーテルによる治療などを行っています。
当院は、血液内科の分野でも地域の中心的役割を担っています。
骨髄移植は手掛けておりませんが、患者さんが遠方まで足を運ばずに済むよう、自家移植を含む大量化学療法まで対応し、地域で完結できる診療を心がけています。
当院では2017年1月から泌尿器科でダヴィンチによるロボット支援手術を導入し、現在は前立腺がんに対する前立腺全摘除術や腎臓がんの腎臓部分切除術はもちろんのこと、膀胱がんや腎盂尿管移行部狭窄症、子宮脱にも適応を広げています。
新しい機械や設備を導入することは、医療の質の向上はもちろん、職員のモチベーションをアップさせたり、学ぶ環境を整えたりという側面でも役立っていると考えています。
脳神経外科と脳卒中科では、両科が連携して治療にあたる脳卒中センターで一刻を争う脳卒中の治療に24時間365日対応するほか、脳腫瘍や重症の頭部外傷などの治療を行っています。
なお、当院は日本脳卒中学会から、非常に厳しい基準をクリアするよう求められる“一次脳卒中センター(PSC)コア”の認定を受け、血栓溶解療法(t-PA静注療法)やカテーテルによる血栓回収療法を行っています。脳卒中の相談窓口も設置してこの地域の脳卒中治療のセンター的な役割も担っているので、脳卒中に関連してお困りのことがあれば何でもご相談ください。
また、脳神経外科ではほかにも、新しい医療機器や技術を取り入れ、開頭クリッピング術や緊急バイパス術などの顕微鏡手術にも対応しています。顕微鏡は従来の機能に加え、より正確な操作ができるロボットアーム機能や小さなレンズを覗かずに操作できるモニターを備えたKINEVOを導入済みです。
外科では、胃や大腸などの悪性腫瘍から、鼠径ヘルニアや胃十二指腸潰瘍の穿孔などの良性疾患まで、可能な限り内視鏡外科手術を行っています。鼠径ヘルニアの手術は近年増加しており、2023年は年間185症例に上りました。
また胆のう結石症や急性虫垂炎では、ほぼ全例で臍内1か所の傷で手術を行う単孔式腹腔鏡手術を施行しています。さらに、3mm径以下の器具を使用する細径式腹腔鏡手術も取り入れています。
また、消化器外科でもロボット支援手術を導入し、2017年からは胃がん手術、2019からは直腸がん手術にもロボット支援手術を行っています。
なお、当院はロボット支援手術の指導医(プロクター)がいる病院です。病院で最初にロボット手術を行うには事前にプロクターによる指導・教育が必要となります。ぜひ当院でロボットによる精緻でより低侵襲な手術を受けていただければと思っています。
また、当院の外科では肥満外科手術も行っています。食事療法や運動療法でも改善しない肥満の患者さんに対して行う手術で、2024年現在、静岡県内では当院と浜松医科大学医学部附属病院でしか受けられません。
当院は地域を支える急性期病院として「断らない救急」を掲げ、診療を行っています。島田市内の救急患者さんはほとんどが当院に運ばれてくるほか、近隣の藤枝市や焼津市、牧之原市などからの搬送も受け入れることがあり、年間の救急搬送数は4,885件(2023年)、救急応需率は98%を超える数字となっています。
また新病院になったことで、救急の設備も新しくなりました。救急初療室は救急車が4台同時に搬入できるほど広くなり患者さんをより早く診られるようになったほか、屋上にはヘリポートも設置してより広域での迅速な受け入れができるようになっています。
第一に、当院の理念である「地域医療に貢献する」病院であること、次に地域住民の皆さまから十分な信頼を得て、職員も明るく楽しく仕事ができる病院であることが理想です。そして、地域の医師たちからも頼りにされる病院を目指しています。
職員の働く環境がよく、仕事にやりがいがあれば、必然的に医療の質もあがり、患者さんや地域の先生方の信頼も集められるようになるでしょう。新病院ではより充実した医療を提供してまいります。
そして、地域の医療機関に対しても、垣根のない病院でありたいと思っています。地域の病院がお互いに弱いところを補完し合いながら、よりよい医療圏をつくっていきたいと思っています。
何事も興味を持たなければ、一生をかけて携われるような仕事は選べないと思います。そのため、若手の医師には、「まずは医師の仕事が好きになるように」と伝えています。専門の診療科を選ぶときも、打算で選ぶのではなく、好きな診療科を選んでほしいと思います。
一生興味を持ち続けることができて、自分が楽しめるものでないと、向上心を持って仕事は続けていけません。そして、初心と共に感謝と謙虚な気持ちを忘れずにいれば、きっとよい医師になれるでしょう。
なお、当院は医学部生に対して、病院見学を広く受け入れています。また当院で研修をしたいという医学生を対象に修学資金貸与制度も用意しており、無利子で修学資金を貸与しています。当院は現在、初期研修医の定員は10名ですが、この数年はフルマッチしています。さまざまな疾患を学べる当院に興味があれば、ぜひ見学に来てください。
新病院が開院し、スタッフや設備はますます充実しました。市民の皆さまに満足していただける病院を目指して、職員一同努力してまいります。
市立島田市民病院 院長
和田 英俊 先生の所属医療機関
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現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。