院長インタビュー

地域密着型医療施設として日々地域医療の向上に取り組む葛城病院

地域密着型医療施設として日々地域医療の向上に取り組む葛城病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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葛城病院は、大阪府南部の岸和田市に位置し、その名のとおり大和葛城山を臨める場所にあります。

近隣には大学病院並の医療を提供できる“特定機能病院”がないため、同院は大学病院で提供している新しい医療を積極的に地域の方々に提供しています。同病院の特徴やこれからについて、理事長の大植 睦(おおうえ むつみ)先生に伺いました。

当院は昭和50(1975)年に関西初の老人専門病院としてスタートしました。患者さんのニーズにあわせてリハビリテーションに注力するにつれ、関連する整形外科、脳外科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科等の診療科も成長し、現在は病床数243床、18診療科を有する急性期医療を提供する2次救急病院となっています。

当院がある泉州地域は約90万人の人口がありますが、大学病院のような特定機能病院がありません。したがって当院は地域の中核的な役割を果たす病院の1つになっており、たとえば救急車の受け入れ台数は月間約240~300件で、自家用車などで来院されるウォークインの救急患者さんの診察も行っています。また、現在年間の手術数は約2,600件で、うち整形外科関係の手術は約2,100件となっています。これは大阪府で5番目、全国で39番目(2021年時点)の手術数です。

当院のモットーは、地域の方に大学病院レベルの質の高い医療を提供することです。今後も泉州地域において、地域の方々に安心して医療を受けていただけるよう努めてまいります。

整形外科は高齢の患者さんが多い診療科ですが、当院は元々老人専門病院だったこともあり、開院以来の実績を重ね、現在でも多くの患者さんが、関西以外の地域からもいらっしゃっています。

当科の脊椎外科センターでは脊椎・脊髄の病気への治療を行っており、基本となる保存的な治療のほか、体に負担が少ない内視鏡下でも脊椎除圧手術の症例を多く重ねてきました。また、脊椎手術ナビゲーションシステムや、術中3D画像撮影装置を導入しており、従来より正確な手術が可能となり年間約420件の手術を行っております。

人工関節・関節機能再建センターでは、人工股関節置換術を年間約130件、人工膝関節置換術を年間約220件弱行っているほか、患者さんの状況にあわせて骨切り術による治療も行っています。また、術後の合併症や痛みをなるべく少なくする、術後早期からのリハビリテーションを行うなど、患者さんが本当に必要な医療を積極的に提供できているのが当科の強みといえるでしょう。

上記のほか、足の外科や手の外科といった専門外来も開設。大阪府立医科大附属病院、近畿大学病院、和歌山県立医科大学附属病院といった大阪府や和歌山県の大病院から、泉州地域にお住まいの患者さんを「通いやすいから」、「同等レベルの治療が受けられるから」といった理由で当院を紹介いただくことも多くなっています。

当院は今度も高齢化する地域のニーズにあわせ、整形外科の幅広い疾患に対応していきます。

患者さんが病院に入院後、ベッドで寝た状態が何日も続くと、筋力低下や心機能、肺機能など臓器機能が低下する廃用症候群が起こりやすくなります。それを防ぐには早い段階からリハビリテーションを行い、機能が衰えないようにすることが大切です。

当院のリハビリテーション科は、脳梗塞脳出血などの脳血管疾患、高次脳機能障害外傷、運動器疾患の術後に対し、急性期の段階から可能なかぎり早期にリハビリをスタートすることで、より早い復帰を目指しています。当科には理学療法士や作業療法士など総計60名以上のスタッフがおり、回復期リハ、外来リハ、訪問リハなど、患者さんの状況やニーズにあわせてさまざまな形のリハビリテーションを提供しています。

当院では40歳以上の女性の約10%に発症するといわれる下肢静脈瘤を専門的に治療する“下肢静脈瘤治療センター”を開設しています。下肢静脈瘤は、下肢の皮膚と筋肉の間にある表在静脈にこぶができる症状で、血液の逆流でうっ血が生じることにより発生します。下肢のだるさやつりやすさ、皮膚の変色、傷が治りにくいといった問題がありますが、当院では保険適用によるレーザーによる治療である“静脈血管内レーザー治療術”による日帰りでの手術が可能です。この治療法は局所麻酔で行い、基本的に傷ができないため、そのままご帰宅いただけます。

また、当院は2022年10月に不整脈治療センターを開設しました。一言で不整脈といっても、脈が飛ぶ、脈が速い、脈が遅いなど、病態はさまざまです。そのため、まずは非侵襲的な検査で的確な診断を行い、内服治療やカテーテルアブレーション治療、ペースメーカーなどといった治療法を検討し、患者さんと十分に相談して治療を行っていきます。

当院へは、近隣の先生方だけでなく大阪大学、大阪公立大学、和歌山県立医科大学、近畿大学といった大学病院の先生方も患者さんをご紹介くださり、信頼していただいているという思いです。

当院では、大病院にありがちな長い診療待ちを避け、スムーズに受診していただけるよう努めています。また、電子化にも積極的で、広く普及している電子カルテも当院は泉州地区で初期に導入した病院の一つです。

このようなデジタルでの効率化を図るなど、具合の悪い患者さんをお待たせしないよう運用には力を注いでいます。

葛城病院は、“患者さまの立場になってその気持ちを十分理解した医療を行う”ことを理念として掲げています。

社会全体が高齢化してきており、当院でも近隣の急性期病院の救急を受け入れる体制強化は必要と考えています。そのため、急性期の血管疾患に対応できるよう施設を増設中です。

地域の皆様のために、地域のニーズに合わせて大学レベルの先進的な治療を円滑に受けられるような病院にしたいと考えています。

当院の内情を良く知る職員ならびにその家族が病気やけがの時に当院を受診してくれるのは、まさに当院を信頼してもらえている証しと誇りに思っています。そんな病院であり続けられるよう、これからも引き続き地域の方々から信頼される病院であるよう努力していきます。

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