院長インタビュー

地域完結型医療の提供─地域に愛される病院を目指す平成記念病院

地域完結型医療の提供─地域に愛される病院を目指す平成記念病院
冨田 恭治 先生

社会医療法人平成記念会 平成記念病院 院長

冨田 恭治 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年08月30日です。

奈良県橿原市に位置する平成記念病院は地域の救急医療と急性期医療の充実のために開院されました。現在は急性期医療だけでなく、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟を開設し、急性期医療から慢性期医療まで切れ目なく提供することができます。地域における平成記念病院の役割や日々の診療について、現在平成記念病院 院長 冨田恭治先生にお話を伺いました。

待合室(平成記念病院よりご提供)

平成記念病院は急性期医療から回復期リハビリテーションなどの慢性期医療まで一貫して提供しています。もともとは橿原市で救急医療の充実を目的とし、地域の救急医療を担う病院として開院しました。そのため、当院のスタートは地域への急性期医療の提供でした。

現在は地域のニーズをくみ取り、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟を設置しています。地域の高齢化から、急性期の治療が終わっても在宅復帰や施設入所に不安が残る方も多くいらっしゃいます。そのため、まずはリハビリテーションを行い低下した体力や筋力の回復、維持に努めています。

さらに、当院の関連施設に介護老人保健施設や特別養護老人ホームがあります。在宅復帰が難しい方にはこれらの施設への入所サポートも行い、急性期医療から回復期リハビリテーションまで提供しています。

そのほかにも、当院では奈良県立医科大学で治療をしていた循環器疾患の患者さんの回復期リハビリテーションを受け入れる連携を取っています。こういった連携を地域の医療機関とも深めていき、地域完結型医療の提供の充実を目指しています。

当院は開院の背景にもあるように、救急患者さんの受け入れに尽力しています。2017年救急外来を大幅に増築し、平成記念病院救急センターを立ち上げました。外傷はもちろん肺炎脳梗塞などの迅速な治療が必要になる救急患者さんも受け入れています。市内の救急搬送だけでなく、市外の救急搬送も断らずに受け入れます。市外にお住まいの救急患者さんが急性期の治療が終わり、リハビリテーションに移行する段階で、リハビリテーションを当院で実施するか、お住まいの近くの医療機関で実施するかを伺っています。

市外の患者さんの中には退院後にリハビリテーションのために当院に通院することが、体力的な面で不安な方もいます。ご家族との話し合い、お住まいの近くにある医療機関でのリハビリテーションを希望される方も少なくありません。しかし中には、入院中にスタッフと仲良くなったことや居心地がよいと感じてくださったこともあって、引き続き当院でのリハビリテーションを希望される方も多数いらっしゃいます。

市外の患者さんをその地域へご紹介するためには地域や近隣の市の医療機関との連携が重要になります。

救急センター(平成記念病院よりご提供)

地域の病院と開業医との連携を深めるために、顔を合わせる機会を設けています。院内と院外で定期的に開催している病診連携講演会があります。地域の先生方や医療施設の方々をお招きし、話題になるトピックスを講演します。

最近では認知症糖尿病を取り上げました。当院の医師と地域の先生方、医療施設の方々と顔の見える関係をつくり、地域での連携を深めています。地域の医療機関で対応が難しい病状の患者さんは当院で受け入れ、治療が終わると地域の医療機関へお戻ししています。

こういった連携は今後とても重要になり、患者さんも急性期の治療が終わったあとに住み慣れた地域に戻ることで安心してその後の治療や定期的な通院が行えると思います。

内科診療の中でも、呼吸器の診療は開院当時から力を入れています。呼吸器の病気では、間質性肺炎肺がんなどの診療を多く行っています。そのほかにも、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)の診療や治療に尽力しています。閉塞性肺疾患とは、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた病気の総称です。

肺がんの診療では、早期診断に努めるために気管支鏡検査やCT検査を導入しています。早期診断で発見できた肺がんは化学療法に重点を置き、治療にあたっています。

当院は2017年より消化器・肝臓病センターを設置し、腹腔鏡での積極的な検査と治療を行っています。また、上部消化管、下部消化管に対して胃カメラ検査、大腸ファイバー検査を一般社団法人 日本消化器内視鏡学会に認定された消化器内視鏡専門医によって施行されています。

整形外科では脊椎疾患や各種人工関節置換術骨粗しょう症の治療を多く行っています。骨粗しょう症は高齢化とともに増加しているといわれています。また、骨粗しょう症は骨を弱くし、少しの衝撃で骨折することがあります。

整形外科の診療では、各部位によって得意な診療としていることもあります。人工関節置換術であれば、股関節、膝関節などです。また当院では肩関節の診療にも力を入れていますが、手を専門的に診る医師もいるため、各部位での診療が可能です。

当院には県内でも有数な回復期リハビリ病床90床と地域包括ケア病床30床を擁し、セラピスト100名以上が365日、休日なしのリハビリテーションを実施しています。(2018年8月現在)

また公益社団法人 日本リハビリテーション医学会に認定されたリハビリテーション専門医とリハビリテーション認定医が在籍し、日々リハビリテーションの質を向上させよう切磋琢磨し、ロボットリハビリテーションなどにも積極的に取り組んでいます。(2018年8月現在)

※これらの従業員の人数や配置状況は現在の実態とは異なる場合があります。

地域の皆さまに病気の情報を発信し、病気への理解を深めていただくために健康セミナーを定期的に開催しています。病気のことについて、ご自身が病気になってからその病気を調べる方は多くいらっしゃると思います。たとえば、脳卒中のひとつである脳梗塞は救急搬送されることも珍しくない病気です。

脳卒中は脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れてしまう脳出血くも膜下出血があります。どれも迅速な治療が必要になり、後遺症が残る場合もある病気です。いずれも治療後はリハビリテーションを行いますが、病気になる以前と同じような生活を送るためには時間がかかります。

そのため、健康セミナーでは病気の仕組みだけでなく予防方法についてもお話ししています。病気の予防を積極的に行い、健康的な生活を送ってほしいと思います。

平成記念病院よりご提供

医師としてのキャリアは3つのコースがあると思います。1つ目は地域の病院などで地域医療に従事するコース、2つ目は大学病院や地域の病院で経験を積み、その後開業するコース、そして3つ目が大学などの研究機関で研究を進めるコースです。

どのコースも地域医療や今後の医療を支えていくうえで重要な働き方です。しかし、自分にはどの働き方があっているのか、自分が選んだ道は自分に適しているのか悩むことは多くあります。

たとえば地域の病院で働く道であれば、同じ病院内で働く仲間がいます。判断に困る病状や合併症を持っている患者さんの治療方針など、周りの医師や先輩医師にすぐに相談することができます。もちろん開業には開業するメリットがあり、大学で研究を続けることにもメリットはたくさんあります。

地域の病院はさまざまな病状の患者さんが来院します。自分の手技を磨くことや経験につながると思います。仲間たちと切磋琢磨し、地域医療を支えていけるような医師になってください。

どのような病状の患者さんでも断らない医療の提供をモットーに、受け入れ、治療を行っていきます。急性期医療から回復期リハビリテーションを提供し地域完結型の医療を担う病院として、地域の医療を守っていきます。また、リハビリテーション後に在宅復帰が難しい患者さんには関連施設である特別養護老人ホームや介護老人保健施設をご紹介し、切れ目のないサポートを行っています。

地域医療に貢献し、地域の皆さまが病気にかかったとき「平成記念病院に行けば大丈夫」と思ってもらえる病院になれるように、スタッフ一同今まで以上に努力してまいります。

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