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現役世代が気付きにくい“胃腸のサイン”。 専門医が語る、胃カメラ・大腸カメラ検査の意義とは

公開日

2026年02月19日

更新日

2026年02月19日

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2026年02月19日

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はたもり消化器・内視鏡クリニック 院長/畑森 裕之 先生

胃や大腸の不調は、日常生活の中で軽い違和感として見過ごされやすい傾向がある。特に、胸やけ、胃もたれ、腹部の張り、排便の変化などは、加齢やストレスが原因の一時的なものと考えてしまいがちだが、専門のクリニックを受診することで、病気の早期発見や早期治療につながる可能性がある。

そこで、大阪市住吉区にあるはたもり消化器・内視鏡クリニックの院長であり、日本消化器病学会認定の消化器病専門医である畑森 裕之(はたもり ひろゆき)先生に、クリニック受診のタイミングや胃カメラ・大腸カメラ検査を受けることの意義についてお話を伺った。

日常の“ちょっと気になる”を、受診のきっかけにしてほしい

日々の診療では、胸やけや腹部の張り、便通の変化など、日常の中で現れるさまざまな症状をご相談いただくことがあります。こうした症状は、忙しさのなかで「疲れのせいかな」と見過ごされがちですが、胃腸のはたらきが少し乱れているサインということもあり得ます。丁寧にお話を伺うことで、たとえば喉がつかえる感じや胸のむかつきから「逆流性食道炎」などの病気が見つかることは少なくありません。

まずは、どんなときに症状が出るのか、生活リズムや食事内容なども含めて体で起きていることを医師に率直にお話しいただきたいです。

胃腸は、食事、消化、排泄という毎日の営みに深く関わります。ちょっとした不調が生活の質に影響しやすいからこそ、気になることがあれば早めに近くのクリニックにご相談ください。

「症状がないから大丈夫」とは言い切れない

胃カメラや大腸カメラ検査を受けるきっかけとして、「一度しっかり調べたい」という思いで来られる方は少なくありません。40歳代を迎えて初めて受診される方もおり、検査によって今の体の状態が確認できることで、不安が和らぐこともあります。

特に大腸では、ポリープがあっても自覚症状が出ないことが多く、大腸カメラで初めて見つかるケースもあります。大腸がんには、こうしたポリープが徐々に大きくなり生じるものが多いです。そのためポリープの段階で発見して切除できれば、大腸がんの予防につながります。

また、胃の領域では胃がんの原因のほとんどがピロリ菌感染とされており、胃カメラで感染の有無を調べられます。ピロリ菌は幼少期に胃に入り込み、長い年月をかけて胃を荒らしていくため、早めに見つけて治療につなげることが胃がん予防に役立ちます。

こうした背景から、気になったときに相談でき、必要に応じて胃カメラや大腸カメラといった検査にも踏み出せる場所が身近にあることが大切だと考えています。

鎮静薬や検査機器の進化で、検査の負担もできる限り軽く

胃カメラや大腸カメラ検査と聞くと、「痛そう」「恥ずかしい」「準備が大変」というイメージを持たれる方がよくいらっしゃいます。こうした不安を和らげるため、医療機関では検査の流れを事前に丁寧に説明し、疑問を残さないよう配慮しています。

また、現在の内視鏡検査は大きく進歩しています。鎮静薬を使用することで、うとうと眠っているような状態で検査を受けることが可能となり、以前と比べて苦痛は大きく軽減されました。 加えて、内視鏡システムやスコープなどの機器も進化し、より鮮明な観察が可能となっています。見落としを減らしながら、体への負担を抑えたスムーズな検査が行うことができ、必要に応じて、その場でポリープを切除することも可能です。

大腸カメラの前には下剤を飲んでいただきますが、近年は味や量のバリエーションが増え、飲みやすさに配慮した製剤も使われています。どうしても下剤を飲むのが難しい方には、大腸カメラよりも下剤の少ない大腸CT検査という選択肢もあります。

不調が気になるときは、気軽に地域のクリニックへ

医療機関というと、重い症状がないと相談してはいけない場所と考えている方もいますが、実際には小さな違和感や「検査を受けるべきか迷っている」という段階でもご相談いただきたいと思っています。

ちょっとした症状が、がんの初期など大きな病気のサインだったというケースもありますし、長く続くお腹の張りや下痢などを「体質だから」と我慢されている方でも、原因が分かれば治療で改善する場合もあります。

受診したからといって必ず検査が必要になるわけではありませんし、まずは専門医と一緒に状況を整理しながら、どう向き合うのがよいかを考えていくことができます。特にお腹の不調は日常生活に影響しやすい領域ですから、気になることがあれば、構えずに近くのクリニックを頼っていただければと思います。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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