ふじさわ脳とからだのクリニック 脳神経外科・内科 院長 永尾 征弥 先生
「また頭が痛くなってきた」「この薬を飲めば、いつものように落ち着くはず」――。
仕事や家事、子育てなど多忙な日々を送る人々にとって、頭痛は“たまに起こる不調”としてやり過ごされがちだ。しかし、その陰には脳の病気のサインが隠れているなど、見逃せないリスクが潜んでいる場合がある。
さらに、頭痛を放置することで仕事のパフォーマンスが落ちたり、日常の活動に支障が出たりするなど、生活の質(QOL)が下がってしまうケースも少なくない。
そこで、神奈川県藤沢市にある「ふじさわ脳とからだのクリニック 脳神経外科・内科」で頭痛外来を開設している永尾 征弥(ながお せいや)院長に、片頭痛(へんずつう)と緊張型頭痛の違いや危険な頭痛の見分け方、受診の目安など、現役世代が知っておきたい頭痛との付き合い方についてお話を伺った。
頭痛にはいくつかのタイプがありますが、特に多いのが片頭痛と緊張型頭痛です。
片頭痛は、天候の変化や生理前、寝不足や寝すぎた後などに、ズキンズキンと脈打つような痛みが出るのが特徴です。吐き気を伴ったり、光や音に敏感になったりする方もいます。
一方、緊張型頭痛は、夕方になると突然頭が重くなったり、ギューッと締めつけられるような鈍い痛みが出てきたりするのが典型です。肩こりや首のこわばり、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用といった日常の習慣が大きく関係しています。
繰り返す頭痛や、日常生活に支障をきたすほどつらい頭痛がある場合には、とにかく早めに専門医に相談することが大切です。ご自身の頭痛のタイプを知り、適切に対処することが頭痛と向き合う第一歩になります。
「頭痛が来そうだなと思ったら、すぐに市販薬を飲む」という方もいると思いますが、問題はその頻度です。月に10日以上、鎮痛薬を使っている場合は注意が必要です。薬の使いすぎによる“薬物乱用頭痛”が起き、かえって頭痛が悪化する可能性があります。
このタイプの頭痛は、市販薬をやめればすぐに改善するというものではなく、むしろ薬の種類や使い方を根本から見直す必要があります。飲み方だけでなく、生活習慣との関係も整理することが大切です。
また、片頭痛の場合は専用の処方薬が必要になることがあります。月に数回でも「市販薬が効かない」と感じるときは片頭痛の可能性がありますので、自己判断で市販薬の種類を変えるのではなく、早めに専門医に相談しましょう。
頭痛が続くと「脳に病気があるのでは?」と不安を抱きながらも、受診をためらう方は少なくありません。確かに、全ての頭痛が危険なわけではありませんが、見逃してはいけないサインがあるのも事実です。
たとえば、手足のしびれがある・力が入らない、言葉が出にくいといった症状があるときは注意が必要です。さらに、視力が急に低下する、視野が欠ける、物が二重に見えるといった見え方の変化も重要なサインといえます。
「いつもの頭痛とは性質が違う」「頻度が増えてきた」といった変化を感じたときは、放置せず早めに医療機関を受診することが大切です。
「このくらいのことで、クリニックに行ってよいのか迷う」という思いがあるかもしれませんが、適切な治療や生活の工夫によって、頭痛の頻度を減らしたり、痛みをコントロールしたりすることは可能です。特に、片頭痛の場合は予防薬や注射薬といった選択肢もあり、緊張型頭痛でも生活習慣の改善によって大きく頻度を減らせることがあります。頭痛が起こる頻度が減れば、それだけ仕事に集中しやすくなったり、日常生活にも余裕が生まれるでしょう。
我慢を続けるよりも、早めに対処することで、よりラクに過ごせる時間を増やせることを知っていただけたらと思います。
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