連載クリニックの現場から

専門医が語る「不整脈」の話。 心不全を防ぐカギは、日常の小さなサイン

公開日

2026年01月20日

更新日

2026年01月20日

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2026年01月20日

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江木町クリニック 院長 村場 祐司 先生

年齢を重ねると、少し動いただけで息が切れたり、胸のあたりがドキドキしたりするのを感じることがある。通常は一時的なものだが、中には心臓のリズムの乱れ、いわゆる不整脈が関係している場合もある。また、自覚のないまま進行する“隠れ不整脈”にも注意が必要だ。この“隠れ不整脈”も含め、不整脈にはどのように気付き、どういった行動を取ればよいのか。群馬県前橋市にある江木町クリニックの院長・村場 祐司(むらば ゆうじ)先生に、不整脈や心不全を予防するために知っておきたいポイントを伺った。

不整脈は年齢に関係なく起こり得る病気

不整脈は、ご高齢の方だけにみられる病気ではありません。現役世代でも、睡眠不足やストレス、過労、飲酒などが重なることで一時的な脈の乱れを起こすことがあります。問題なのは、その症状を軽く受け止めて放置してしまうことです。

不整脈には、一度起こると自然に治ることが難しく、慢性的に続いてしまうものもあります。その代表が心房細動と呼ばれるもので、特に慢性(永続性)心房細動は根治が難しい不整脈の1つです。心房細動は心房内で電気信号が不規則に発生することで拍動が乱れて血流が滞りやすくなり、脳梗塞(のうこうそく)や心不全などを引き起こす恐れがあります。そのため、早期に発見して対処することがとても大切です。

不整脈がもたらす、全身への影響とは

心臓は1日に約10万回拍動し、全身に血液を送り出しています。このリズムが乱れると、酸素などがうまく行きわたらず、動悸、息切れ、めまいなどの症状が現れます。これらを「加齢によるもの」と考えてしまう方もいますが、そうした見過ごしが心臓への負担を蓄積させ、やがて心不全の原因となることがあります。

また不整脈の中には、症状が乏しく、日常生活では気付かれにくいものもあります。検査で初めて見つかるケースも少なくありません。こうした背景から、日頃から自治体の健康診断など、心電図検査を含む健診を定期的に受けておくことが、脈の乱れの早期発見につながります。健診では把握しきれない場合には、医師の判断によりホルター心電図検査を追加で実施し、脈の変化をより詳しく確認することもできます。

小さなサインを見逃さないために

不整脈や心不全は、ある日突然起こるように見えることがありますが、ほとんどの場合は体が少しずつサインを出しています。足がむくんで靴がきつく感じる、体重が急に増えた、疲れやすいなど、日常の変化が手がかりになることがあります。
また最近では、家庭用の血圧計やスマートウォッチなどを使い、手軽に脈拍の乱れを検知できるようになっています。こうした機器を活用して日常的にご自身の脈拍を意識しておくことが、“隠れ不整脈”の早期発見にもつながります。

医師と二人三脚で、心臓の健康を守ってほしい

診察の場で医師にとって大切なのは、パターナリズムに陥らないことだと考えています。医師が一方的に治療方針を押しつけるのではなく、いくつかの選択肢を示しながら、患者さんと一緒に方向性を決めていく。そういった姿勢が今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。

特に心不全のような病気の管理では、患者さんと医師との緊密なコミュニケーションが欠かせません。定期的な検査や生活習慣の見直しなど、患者さんご自身の協力が必要になる場面も多いのです。だからこそ、医師側は患者さんと一緒になって無理のない方法を模索し、患者さんがご自身の体に関心を持ち続けられるようサポートしていくべきでしょう。実際、私もその方針を貫き、日々診察を行っています。

すでに述べたように、不整脈や心不全はある日突然起こるわけではなく、多くの場合、体がちゃんとサインを送ってくれています。早く兆候を見つけることでその後の選択肢も大きく変わります。

動悸や息切れ、むくみといった「いつもと違うな」という症状があれば、どうか1人で抱え込まず、医療機関を受診いただきたいと思っています。

ご自身の体をいたわり、丁寧に向き合っていただくことが、健やかな未来につながっていくはずです。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。