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その手指の痛み、“年のせい”で片付けていませんか? 更年期を迎えた女性を悩ませる「メノポハンド」

公開日

2026年03月03日

更新日

2026年03月03日

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2026年03月03日

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はせがわ整形外科運動器エコークリニック 院長/長谷川 英雄 先生

更年期の女性に多いとされる手指の痛みやしびれ、こわばり。これまで「年のせいだから仕方ない」と思われがちだったが、最近では、女性ホルモンの変化が要因の1つだということが分かってきた。こうした症状は、「メノポハンド」という疾患概念として注目されている。

今回は、この女性特有の症候群について、長年、手外科診療に携わってきた、大阪市平野区にあるはせがわ整形外科運動器エコークリニック 院長・長谷川 英雄(はせがわ ひでお)先生にお話を伺った。

手指の不調「メノポハンド」とは

メノポハンドは、更年期の女性によくみられる手指の痛みやしびれ、こわばりなどの不調をまとめて表した言葉です。「年のせい」と受け止められることも少なくなかったこうした不調には、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下が関与している可能性が指摘されています。事実、同様の症状は更年期だけではなく、産後の授乳期など、ホルモンバランスが大きく変動する時期にもみられることがあります。

これを受けて日本手外科学会では、更年期前後に現れる手指の症状を「メノポハンド」として取り上げ、一般向けの情報提供や啓蒙活動を行っています。

「メノポハンド」代表的な病気は3つ

メノポハンドと呼ばれる病気のうち、代表的なものは次の3つです。

1つ目は「ばね指(弾発指)」です。指の付け根に痛みや腫れが生じ、曲げ伸ばしの際に引っかかりや、ばねのように弾ける動き(ばね現象)がみられます。

2つ目は「手根管症候群」です。手首の“手根管”という部位で正中神経が圧迫され、親指から中指(あるいは薬指の親指側)にしびれや痛みが生じるのが特徴で、夜間・明け方に症状が強くなることがあります。

3つ目は「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎<きょうさくせいけんしょうえん>)」です。手首の親指側に痛みや腫れが生じ、親指を広げたり動かしたりすると痛みが強くなる病気です。更年期だけでなく、妊娠出産期の女性にも多いことが知られています。

これらの病気は、症状が進行すると日常生活や動作に支障が出ることも少なくありません。

症状が進行する前に、専門医に相談を

手指の不調が続く場合は、まず医療機関で原因を確認することが大切です。症状が悪化する前に、手外科専門医(日本手外科学会認定)などを受診するとよいでしょう。

診察では、X線検査で骨や関節の状態を確認し、必要に応じて血液検査で炎症の程度などを調べます。近年は、超音波検査(エコー)を診療に取り入れ、腱や靱帯(じんたい)、神経などの状態を確認することもあります。また症状によっては、関節リウマチなど別の病気との鑑別が必要になる場合もあります。

広がりつつある治療の選択肢

近年、メノポハンドに対する治療の選択肢は増えており、症状や状態に応じて複数の方法を検討できるようになっています。たとえば炎症が強い場合にはステロイド注射や関節の状態に応じたそのほかの注射療法が選択されますし、ホルモンバランスに配慮する場合は漢方薬が用いられることもあります。

これらの保存的な治療で十分な改善が得られない場合には、手術が検討されることもあります。最近は体への負担が少ない手術方法も広がっており、入院が難しい方のために日帰り手術を実施する医療機関も増えてきています。

メノポハンドは、早い段階で状態を把握し、適切な対応を行うことで、手指の変形や症状の進行を抑えられる可能性があります。手のこわばりや指の痛みを感じた際は「年のせい」と決めつけず、まずは近所の整形外科クリニックに相談してみてください。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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