連載クリニックの現場から

疲れが取れなかったり、 気分が落ち込んだままだったり。 40歳代になったら知っておきたい、 男性更年期障害とは

公開日

2026年04月03日

更新日

2026年04月03日

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2026年04月03日

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新橋消化器内科・泌尿器科クリニック 理事長/伊勢呂 哲也 先生

気分の落ち込みや集中力の低下が長く続くとき、ストレスや過労のせいだと見過ごす人もいれば、“うつ病”ではないかと疑い始める人もいるかもしれない。しかし、こうした精神的な症状の背景には、男性ホルモンの変化が関係する「男性更年期障害」が潜んでいる可能性もある。男性更年期障害は加齢だけでなく、生活習慣やストレスによってホルモンのバランスが揺らぎ、心身にさまざまな症状をもたらすとされる。

そこで、新橋消化器内科・泌尿器科クリニック、池袋消化器内科・泌尿器科クリニック、東京泌尿器科クリニック上野、大宮エヴァグリーンクリニックの理事長として診療にあたっている伊勢呂 哲也(いせろ てつや)先生に、男性更年期障害とはどのような病気なのか、どのように判断されるのかについてお話を伺った。

「疲れ」「落ち込み」「体の変化」が重なるときに

男性更年期障害は、疲れや落ち込みなどの精神的な不調に加えて、体の違和感を覚える方も多くいらっしゃいます。寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、汗をかきやすい、ほてる、関節が痛む――これらの“体のサイン”が少しずつ積み重なり、気付けば意欲が続かなくなっているというケースもあります。

こうした変化の背景には、年齢によるホルモンのゆるやかな低下に加え、仕事のストレスや生活リズムの乱れが関与していることがあります。どれか1つが明確な原因というより、複数の影響が重なり合うことで心身の不調が表れるため、ご自身では気づきにくいことが少なくありません。

精神症状=うつ病とは限らない

気分の落ち込みや意欲の低下があると「うつ病かもしれない」と心配される方もいますが、男性更年期障害のように加齢やストレスなどに伴うホルモンの変化が主に関わっている場合もあれば、甲状腺機能の低下や生活習慣病など他の病気が影響していることもあります。「どこに原因があるのか」をご自身だけで切り分けることは容易ではないため、特に症状が続くときには一度、専門家に相談していただくのがよいでしょう。

男性更年期障害かどうかを判断するには

診察では、精神面だけでなく体や生活の変化についても尋ねられるでしょう。いつ頃から調子が落ち始めたのか、睡眠の質がどのように変わったか、働き方に影響する出来事がなかったか。不調の背景をより具体的に探るため、症状の“時間の流れ”などを整理することが大切なのです。

さらに、テストステロン値や甲状腺ホルモン、炎症反応、肝機能などを確認するための血液検査が行われます。

こうした問診内容と検査結果を組み合わせることで、加齢やストレスによるものなのか、生活習慣などによるホルモンの変化が関与しているのか、、あるいは別の病気が隠れているのかを、より総合的に評価できます。

また、AMSスコアという質問票を用いることで、精神面や身体面の変化を体系的に整理し、どの領域に負担がかかっているかを分かりやすくすることができます。

自己判断で思い悩むよりも、このようにして専門医と一緒に原因や症状について探るほうが、回復の糸口が早く見つかると思います。

治療の選択肢は幅広い。専門医に相談することが大きな一歩

不調の背景が明確になると、対処の方向性が見えやすくなります。生活リズムを整えるだけで落ち着く方もいれば、必要に応じてホルモン補充療法を検討する場合もあります。治療の選択肢は1つではなく、どの方法を選ぶとしても、ご自身の体調や生活に合わせて無理なく進めることが大切です。

また、不調が続くと、自分を責めたり我慢したりしてしまう方が多いのですが、つらさを1人で抱え込まず、気がかりに思う段階で近くのクリニックを受診してみてください。

まずは相談することで状況が整理され、それによって少しでも心の負担が軽くなることを願っています。

 

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