おかむらクリニック 内科・消化器 院長/岡村 喬之 先生
大腸がん・胃がんは、日本において依然として罹患数の多い病気であり、特に大腸がんは死亡原因の上位である。早期の段階では自覚症状に乏しいため、日常の中で感じる“わずかな違和感”を抱えたまま、忙しく過ごしている人も少なくない。
一方で、内視鏡の検査技術や検査前の前処置については手法が大きく進化し、多くのクリニックで負担の少ない検査体制が広がっている。兵庫県神戸市・西神中央のおかむらクリニック 内科・消化器 院長である岡村 喬之(おかむら たかゆき)先生は、「軽い不調の段階で受診することが、未来の健康を守る一歩になる」と話す。そこで、内視鏡検査がどのように進化し、患者さんの負担を軽減しているのかお話を伺った。
私のクリニックでは、症状がはっきり現れてから受診される患者さんが多いという印象です。大腸がんや胃がんは、初期段階ではほとんど痛みを感じることがなく、体調の変化もあいまいなことが多いです。ただ、お腹の張りやみぞおちの違和感、便通の変化といった“よくある不調”の裏に、がんが隠れていることもあります。
症状が軽いうちに地域のクリニックを受診すれば、検査によって現在の状態を確認でき、何らかの異常があっても早期に対応することが可能です。
医療は“困ったことになってから頼るもの”ではなく、“自分の体を知るために、定期的に使うもの”。そんなふうに捉えていただける方が増えるとよいなと思っています。
内視鏡検査には「つらい」「苦しい」というイメージがいまだに根強いようですが、現在は患者さんへの負担が軽減され、前処置についても患者さんの負担が軽減され、ストレスをあまり感じずに行えるようになったと思います。
たとえば、当クリニックの大腸の内視鏡検査では、患者さんの体質や過去の経験に応じて検査前の下剤の飲み方や量を調整できます。過去、強い腹痛に見舞われた経験があるなど前処置で苦しい思いをした方には、以前とは別の方法もご提案することができます。
また、胃の内視鏡検査は経口・経鼻のどちらにも対応するクリニックが増えてきていて、当クリニックでも両方を採用しています。経口内視鏡は短時間でより詳細に検査できるメリットがあり、嘔吐反射が心配な方は鎮静薬を用いることも可能です。ただ、鎮静薬を使った場合、その日は車の運転ができないなどの制限があるため、経鼻内視鏡が使用されることもあります。患者さんはそれぞれのメリット・デメリットの説明を受けたうえで、自分にとってどの方法がよいのか医師と一緒に検討するとよいでしょう。
このように、一口に内視鏡検査といっても決まった1つの方法だけでなく、個々の体質や状況に合わせて方法を選べる検査へと変わってきています。
内視鏡検査の進歩は前処置や検査中だけでなく、検査後の過ごしやすさにも反映されています。大腸の内視鏡検査では、炭酸ガスを用いることで、空気を送気する従来の方法よりも検査後にお腹の張りが残りにくくなりました。不快感が大きければ仕事や家事などに支障をきたしかねないだけに、検査後の過ごしやすさは重要な要素でしょう。
また胃カメラについては、機器の進歩などによって検査時間が短縮され、現在は組織の採取などがなければ数分程度で終えられるようになりました。さらに、拡大観察できる医療機器を使用することで小さな変化にも気付きやすくなり、患者さんの負担軽減とともに検査の精度向上も実現しています。
大腸がん・胃がん予防の観点でいえば、内視鏡検査は病気を見つけるためだけのものではなく、将来への安心を得る手段の1つとして役立てることができます。まずは、相談の場として地域のクリニックを活用してみてください。
気になる症状がどういう性質のものなのか、すぐに対応が必要なのか、それとも経過を見てよい状態なのか。受診することで、医師と一緒に整理することができます。誰にでも体調には波がありますし、全てを自分だけで判断する必要はありません。
忙しい毎日のなかでも、少しだけ時間をつくって近くのクリニックを受診することが、結果的に大腸がん・胃がんの予防につながると考えています。
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