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「検査で異常なし」でも、妊娠するとは限らない? 不妊治療の専門医が語る、見えにくい不妊のしくみ

公開日

2026年06月30日

更新日

2026年06月30日

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2026年06月30日

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松本レディースIVFクリニック 理事長/松本 玲央奈 先生

「検査では特に異常がないのに、なかなか妊娠しない」。不妊治療の現場では、こうした声を耳にすることが少なくない。一般に、検査で異常が見つからなければ妊娠できると考えたくなるのは自然なことだ。しかし、妊娠が成立するまでの体のはたらきには、通常の検査では捉えきれない過程がいくつも存在する。

東京・池袋駅前すぐの松本レディースIVFクリニック 理事長であり、生殖補助医療を専門とする松本 玲央奈(まつもと れおな)先生に、検査だけでは見えにくい不妊のしくみなどについてお話を伺った。

「検査で異常なし」が、安心とは限らない

不妊の検査を受けて「特に異常はありません」と言われると、多くの方は安心されます。けれども、妊娠という現象は、いくつもの細かなはたらきが順番に成功して初めて成り立つものです。そして、その一つひとつを検査で確かめることは、実はとても難しいのです。

たとえば、排卵についてです。簡単な検査では、本当に卵子が飛び出したかどうかまでは分かりません。超音波で見えるのは卵胞という袋であって、卵子そのものは顕微鏡レベルの大きさのため確認できないからです。卵胞がなくなったから排卵したのだろうと推測することはできても、それは「煙が消えたから火も消えたはずだ」と判断するのに近いところがあります。

妊娠は、いくつもの関門を越えて成立する

排卵された卵子は、卵管采という組織がキャッチして卵管へ取り込みます。これは体が自動的に行う動きですが、うまくできない方もいらっしゃいます。その先では、精子と出会って受精が起こり、受精卵が卵管を通って子宮へ戻ってきます。

こうした過程の多くは、検査では確認できません。精子の検査で分かるのは、精子がいるか、動いているかまでで、実際に受精する力があるかは別の話です。受精卵がきちんと子宮へ戻れているかどうかも、通常の検査では見えません。どこか1か所でもつまずくと妊娠は成立しないのに、その「どこ」が分かりにくい。これが、この分野の難しさです。

痛みも自覚症状もないからこそ、見過ごされやすい

体の不調の多くは、痛みや違和感といったサインを伴います。けれども、こうした妊娠にまつわる機能のつまずきは、痛みも自覚症状もないことがほとんどです。だからこそ、本人が気付くきっかけがなく、「なぜ妊娠しないのか分からない」という状態が続いてしまいます。

私がお伝えしたいのは、妊娠しないことを、ご自身の努力不足かのように受け止めないでほしいということです。検査で異常が見つからないことと、体のはたらきが全て順調であることは、必ずしも同じではありません。そのため、不妊治療にどの程度時間がかかるのか、事前に見立てることは難しいのが実情です。気になる段階で、早めに専門の医療機関に相談していただくことが大切だと考えています。

医療機関を選ぶ視点――第三者認証機関の存在

最後に、医療機関選びについて1つご紹介したいことがあります。不妊治療の分野では、外部の第三者機関による認証や監査というしくみがあります。外部の専門家が医療機関の体制や実際のデータを客観的にチェックして、一定の基準を満たしているかを確認する取り組みです。

日本では、学会のほかにJISART(日本生殖補助医療標準化機関の略。日本の生殖医療の質向上を目指す)などがありますが、こうした第三者認証機関の存在は、まだ広く知られているとはいえません。けれども、医療の質を客観的な目で確かめてもらっているかどうかは、患者さんにとって医療機関を選ぶときの1つの手がかりになり得ると思っています。

費用面や通いやすさだけでなく「外部のチェックを受けている医療機関かどうか」という視点も持っていただくと、ご自身に合った医療機関を見つける手助けになるかもしれません。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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