あおぞらクリニック新橋院 院長/内田 千秋 先生
梅毒は、「昔は流行っていた」「今となっては珍しい感染症」という印象を持たれがちだ。しかし実際には、国内の感染者数は10年以上前から増加傾向にあり、2021年以降急激に増えている。現在も、クリニックなどの診療の現場でよく確認されている性感染症の1つである。
梅毒の特徴は、初期症状が軽かったり、痛みを伴わなかったりするために気付かれにくい点にある。そのため、症状が一時的に落ち着くことで「治ったのではないか」と自己判断してしまうケースも少なくない。
そこで、オフィス街の中心地でもある東京都港区の新橋駅前で10年以上にわたり性感染症の相談を受けてきた、あおぞらクリニック新橋院の院長で日本性感染症学会認定医でもある内田 千秋(うちだ ちあき)先生に、梅毒とはどのような病気なのか、さらに検査や治療方法などについてもお話を伺った。
梅毒は過去に流行した病気で、名前を聞いたことがある程度という印象が強いかもしれません。しかし実際は、現在も診療の現場で確認されている性感染症です。
梅毒は、原因となる細菌に感染することで発症し、初期には性器や口、肛門(こうもん)の周囲などにしこりやできものが現れます。
ただ、これらの症状は痛みを伴わないことも多く、見過ごされやすいのが特徴です。時間が経つと自然に症状が目立たなくなることもあるため、梅毒にかかったことに気づかず「治ったのだろう」と自己判断してしまう方もいらっしゃいます。しかし、症状が落ち着いたからといって、体の中に細菌が残っていないとは限りません。
梅毒は、特定の年齢層や限られた人だけがかかる病気ではありません。実際の診療では、若い世代から中高年まで、幅広い年代の方が相談に来られます。
相談者の中には、ご自身に症状がなくても、パートナーが感染していたことをきっかけに不安を感じ、検査を検討される方も少なくありません。症状の有無だけで感染を判断できない点は、梅毒を含む性感染症全般に共通する特徴です。
梅毒については、「最近になって急に増えた病気」というイメージを持たれることがあります。ただ、現場の実感としては、ここ十数年にわたり増加傾向が続いています。一時的な流行というより、長い時間をかけて広がってきたと捉えるほうが実態に近いでしょう。国際的に人の交流が活発になるなかで、感染症の広がり方も変化しています。
そうした背景に加えて、梅毒には感染が広がりやすい性質がある点も見逃せません。梅毒の感染力は強く、感染後およそ1年未満の梅毒患者と性交渉を行った場合、感染率は30%ともいわれています。
加えて、感染した部位が性器であっても、血液の中に入るためキスなどで口唇(こうしん)から他人にうつすことがあり、注意が必要です。
梅毒は、適切な治療によって改善が期待できる病気です。抗菌薬治療といった治療法が確立されているからこそ、早い段階で気付き、対応することが重要になります。
一方で、症状の有無だけでは判断が難しく、不安を抱えたまま様子を見てしまう方もいます。性感染症の検査は、「強い症状が出てから受けるもの」ではなく、少しでも不安があれば試す手段と考えてよいものです。
ただし、梅毒の感染機会から日が浅いと、検査をしても結果に反映されにくい時期があります。早めに確認したい場合は、目安として感染が疑われる日から4週間ほど経った後に検査を受けてください。そのうえで、パートナーが梅毒と判明しているなどリスクが高い場合には、最初が陰性でも、2か月以上あけてもう一度検査をすることになります。1回で判断をつけたい方は、感染機会から2か月以上経った後に検査を受ける方法もあります。
誰にも知られずに相談したい、症状はないけれど確認しておきたい――そうした気持ちを抱くこと自体は、決して特別なことではありません。必要以上に怖がらず、医療機関できちんと確認する。その姿勢が、梅毒と向き合ううえでの現実的な選択肢です。医療機関側も、患者さんのプライバシーに配慮したさまざまな工夫を行い、できるだけ通院の手間や検査のストレスを減らすよう努めています。
ぜひ、お近くのクリニックでご相談ください。
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