ひろせ脳神経外科・頭痛クリニック 院長/広瀬 誠 先生
頭痛やめまいといった症状は、よくある不調としてやり過ごされがちだ。しかし、中には脳の重大な病気のサインが隠れている場合や、高血圧症や糖尿病といった病気が影響しているケースもある。
長崎県佐世保市にあるひろせ脳神経外科・頭痛クリニック 院長であり、日本脳神経外科学会認定の脳神経外科専門医など複数の専門医資格を持つ広瀬 誠(ひろせ まこと)先生が大切にしているのは、脳を単独で考えない「こころ(脳)とからだ(体)の調和」という視点だ。なかでも、現役世代が心身を整えることの大切さについてお話を伺った。
脳卒中などの脳の病気は、ある日突然起こるかのように思われがちです。
しかし、日々患者さんと接するなかで、その背景には高血圧症や糖尿病、喫煙、運動不足など、ほかの病気や長年の生活習慣が関わっていることが多いという実感があります。
私自身、家族が脳卒中に見舞われたこともありました。医師であっても、身近な人が倒れたときの衝撃や戸惑いは大きなものです。私にとっては、治療だけでなく病気を予防することの重要性をより強く意識するきっかけになりました。
頭痛を、いつものことと我慢している方は少なくありません。その中には一時的な不調に過ぎないケースもあれば、重い病気が背後に隠れているケースもあります。もちろん、全ての症状が深刻な病気に結びつくわけではありませんが、慢性的な痛みや不調はQOL(生活の質)を大きく下げてしまいます。
医師としては、重大な病気を見逃さない視点を持ちつつ、日々の生活や体の状態も含めて考えることが大切だと感じています。脳の症状であっても、体全体のバランスと無関係ではないからです。
たとえば私の場合、趣味も兼ねて筋力トレーニングを通した「こころ(脳)とからだ(体)のコンディショニング」に取り組んできました。体力や生活リズムが整っていると、集中力や記憶力も安定しやすい傾向があります。
とくに40歳を過ぎた現役世代は、仕事も家庭も忙しく、更年期の影響を受けやすい時期でもあります。男性であればテストステロンの低下、女性であれば女性ホルモンの変化が体調や気分に影響することが知られています。
適度に負荷をかける運動(レジスタンストレーニング)は、こうしたホルモンや身体機能の面からもよい影響を与える可能性があるとされています。
もちろん、患者さん全員に一律に運動をすすめるわけではありませんが、年齢や体力に見合ったトレーニングやエクササイズを無理のない範囲で取り入れることは、脳の健康を考えるうえでも大切だと感じています。
いきいきとした毎日を送るためには、頭をクリアに保つことと、体を整えることの両方が重要だと私は考えています。どちらか一方だけではなく、バランスが保たれてこそ、本来の力が発揮されるのではないでしょうか。
脳卒中のような重大な病気も、慢性的な頭痛やめまいも、私たちの生活の延長線上にあります。また、認知機能の低下や、認知症の発症を予防するためにも運動は効果的とされています。
だからこそ、脳だけを切り離して考えるのではなく、日々の過ごし方や体の状態を含めて捉えることが求められます。
この視点が、多くの人にとって自分の健康を見つめ直すきっかけになればと願っています。
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