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「なんとなく、お腹の調子が悪い」は受診のサイン?専門医が語る、気になる違和感との向き合い方

公開日

2026年05月22日

更新日

2026年05月22日

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2026年05月22日

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横浜内科おなかクリニック 院長/山田 晃弘 先生

腹痛や下痢、血便、便秘といった症状がなくても、「なんとなく調子が悪い」「以前と少し違う気がする」と感じることは誰にでもある。しかし、そんなささいな違和感を理由に医療機関を受診するのは、気が引けるという人も多いのではないだろうか。

消化器の病気は、強い症状が出る前に小さな変化が現れることも少なくない。そこで、東急田園都市線・たまプラーザ駅前で地域診療を行う横浜内科おなかクリニックの院長であり、日本消化器病学会認定の消化器病専門医・日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医など複数の専門医資格を持つ山田 晃弘(やまだ あきひろ)先生に、お腹の違和感との向き合い方についてお話を伺った。

ささいな症状でも「気になる」という感覚を大切にしてほしい

外来では、はっきりした症状がない方からの相談も少なくありません。痛みはないものの、以前と比べて体調が違う気がする。理由は分からないけれど不安が残る。そうした感覚が生まれた時点で、受診のきっかけとしては十分だと考えています。

医療機関は、症状がはっきりしてから行く場所だと思われがちですが、実際には「今の状態を一度確認したい」という段階で相談しても問題ありません。その迷いを抱えたままにしないことが大切です。

大腸の病気は、年単位でゆっくり進行することも

特に、大腸の病気の多くは、ある日突然強い症状が現れるわけではありません。年単位でゆっくり進行し、日常生活の中でささいな症状ですら感じにくいこともあります。そのため「これくらいなら大丈夫だろう」と見過ごされやすいのが特徴です。

たとえば、大腸がんの芽ともいわれる大腸ポリープは、内視鏡検査で偶然見つかるケースも少なくありません。また、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)のように下痢や血便が続く病気でも、症状の出方には波があり、丁寧に経過をみながら治療方針を決め、継続的に向き合っていくことが大切です。

できるだけ、痛みやつらさをおさえた内視鏡検査

内視鏡検査と聞くと、「痛そう」「つらそう」「恥ずかしい」といったイメージから、なかなか踏み出せない方も少なくありません。しかし、検査に使用する医療機器や検査フローについては年々進化しており、以前と比べると体への負担はおさえられています。現在では、ご希望や体調に応じて鎮静薬を使用し、できるだけ苦痛を減らして眠ったような状態で検査を受けることも可能になっています。

また、特に大腸の内視鏡検査は症状が強く出てから受けるものというよりも、目安として40歳を過ぎた頃から健康管理の一環として検討されてもよいと思います。まずは今の体調や生活状況を整理しながら、医師と相談したうえでタイミングを決めることが大切だと考えています。

「何もなくてよかった」で終わる受診も、大切な一歩

受診した結果、特に問題が見つからないこともあります。それでも、その時間が無駄になることはありません。

何もなかったと確認できること自体が、安心して日常生活に戻るための材料になります。無症状でも、なんとなく不調な気がする。その段階で相談することが、結果的に健康寿命を守ることにつながります。

お腹の症状は、生活習慣やストレス、年齢の変化によって感じ方が変わることがあります。そのため、「どこに相談すればよいか分からない」と戸惑う方も少なくありませんが、地域のかかりつけ医は検査や治療を行うだけでなく、必要に応じてより専門的な医療機関につないだりする役割も担います。

お腹の症状に限らず、かぜや花粉症、日々の体調管理まで含めて“困ったときにいつでも相談できる場所”がすぐ近くにある。その安心感こそが、地域診療の大切な価値だと考えています。

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