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疲れ目・かすみ目を年齢のせいと放置しないで。 専門医が解説する、目の違和感との向き合い方

公開日

2026年03月23日

更新日

2026年03月23日

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2026年03月23日

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今井眼科医院 院長/今井 大介 先生

50歳を過ぎたころから、見え方に"なんとなくの違和感"を抱く人が増える。夕方になると文字がぼやける、夜間の車のライトがやけに眩しく感じる、目が重たく疲れやすい――こうした変化は「加齢のせい」と片づけられがちだが、実は白内障など進行性の病気のサインである場合もある。

白内障は、瞳孔の奥にある水晶体が少しずつ濁っていく病気だ。近年は日帰り手術で治療できるケースも多いが、発見が遅れると治療の選択肢が狭まることもある。また、視界の変化に慣れてしまうと受診のタイミングを逃しやすく、緑内障など別の病気の症状にも気づきにくくなるという。

そこで、千葉県茂原市にある今井眼科医院の院長であり、日本眼科学会認定の眼科専門医でもある今井 大介(いまい だいすけ)先生に、50代からの目の定期検診の重要性や白内障の治療法についてお話を伺った。

50歳を過ぎると、“見え方の変化”が始まる人も

50歳代に入ると、目のピント調整が少しずつ難しくなっていきます。夜間に運転した際に対向車のライトがまぶしく感じられたり、パソコンやスマートフォンの画面を見ると疲れやすくなったりする方も多いでしょう。こうした変化を「仕事で疲れているだけ」「老眼だから」と受け止め、受診を先延ばしにしてしまうケースも少なくありません。

実際、50歳という年齢は白内障の治療を考えるにはまだ早い時期です。しかしその一方で、見え方の変化が始まる年代でもあり、40~50歳代から定期的に目の状態を確認しておくことが重要になります。近年では、加齢に伴う目の機能の衰えを早期に捉える「アイフレイル」という考え方も広がっています。

目は左右どちらかが見えづらくても、もう片方が補ってくれるため、違和感があっても気付きにくく、次第に慣れてしまうことがあります。その結果、変化を見過ごしたまま時間が経ってしまう方も少なくありません。

60歳代になると、白内障によるかすみやまぶしさなどの症状を自覚し始め、日常生活への影響を感じやすくなります。この段階で初めて、手術を含めた治療を検討する方も増えてきます。だからこそ、「まだ大丈夫」と感じる50歳代のうちから検診を受け、目の変化を把握しておくことが大切です。

また、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある場合は、比較的若い年代から症状がみられることもあるので注意が必要です。

白内障は対処できる。だからこそ、早めの受診を

白内障は、水晶体が濁ってしまうことで視界がかすんだり、必要以上にまぶしく見えたりしてしまう病気です。通常は年齢とともにゆっくり進行していきます。治療の流れとしては、どの程度水晶体が濁っているのかを調べ、日常生活にどのくらい影響しているかを確認します。

初期であれば点眼薬で進行をゆるやかにする場合もありますが、いったん生じた水晶体の濁りが、治療をせずに自然に改善することはありません。見えづらさが生活に影響してきたら、根本的な治療として手術で濁った水晶体を取り除き、人工レンズ(眼内レンズ)に置き換える流れになります。

手術を行うのは70歳代以降が中心で、手術前に眼内レンズを単焦点にするか多焦点にするかを検討します。一般的な単焦点レンズは保険診療、多焦点レンズは選定療養(手術は保険適用、レンズ代は自己負担)となります。

全ての方が多焦点レンズを使えるわけではなく、単焦点レンズのほうが適しているケースもあり、眼科医と相談しながら選択することが大切です。

自己判断せず、まずは眼科医に相談を

50歳代以降になると、白内障以外にも見え方に影響する病気は少しずつ増えてきます。たとえば加齢黄斑変性は、物の中心がゆがんで見えたり暗く感じたりする病気です。病気が片目だけの場合は、もう片方の目が見え方を補うために気付きにくいこともあります。

また、ドライアイの状態が続くと、かすみやぼやけ方が複雑になり、原因を自分で判断することは難しくなります。疲れのせいだと思っていたら、実際には白内障や緑内障などの複数の病気が同時に進んでいたという例もあります。

診察時、症状や見え方の変化を医師にうまく説明できなくても問題ありません。「検査だけ受けたい」という相談でも構いませんので、気になる違和感があれば、早めに眼科を受診してみてください。

 

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