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胃も大腸も、症状が出てからでは遅い? 専門医が語る、40代からの内視鏡検査のすすめ

公開日

2026年03月31日

更新日

2026年03月31日

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2026年03月31日

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しばじクリニック 院長/柴地 隆宗 先生

胃や大腸の病気は初期段階では自覚症状が乏しく、日常生活の中では気付きにくいことがある。ポリープやがん、炎症などの変化が進んでいても、まったく不調を感じないまま過ごしてしまうケースも少なくない。しかし、症状がないから安心という考え方には落とし穴があり、早い段階で「自分の状態を知ること」が健康管理には大切だ。

そこで、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医として京都市南区で内視鏡診療に長年携わってきた、しばじクリニック院長・柴地 隆宗(しばじ たかむね)先生に、40歳代を迎えたら内視鏡検査を検討することの意義についてお話を伺った。

症状がなくても、胃や大腸の中で変化が起きていることも

症状がなければ、「特に問題はない」と感じるのは自然なことです。ただ、胃や大腸といった消化器は、病気の初期段階では自覚症状が出にくい臓器でもあります。たとえば、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した際の胃炎は、粘膜の炎症が進んでいても、痛みが現れることはほとんどありません。ポリープや早期の大腸がんも同様で、進行していても日常生活の中では気付かれないことがあります。

実際に検査を受けてみると自分が想像していた状態と大きく違っていた、という患者さんに出会うことも少なくありません。だからこそ、症状が出ていなくても、40歳代を迎えたら一度は現在の自分の状態を把握する機会を持つことが、その後の安心につながると考えています。

“自分の状態を知る”ことが、将来の安心につながる

たとえばヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃炎は、早い段階で見つけて対応することで、将来的な胃がんや胃潰瘍(いかいよう)のリスクを下げることができます。また前述したとおり、大腸ポリープの多くは、痛みや出血といった症状がないまま気付かないうちに進行することがある一方で、小さな段階で発見できれば、体への負担が少ない治療を選択しやすくなります。

検査を受けることで、今すぐ治療が必要なのか、あるいは様子を見ながら経過観察をしていけばよいのかが分かります。自分の現状を把握することで、将来の見通しも立てやすくなり、安心につながるでしょう。

AIも内視鏡診療を後押しする時代

ここ数年、内視鏡診療の分野ではAIの活用が進み、医師の観察や判断をサポートする技術が登場しています。たとえば、食道や胃の中で腫瘍(しゅよう)が疑われる部分をリアルタイムで示したり、胃の主要な観察ポイントが漏れなく確認されているかをチェックしたりする機能があります。大腸ポリープの発見を助ける機能もあり、検査の質を保つための補助的なツールとして役立っています。

最終的な判断を行うのは医師ですが、こうした技術の後押しによって、体の状態をより丁寧に確認できる環境が整いつつあります。

検査を「痛かった」「つらかった」で終わらせないために

内視鏡検査に対して、「痛そう」「苦しそう」というイメージを持っている方は少なくありません。実際、過去につらい経験をしたことで検査から遠ざかり、その結果、病気の発見が遅れてしまったというケースも見てきました。

しかし近年、多くの医療機関で、鎮静薬や鎮痛薬を併用するなど、できるだけ負担を抑えた方法で検査を受けられるようになってきました。以前と比べて、検査の受け方の選択肢が広がっているのです。

また、前処置ができる個室を備えたり、リラックスして検査に臨める環境づくりに取り組んだりと、さまざまな工夫が行われています。

検査がネガティブな記憶として残ってしまうと、その後の健康管理にも影響が出かねません。だからこそ、検査を“つらいもの”としてではなく、“自分の体の状態を知るための機会”として受け取ってもらえるように、多くのクリニックが環境や体制を整えています。「昔は大変だった」という印象をお持ちの方にも、今は変わってきていることを知っていただきたいです。

そういった以前のイメージも含め、内視鏡検査に対して不安を感じる方は少なくないと思います。まずは相談だけでも構いません。検査を受けるかどうかを決めるのは、その後で大丈夫です。大切なのは、“気になったときに1人で抱え込まないこと”なので、気になることがあれば、ぜひ早めに地域のクリニックにご相談ください。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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