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赤ちゃんのしゃっくり:医師が考える原因と対処法|症状辞典

赤ちゃんのしゃっくり

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 飲食、睡眠に支障がある
  • 発熱、お腹が張っているなどの症状がある
  • 1日以上続いている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

あいち小児保健医療総合センター 救急科 医長

伊藤 友弥 先生【監修】

しゃっくりとは、横隔膜のけいれんに伴い声帯が素早く閉じることで甲高い発声が生じる症状のことです。数秒~数分間に同様の不随意運動(無意識に起こってしまう筋肉の運動)が繰り返された後に、自然と治まります。

しゃっくりは乳児から高齢者まで全ての年代で日常的に起こる症状ですが、赤ちゃんは横隔膜の機能などが未熟なため、些細なことが原因でしゃっくりを起こす場合があります。

  • 授乳後にしゃっくりが止まらず、嘔吐してしまう
  • 排尿や排便時にしゃっくりをする
  • 風邪をひいて高熱があり、しゃっくりが止まらなくなった

赤ちゃんにこれらの症状が見られた場合、原因としてどのようなものが考えられるのでしょうか。

赤ちゃんは横隔膜や神経の発達が未熟なため、些細な刺激でしゃっくりを起こすことは日常茶飯事です。赤ちゃんのしゃっくりの多くは自然に止まって問題とならないことがほとんどですが、なかには以下のような病気が原因のこともあります。

赤ちゃんのしゃっくりは、横隔膜を刺激する病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

肺炎

細菌やウイルス感染による咽頭炎などの炎症が肺にまで波及する病気です。免疫力が未熟な赤ちゃんは、風邪が悪化して肺炎を引き起こすことも少なくありません。肺炎を発症すると肺の直下にある横隔膜に刺激が加わってしゃっくりを引き起こすことがあります。肺炎の中でも特に肺の下のほう(足元のほう)で炎症(下葉肺炎)がある場合に起きることが多いです。生理的なしゃっくりとは異なり、長く続いて呼吸困難を引き起こすケースもあります。

呑気症(どんきしょう)

空気を大量に飲み込んで、胃や腸が膨満する病気です。赤ちゃんは授乳や啼泣した(声を上げて泣いた)際に空気を飲み込むことが多く、呑気症を発症することがあります。その結果、大きく膨らんだ胃が横隔膜を刺激してしゃっくりを引き起こすことがあります。そのほかにも頻回なげっぷや嘔吐、腹部膨満などの症状を伴うのが特徴です。

イレウス

消化管の運動が低下したり消化管の一部が閉塞したりすることで、便やガスが腸内に停滞する病気です。赤ちゃんは感染性胃腸炎腸重積などでイレウスを起こしやすく、腹部が大きく膨満することで横隔膜を刺激してしゃっくりを引き起こすことがあります。また、なかにはヒルシュスプルング病などの生まれつきの病気によって生後間もない頃からしゃっくりが止まりにくくなるケースもあります。

多くは発熱や嘔吐などの症状を伴い、治療が遅れると腸管壊死などを引き起こして重篤な状態になることも少なくありません。

肝芽腫、腎芽腫など

赤ちゃんの肝臓や腎臓などに発生しやすい腫瘍で、成人の腫瘍よりも病変が急速に大きくなるのが特徴です。体表面からも腫瘍のしこりが触れるようになることも多く、お腹の中で増大することで横隔膜を圧迫してしゃっくりの原因になることがあります。

いずれも発生頻度は低い腫瘍です。

しゃっくりは、横隔膜を制御する神経系に生じる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

髄膜炎、脳炎

細菌やウイルス感染によって髄膜や脳に炎症が波及する病気です。赤ちゃんは中耳炎や風邪をひいた後に髄膜炎脳炎を発症することがあり、それが原因となってしゃっくりが引き起こされることがあります。

高熱が出て、嘔吐、呼びかけに反応しない・目が合わない・ぐったりしているなどの症状が生じるのが特徴で、早急に治療を開始しないと重い後遺症を残すことがあります。ただし、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザ桿菌(Hib)ワクチンの普及により子どもの細菌性髄膜炎はかなり減少しています。

てんかん

脳の神経細胞の一部が過剰に興奮することでけいれんや意識消失などを引き起こす病気です。先天的のものと外傷脳卒中などの後天的なものがありますが、先天的なてんかんでは赤ちゃんの頃からけいれん発作を生じることがあり、しゃっくりの原因となる場合があります。

赤ちゃんのしゃっくりは日常的に非常によく見られる症状であるため基本的には経過を見てよいことがほとんどです。ただし、なかには思わぬ病気が潜んでいることもありますので症状が長引いたり繰り返されたりする場合は、病院で相談するのが望ましいと考えられます。

特に、呼吸困難や意識消失など重篤な全身の症状が見られる場合には直ちに受診しましょう。頻回な嘔吐を繰り返す場合、腹部にしこりが触れる場合などはなるべく早めに病院を受診しましょう。

受診に適した診療科は小児科ですが、全身状態が悪い場合は休日・夜間を問わず救急外来への受診が必要になります。受診の際には、いつからしゃっくりが出やすくなったのか、しゃっくりが続く時間、随伴する症状、現在罹患している病気などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

赤ちゃんのしゃっくりは日常生活上の好ましくない習慣が原因で引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

赤ちゃんは満腹中枢が未熟なため、与えられるままに母乳やミルク・離乳食を摂取してしまうことがあります。その結果、胃が大きく膨らんで横隔膜を刺激し、しゃっくりを引き起こすことがあります。特に授乳の際には呑気をすることが多いので、授乳後にげっぷを上手にできないことがしゃっくりの原因となることがあります。

飲む量や食べる量を決めるには

授乳期には、授乳時間を決めてダラダラと授乳を続けないなどの対策が有用です。ミルクの場合は適量を計測して与えるようにしましょう。また、離乳食期には標準量から与え、便や尿の状態をよく観察しながら量を増やしたり減らしたりすることが大切です。

赤ちゃんは呼吸機能なども未熟であるため、急激に寒い場所などに移動すると横隔膜がけいれんしてしゃっくりを引き起こすことがあります。

急激な温度変化を避けるために

室内は適温を維持するように心がけ、冷房や暖房のつけすぎに注意しましょう。また、外出時は気温に適した服装にし、室内と外気の気温差が激しくならないよう調節することが大切です。さらに、冬場の入浴時などは入浴前に浴室を暖めておくなどの対策も必要です。

日常生活上の対処法を講じても、しゃっくりが止まらなかったり出やすかったりする場合は、思わぬ病気が原因のことがあります。軽く考えずに病院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。