長引く咳:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
咳が続くと、体力を消耗したり眠りが妨げられたりとつらい思いをすることがあります。
このような症状がみられた時、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
なかなか咳が止まらないとき、病気が原因となっている場合も考えられます。まず、咳がどれくらいの期間続いているのかチェックしましょう。
咳が出はじめてから3週間以内の場合、主に次のような病気が考えられます。
いわゆるかぜのことです。喉、鼻などの粘膜にウイルスが感染し、咳、鼻水、喉の痛み、発熱などが現れます。基本的に安静にするなどで自然回復が期待できる病気ですが、何らかの持病を持っている人がかかると悪化することもあるので注意が必要です。
気管支周辺が炎症を起こす気管支炎も、咳、痰、発熱などが出ます。食欲不振、倦怠感、胸の痛みなどを伴うこともあります。
一方、肺炎は肺に細菌やウイルスが侵入して炎症を起こす病気です。咳、発熱、膿のような痰、胸の痛みなどが見られることがあります。
いずれもかぜなどよりは体の深い場所で起こっている病気のため、適切な治療を受けることが必要です。症状が長引く、息が苦しく咳が激しいような場合には早めに受診しましょう。
何らかの原因で肺に穴があく病気です。何も心当たりがなくても自然に起こる場合もあります。咳のほか、突然の胸の痛み、呼吸困難などを伴うことが多いといわれています。
背が高く痩せ型で、タバコを吸う若い男性が発症しやすい傾向があります。もし突然このような症状を感じた場合は早めに受診が必要です。
心臓のポンプとしてのはたらきが低下して血液をうまく送り出せなくなったときに肺に水が貯まり、咳がでることがあります。足がむくんで体重が増えたり、歩いて息がきれたり、横になっている時や睡眠中に息苦しくなることがあれば、早めの受診が必要です。
咳が3週間以上続いている場合、主に次のような病気が考えられます。
かぜなどが治ったあとに、乾いた痰の絡まない咳が続く状態です。とくに寝る前や朝方などによく咳が出る傾向があるといわれています。
気管支喘息の特徴であるゼイゼイ、ヒューヒューというような呼吸の異常や息苦しさはありませんが、夜中や朝方の激しい咳がしつこく続く病気です。かぜなどの後に続いて起こることが多いといわれています。
治療しないままでいると気管支喘息に移行する場合もあります。
胃液が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を起こす病気です。胸焼けやげっぷ、酸っぱいものが込み上げてくるような症状がみられますが、長引く咳が現れることもあります。
長期間にわたる喫煙などが原因で、肺が炎症を起こし機能が低下する病気です。咳、痰、運動時の息切れなどが特徴です。
肺結核は結核菌に感染することで起こる感染症です。長期間にわたる咳のほか、血痰、体重減少、倦怠感、寝汗、発熱などを伴うこともあります。過去の病気と思われがちですが、近年かかる人が増えており注意が必要です。
一方、百日ぜきは百日咳菌などの感染により引き起こされる、激しい咳を特徴とする感染症です。顔の赤み、むくみなどを伴うこともあります。
いずれも感染症ですが、かぜなどとは異なり咳が長期間続くことが特徴です。
副鼻腔炎は鼻の孔の奥にある4つの空洞のなかに炎症をおこす病気です。細菌やウィルスによる感染によるものと、アレルギーによるものがあります。慢性化したものでは、鼻水が喉のほうに下りてきて刺激し(後鼻漏)、咳の原因となります。
肺がんの症状のひとつとして咳が続くことがあります。初期には自覚症状がないことも多い肺がんですが、咳などの軽い症状が発見のきっかけとなる場合もあります。
タバコを長期間吸っている方、昔吸っていた方は肺がん検診を受けてみるのもよいでしょう。
3週間以下の咳の場合、咳の程度が激しい・息苦しさや発熱、体重の急な変動など他の症状を伴っている場合には受診を検討しましょう。
3週間以上続く咳の場合、程度が軽く日常生活に支障が出ない程度であっても、一度受診しましょう。
まずは近くの内科・呼吸器内科やかかりつけの病院などでの受診でよいでしょう。受診時には、いつから咳が続いているのか、どんな咳なのか、咳の他にはどんな症状がいつからあるのか、できるだけ詳しく説明することがポイントです。