足の腫れ:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

足の腫れ

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 転倒したなど、きっかけがはっきりしていて痛みが強い
  • 歩くことができないほどの痛みがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 歩行に支障が出ている
  • しびれや痛みがある
  • 痛風と診断されたことがある
  • 腫れている場所が赤く熱を持っている
  • 日常生活に支障はないが、腫れが慢性化している

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 腫れが短期間で、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

足は普段よく使う部位であるため、腫れや痛みがあると不自由に感じることも多くあります。

  • 足の腫れに加えて、変形や痛みがある
  • むくみかと思っていたが、時間が経っても良くならない
  • 赤く腫れて熱を持っている

このような場合に考えられる原因とは、どのようなものがあるでしょうか。

足の腫れの原因としては、骨や(けん)、筋肉、神経などの問題が考えられます。そのほか、下半身の血流やリンパ液の流れに問題がある場合などもあります。

原因のうち、上記のような場所で起こる病気には以下のようなものがあります。

変形性()足関節症()

足関節の軟骨がすり減り、骨が変形する病気です。内くるぶし周辺が腫れて痛みを伴います。

けがや感染症のあとに起こることがあり、しゃがんだり、つま先立ちをしたりすると痛みが悪化します。

変形性足関節症
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後脛骨(こうけいこつ)()筋機能不全

足の後脛骨筋という筋肉に機能不全が起こることで、内くるぶしが腫れて痛みを伴う状態です。

後脛骨筋は、すねの内側を通り、くるぶしの外側から足の裏に続く土踏まずのアーチを保つのに重要な筋肉です。変形性足関節症と同じく、つま先立ちで痛みが悪化します。

外反母趾(がいはんぼし)

足の親指の付け根が外側に腫れる状態です。痛みがあることもあります。女性が先の細いヒールを履くことが原因のひとつであるといわれています。

外反母趾
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強剛母趾(きょうごうぼし)

外反母趾と同じく親指の付け根が腫れて痛む状態ですが、外反母趾ほどの変形は起こりません。

親指を強く逸らすと痛みがひどくなります。

痛風

尿酸と呼ばれる物質が体内に溜まり、関節などに結晶を生じて炎症を起こす病気です。外反母趾、強剛母趾と同じく親指の根本が痛くなることが多いです。

かかと、足の甲、ひざ、手首、肘などにも症状が起こることがあります。激痛や腫れのために歩行が困難になることもあります。

痛風
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リスフラン関節症

足の指の付け根のリスフラン関節に起こる関節症です。足の甲が腫れ、体重をかけると痛みが起こります。

外反母趾で親指に体重をかけることができなくなると、足の人差し指の根本にあるリスフラン関節に負担がかかり、関節症が起こることがあります。

足の腫れは骨や筋肉の問題と考えがちですが、以下のような原因によって起こる場合もあります。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

傷などからの細菌感染が原因となり、炎症が起こる病気です。

足先は、糖尿病などがあると神経の血流が悪くなるために痛覚が鈍りやすく、傷ができても気づかずに悪化させてしまうことがあります。

蜂窩織炎
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深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)(エコノミークラス症候群)

すねの静脈に、血の固まり(血栓)ができる病気です。飛行機の狭い座席に長時間座っていたような場合に血の流れが悪くなって発症し、足の甲が腫れます。

血の固まりが血液に乗って肺に飛ぶと、息苦しさや胸の痛みが起こります。

深部静脈血栓症
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下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)

すねの静脈の流れが悪くなり、すねにぼこぼことした血管が浮かび上がる病気です。血の流れが悪くなることで、すねや足の甲が腫れます。痛み、しびれ、皮膚の潰瘍(かいよう)などができる場合もあります。

下肢静脈瘤
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心臓、腎臓の病気

心臓や腎臓は体内の水分量をつかさどっており、機能が低下すると体内に水分が溜まってむくみます。水分は重力で下に溜まりやすくなり、足の甲がむくみます。

妊娠、骨盤付近の手術後

妊娠すると大きな子宮が静脈を押し、足から心臓に戻ってくる血流が落ちます。そのため、すねや足の甲がむくむことがあります。

子宮、泌尿器、直腸などの手術で骨盤あたりのリンパ節を取る手術をすると、足からのリンパ液の流れが悪くなり、すねや足の甲がむくむことがあります。

血管性浮腫

血管性浮腫とは、何らかの原因で皮膚が腫れることをいいます。蕁麻疹じんましんにも似ていますが、蕁麻疹が赤みやかゆみを伴い数時間で消失してしまうのに対し、血管性浮腫は赤みやかゆみがないことが一般的で、腫れが治まるまでに1~3日程度かかったり、しばしば症状を繰り返したりすることなどが特徴です。また、血管性浮腫と蕁麻疹が併発することもあります。

血管性浮腫には、治療薬の服用による薬剤性血管性浮腫やアレルギーによるアレルギー性血管性浮腫、寒さや日光など物理的な刺激による血管性浮腫などさまざまな種類があります。

さらに、頻度は低いものの先天性の遺伝子変異が原因で起こる遺伝性血管性浮腫HAE)や自己抗体などが生じることによって起こる後天性血管性浮腫(AAE)などもあります。

遺伝性血管性浮腫
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足の使い過ぎなど思い当たる要因があるのであれば、しばらく運動を休むなどの対策をしましょう。しかし、足は歩行などで日常生活でもよく使う部位であり、なかなか症状が改善しない場合には一度、整形外科の受診を検討しましょう。また足の腫れ以外に体調そのものに変化がある場合は、内科の受診も考慮する必要があります。

そこまで強い症状ではない場合であっても、腫れが続く、腫れを繰り返す、様子を見ていてもよくならないなどの場合には、血管性浮腫などの思わぬ病気が隠れている可能性があるため、一度最寄りの医療機関を受診しましょう。

受診の際は、いつ頃から症状があるのか、思い当たるきっかけはあるのか、ほかの症状はあるのかなどを医師に伝えるとよいでしょう。また、普段使用している靴を見せ、自分に合っているかどうかを相談するとよいかもしれません。

日常生活上の原因によって足のむくみを生じることがあります。

運動不足や加齢に伴う筋力の低下によって足が浮腫むことがあります。

運動不足や筋力の低下による足のむくみを改善するには

ウォーキングなど、足を動かす運動を習慣にすることで足にたまった血液が心臓に送られ、むくみの解消に効果が期待できます。デスクワーク中心など、座っている時間が長い場合には着圧ソックスなどを活用することも有効です。

自分でできる対処法を試しても症状がよくならない場合は、思いもよらぬ原因が潜んでいることもあります。一度病院で相談しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。