環境ホルモンには化学物質由来のもの、自然界に存在しているもの、様々な種類があります。その種類によって作用は異なり、人に影響を及ぼします。環境ホルモンの種類と対策について、山王病院病院長の堤治先生に解説していただきました。
環境省の研究班によると、有機塩素系殺虫剤のDDTをはじめ、ダイオキシン、有機スズ化合物などが環境ホルモン候補として挙げられています。身近なところでいえば、殺菌剤、防腐剤、殺虫剤、農薬、食品添加物などがあり、約70種類の化学物質が環境ホルモンとされます。さらに、汚染された状態の川や海などからも環境ホルモンのもととなる有害物質が出ていると確認されています。
ダイオキシン類 | 主として廃棄物の燃焼過程で非意図的に生成される。 |
DDT | 農業用有機塩素系殺虫剤で、1981年生産中止となった。 |
ポリ塩化ビフェニール(PCB) | 電気製品、熱媒体として用いられ、1972年生産中止となった。 |
ジエチルスチルベストロール(DES) | 合成エストロゲン剤で流産予防薬として開発された。 |
ビスフェノールA | ポリガーボネイト樹脂・エポキシ樹脂などの原料、酸化防止剤として使用される。 |
ノニルフェノール | 石油製品の酸化防止剤や腐食防止剤、乳がん細胞の増殖刺激。 |
スズ | 船底や魚網の汚染防除剤で、1990年外航船を除き禁止された。 |
植物エストロゲン | さまざまな植物の含有するエストロゲン作用物質を植物エストロゲンと呼ぶ。大豆(ダイゼイン)などにより日本人では摂取が多い。 |
(「産科医から見た環境ホルモン問題とその対策」:堤治『アンチ・エイジング医学―日本抗加齢医学会雑誌vol.4No.6』より一部引用)
女性ホルモンの作用をかく乱するといわれています。
一時期問題となったのはジエチル・スチルベストロ-ル(DES)という流産予防薬です。これを母体に投与すると、生まれた女児に性器奇形、卵巣がん、子宮がん、膣がん、男児にも性器奇形、精巣がんなどが現れることがわかっています。
また近年、精液に含まれる精子の数が減少していると言われていますが、これも環境ホルモンの影響ではないかと推測されています。ただし、本当かどうかの研究は日本ではまだ始まったばかりで、はっきりと断言することはできません。また、子宮内膜症の原因になるとも考えられています。
第一に、有害物質となるものを摂取「しない」ことが大切です。有害物質となるものというのは添加物入りの食品や、農薬を大量に使った野菜などのことをいいます。
現在では無農薬野菜なども販売されているので、あまり神経質になり過ぎる必要はありませんが、そのようなものをうまく利用していくことも大切です。
また、逆に解毒のためのいい栄養素を摂取「する」ことも大事です。例えば、ビタミン類やミネラルは、人体に入ってきた有害物質を解毒してくれる作用を持っています。人体は有害物質を摂取すると体内に蓄積してしまうこともありますが、これらの栄養素を積極的に摂取していると解毒作用がうまく働き、有害物質を排出するためのサポート役となってくれるのです。
ビタミンやミネラルと同様に、食物繊維も毒素を体外に排出する働きを持っているため、積極的に摂取していきたいですね。
山王病院(東京都) 名誉病院長
堤 治 先生の所属医療機関
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