インタビュー

パーキンソン病の薬―抗パーキンソン病薬と日常生活

パーキンソン病の薬―抗パーキンソン病薬と日常生活
鈴木 正彦 先生

東京慈恵医科大学 内科学講座脳神経内科 教授、東京大学医科学研究所 非常勤講師

鈴木 正彦 先生

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この記事の最終更新は2015年10月13日です。

パーキンソン病の患者さんが薬物療法を続けるにあたって、日常生活でどんなことを注意すればよいのでしょうか。東京慈恵会医科大学葛飾医療センター神経内科診療部長の鈴木正彦先生にお話をうかがいました。

現代は高度情報化社会ですので、この記事をご覧の皆さんのように患者さん自身もさまざまな情報に触れる機会が多くなっています。それだけに不安が助長されている面もあると思われますが、私たち医師は患者さんとそのご家族に対して、治療の内容や使用する薬剤について具体的で正確な情報をお伝えし、信頼していただくことが第一であると考えています。

L-ドパ製剤を長期間服用している患者さんでは、薬が効いている時間が短かくなり、薬が効かない時間が出てきます。

  • ウェアリング・オフ現象(wearing-off):薬の持続時間が短くなり、薬の効果が切れてくると症状が悪くなる現象です。
  • オン-オフ現象(on-off):薬をのんだ時間に関係なく、スイッチを入れたり切ったりするように症状が突然よくなったり悪くなったりする現象です。
  • no-on/delayed on現象:薬をのんでも効果が現れない、または効果が現れるのが遅れるという現象です。

服用のしかたによっても効き方に差が出てきます。用法・容量を守り、他の薬と一緒に服用したりしないように気をつけましょう。

  • ジスキネジア(dyskinesia):L-ドパが効きすぎてドパミンが多くなりすぎると、自分の意志と関係なく体の一部が動いてしまうことがあります。これをジスキネジアといいます。手足や口に症状があらわれますが、これらは一時的に薬が効きすぎている状態です。
  • ジストニア(dystonia):寝ている間に薬の効き目が切れてしまうことが原因で、起きたときに足の指が引きつって痛むことがあります。
  • すくみ足:パーキンソン病の進行にともなって現れる症状ですが、L-ドパの副作用としても起こります。ノルアドレナリン補充薬で改善する場合があります。

ドパミンアゴニスト(ドパミン受容体刺激薬)は、上記のようなL-ドパの長期使用による問題を軽減する効果があります。しかしドパミンアゴニストを服用していると、日中に何かしている最中でも突然眠気におそわれることがあります。車の運転や危険をともなう作業はしないようにしましょう。

また、ドパミンアゴニストを使用していると、まれに心臓の弁膜症(弁の異常による逆流)が起きることがあります。定期的に心エコーの検査を受けるようにして、もし急に息切れや疲れやすさを覚えたときには担当医に相談してください。

患者さんのADL(日常生活動作)を向上させるうえで、各種の抗パーキンソン病薬はなくてはならないものです。長期に使用していく中で、患者さんの身体状態によって効果の表れ方は変わってきますが、薬剤を適切に組み合わせ、細かく調整をすることで病状をコントロールすることができます。

難病とされる神経変性疾患の中で、これは特筆すべきことといってもいいでしょう。患者さんやそのご家族の皆さんが前向きに生活を送っていくことができるよう、今後も努力していきたいと思います。

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