インタビュー

DBS治療を受けられる人、場所は?

DBS治療を受けられる人、場所は?
片山 容一 先生

青森大学 脳と健康科学研究センター長、青森新都市病院 総長、日本大学脳神経外科 名誉教授

片山 容一 先生

この記事の最終更新は2016年03月27日です。

DBS治療は、大学病院を中心に広がりを見せ、ここ20年ほどで技術はほぼ確立されているといっても過言ではありません。DBS治療を希望する患者さんはどんな情報を得るべきか、脳神経外科医師・湘南医療大学副学長の片山容一先生にうかがいます。

今よりもDBS治療を行える施設が少なかった5年ほど前までは、当時私の所属していた日本大学病院では半年ほど患者さんが治療をお待ちになっている期間がありました。しかし、2016年現在では、3ヶ月程度で受診の目途が経つほどに改善され、待っているのになかなか治療が受けられないという患者さんはいらっしゃいません。

治療を希望する場合、日本定位・機能神経外科学会が技術認定をしている施設があります。ホームページなどでも情報を探すことが可能です。技術認定された施設ならば認定医もいるため基本的には治療可能なケースが多いですが、神経ナビゲーション・神経モニタリング、定位脳手術の装置などかなり専門的な機器と設備が必要とされるため、大学病院を中心に行われているのが現状です。

希望すればどのような方でも治療を受けることができます。さらにDBS治療は2015年から高額医療の対象となったため、高額療養費制度の申請が可能です。ですから、患者さんが実際に負担する費用としては多くとも20~30万円程度で、年収によってはこれよりもずっと負担が少なくなる場合があります。

成長によって頭蓋骨の大きさも変化するため、ターゲットの位置がずれるという弊害はありますが、電極の調整は手術によって可能です。また患者さんが女性の場合も、将来的に妊娠・出産に影響が出ることはありません。

実は、DBSはうつ状態の改善にも用いられることがあり、パーキンソン病からの合併として「うつ状態」になった方へのDBSは症状の改善にかなり効果が高いことがわかっています。しかし、もしその症状が「うつ状態」ではなく、長く精神科にかからなければならないような「うつ病」の状態に移行してしまっている場合、DBSを行っても治療効果が得られないことがあります。

パーキンソン病の不随意運動はドパミンの不足が原因であるため、患者さんはドパミンを補充する「レボドパ」という薬を服用しています。ところが、レボドパに依存性が出てしまうと、本当はうつ状態が存在しているのに症状が抑えられてうつ状態が隠れてしまうことがあります。そのため、薬をやめた途端に反動でひどいうつ状態になってしまう方がいらっしゃいます。DBS治療になかなか踏み切れずレボドパを長期間服用していると依存性が出てしまい、DBS治療に移行する=レボドパの服用をやめることが難しくなってしまうのです。実際に、DBS治療を行って身体症状が改善されたためレボドパの服用が必要なくなったのに、やめたらうつ状態が強く出てなかなか服用がやめられないという方もいらっしゃいます。言い換えると、「レボドパをやめたいからDBS治療をしたい」という目的の患者さんには適していないということです。

受診について相談する
  • 青森大学 脳と健康科学研究センター長、青森新都市病院 総長、日本大学脳神経外科 名誉教授

    片山 容一 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が31件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「パーキンソン病」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    パーキンソン病

    Icon unfold more