インタビュー

しびれの原因となりうる病気とは

しびれの原因となりうる病気とは
谷脇 予志秀 先生

高邦会福岡山王病院 神経内科部長

谷脇 予志秀 先生

この記事の最終更新は2016年01月27日です。

しびれとは、中枢神経や末梢神経がなんらかの原因により障害されたときに起こる症状です。しびれは、「ぴりぴり・ちくちく」や、手が動かしにくい・手の感覚がないなど、患者さんによって表現がさまざまです。また原因も多岐にわたり、あらゆる可能性を加味して診断する必要があります。福岡山王病院 神経内科部長 谷脇予志秀(たにわき よしひで)先生に、しびれの原因となりうる病気についてお話しいただきました。

脳と脊髄を合わせて中枢神経といいます。脳は物を考えて指令を出す中枢として働き、脳からの指令は脊髄を通り、シグナル(信号)が脊髄を通ったあと全身の末梢神経へと伝達されます。末梢神経は「脳・脊髄以外の神経系」を指します。たとえば、「心臓などの臓器に存在する神経」や「手や足に存在する神経」などがこれに該当します。末梢神経は全身に分布しており、中枢神経と繋がっています。また、脳や脊髄などの中枢からのシグナル(信号)を体全体に伝える役割を果たしています。

神経系の構造

しびれとは、中枢神経や末梢神経がなんらかの原因により障害されたときに起こる症状です。一般的にしびれは、じんじん・ぴりぴり・ちくちくといった「異常感覚」であると定義されています。それ以外にも、感覚がない・感覚が低下しているといった「感覚鈍麻」や、手が動かない・力が入らないといった「運動麻痺」の症状を訴えられる方もいます。広くしびれといっても、先述したように症状は多岐にわたり、また患者さんによっては「どのようにしびれているのか」という表現が異なります。麻痺をしびれと表現される患者さんもいます。患者さんには、「どのようなしびれなのか」、「どの部位に症状が現れているのか」などをしっかり伝えていただき、医療従事者側は診察時にそれらを聞き取る必要があります。

しびれという症状の難しい点は、中枢神経・末梢神経どちらが障害されていても、結果的には同じような症状(=しびれ)があらわれるということです。たとえば、ぴりぴりという症状の原因が中枢神経にあるのか、それとも末梢神経にあるのか、という原因を突き止めるのは非常に難しいのです。ですから、しびれの原因を考えるときは、全身を考慮にいれるといっても過言ではありません。しかしながら、そのなかでもしびれを起こす頻度の高い病気はあります。以下に示すのがその一例です。

  • 脳血管障害:脳梗塞脳出血脳動脈瘤くも膜下出血慢性硬膜下血腫などです。
  • 頸椎症:首の椎骨と椎間板の変性により、首の脊髄や神経根が圧迫される病気です。
  • 腰部脊柱管狭窄症:腰の神経系を保護している脊椎に変形が起こり、脊柱管が狭くなり馬尾神経あるいはその神経根を圧迫するようになった状態です。
  • 手根管症候群:手のひらの大部分の感覚を司る正中神経(せいちゅうしんけい)が圧迫されて指先がしびれる病気です。 
  • 足根管症候群:足の裏の感覚を司る脛骨神経(けいこつしんけい)が圧迫されて足の裏がしびれる病気です。
  • 糖尿病(糖尿病性神経障害):高血糖の状態が続くことで起こる神経障害
  • 閉塞性動脈硬化症:主に足の動脈に動脈硬化が起こり、血管が狭くなったり詰まったりします。足を流れる血液が不足してしまい、それにより痛みを伴うような歩行障害が起こる病気です。
  • 過呼吸(過換気症候群):精神的な要因から呼吸が大きくなる病気です。これにより体内の二酸化酸素濃度が正常より下がりすぎてしまい、さまざまな症状があらわれます。

近年、しびれの症状を訴える外来の患者さんでよくみられる病気は頸椎症です。若い女性に多く、日頃スマートフォンやパソコンを長時間使用している方が首にしびれを訴えるケースが多くなっています。頸椎症の場合、しびれだけではなく首や肩のこりや頭痛も加わっているケースがあります。
そのほか、頻度は高くありませんが以下のような病気もしびれを引き起こす危険性があります。

  • 脳腫瘍:頭蓋骨のなかにできる腫瘍です。腫瘍が頭蓋骨内部を圧迫し、感覚麻痺や運動麻痺をはじめさまざまな症状があらわれます。 
  • 多発性硬化症:脳や脊髄、視神経のいたるところに病変ができ、さまざまな症状があらわれる病気です。
  • ギランバレー症候群:自己免疫により、末梢神経が障害される病気です。
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