国家公務員共済組合連合会 水府病院(以下、水府病院)では、急性期医療に対応するとともに、回復期の治療や訪問診療、リハビリテーションにも力を入れ、地域に根差した医療を提供しています。
同院の診療体制や各科の特色、地域の患者さんを支える取り組みなどについて、同院の院長である小泉 雅典先生にお話を伺いました。
当院は1952年7月、水戸市大町に開設しました。内科・外科・歯科の3科40床でスタートし、2000年12月にはJR赤塚駅や市営駐車場と結ばれた現在地に移転しました。今では内科、外科、整形外科を中心に、131床の病院として地域医療の一端を担っています。
また、2016年4月に設置した地域包括ケア病棟では、主に在宅復帰を目指している患者さんへの治療や看護、リハビリテーションを提供しています。
外科では、甲状腺疾患、乳腺疾患、消化器疾患などの診療を行っています。
内服治療、手術、バセドウ病に対する放射性ヨウ素内用療法(放射線治療)などを行っています。日本外科学会外科専門医や、日本内分泌外科学会内分泌外科専門医が診療にあたります。
日本乳癌学会乳腺専門医が、乳がんの良性・悪性の診断を行います。乳がんの全般的な治療、特に乳房温存療法に力を入れています。
消化器疾患では、一般的な消化器疾患の診療に対応するとともに、患者さんの体への負担をできるだけ抑える腹腔鏡手術に積極的に取り組んでいます。
当科では、骨折や捻挫などの一般外傷をはじめ、高齢者に多い大腿骨頸部骨折、圧迫骨折、骨粗しょう症などに対応します。日本整形外科学会整形外科専門医が在席し、手術のあとご自宅にスムーズに戻っていただけるよう、退院までしっかりとサポートしています。
当科では、さまざまな呼吸器の病気や症状に対する診断および治療に取り組んでいます。特に、市中肺炎や間質性肺炎、誤嚥性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease :COPD)や喘息などの診療に力を入れています。また、日本呼吸器学会呼吸器専門医が在席しており、救急搬送されてきた慢性閉塞性肺疾患(COPD)や感染症の患者さん、複数の合併症を持つ患者さんなどの受け入れにも対応しています。
地域の包括的な支援やサービスを提供する体制、地域包括ケアシステムを担っていくため、当院は2016年4月に地域包括ケア病棟を開設しました。地域包括ケア病棟では主に、患者さんが退院されたあと、住み慣れたご自宅や施設での生活にスムーズに戻ることができるようにサポートしています。また、急性期の治療を終えた患者さんや、ご自宅や施設で具合が悪くなった患者さんの受け入れも行っています。
特に、急性期経過後も入院医療を必要とする(ポストアキュート)ような重症の患者さんがご自宅や施設に戻ることができるよう、地域包括ケア病棟での治療の継続とリハビリテーションにも積極的に取り組んでいます。
地域医療を推進するうえで、他施設と頻繁にやり取りしたり、地域の事情を深く理解したりすることは非常に重要です。当院でその役目を果たしているのが、地域の事情通である“地域医療連携室”です。
地域医療連携室は、さまざまな施設や地域のケアマネージャーなどとの仲介役となり、患者さんの状態やご希望に合わせて患者さんの受け入れを行ったり、受け入れ先との連携を図ったりします。また、普段はかかりつけ医のところに通院しているという方も、より詳しい検査や専門的な治療が必要になったとき、地域医療連携室にご連絡いただければ、よりスムーズな受診につなげられるようサポートします。
当院では、訪問診療、看護、リハビリテーションの実施に力を入れています。
訪問診療では、高齢者サービス付き住宅などの施設から要請を受けて、入居者さんの診療を行っています。なかには、がんの患者さんをはじめとした、治療や入院を必要とする方がいらっしゃるため、当院への受診をご案内することがあります。診療を終えたあとは、かかりつけ医に引き継ぐまでのサポートも務めます。
訪問リハビリテーションでは、退院された患者さんのご自宅を訪問し、主に環境整備に関する情報提供を行っています。手すりをつけたほうがよい場所の確認や、浴槽の中に椅子を設置するといったアドバイスをするとともに、患者さんに合わせたリハビリテーションも実施します。
当院は、“地域の皆様のために、安全で質の高い、心のこもった医療を提供します”を理念として掲げ、地域に根ざした医療の提供に取り組んでいます。特に、呼吸器疾患や糖尿病といった複数の病気を合併するなど、治療が難しいと考えられる患者さんも優先的に受け入れ、地域に戻っていただけるようサポートすることに尽力してきました。
今後は、さらに地域の患者さんのニーズに応えていくため、「どんな症状のとき、どの診療科にかかればよいのだろう」といった身近な疑問を解消する相談窓口を設けるなど、患者さんが受診しやすい環境づくりにも取り組んでいくつもりです。“地域のサポーターであり、パートナーであり続けたい”ということが、当院の院長である私の願いです。
専門分野にかかわらず、広く患者さんを診ていく姿勢が大事です。専門分野に知識が偏っていると、患者さんに安心していただけるような受け答えをすることは難しいものです。専門性を磨くことも大切ですが、まずは患者さん一人ひとりをしっかりと診て、信頼していただけるように心がけて診療を進めてください。
そして、患者さんに医療を提供するうえで、看護師をはじめとする周囲のスタッフとの連携は欠かせません。特に若い先生は、相手の話をしっかりと聞く姿勢を身につけていただければと思います。「はい、どうしましたか?」「分かりました」という簡潔なやりとりが、チームとの連携を円滑に進めることにつながるのだと考えています。
国家公務員共済組合連合会 水府病院 院長
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まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。