院長インタビュー

地域の人々の健康を守り、質の高い医療提供を目指す――箕面市立病院

地域の人々の健康を守り、質の高い医療提供を目指す――箕面市立病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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大阪府箕面市にある箕面市立病院は、地域の二次救急医療(入院や手術が必要な重症者)を担う急性期病院です。最新の医療機器を積極的に導入しており、手術支援ロボットのダビンチやメイコーといった機器を取り入れた専門的かつ高度な医療を提供しています。

同院の地域での役割や今後ついて、総長である関本 貢嗣(せきもと みつぐ)先生に伺いました。

外観
病院外観

当院は1981年の開院以来、急性期病院として地域の医師会などと連携しながら地域医療の中核を担ってまいりました。現在は26の診療科と317床を備えて日々の診療にあたっています。数年後には医療法人協和会 協和会病院との統合、病院の建て替えを予定しており、病床数を390床へと拡大して医療体制の充実を図る計画が進行中です。

より安全で質の高い医療の提供を目指す当院では、内視鏡手術支援ロボットのda Vinc(ダビンチ)や、人工関節手術支援ロボットのMako(メイコー)を導入しており、低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)な手術を積極的に行っています。

ダビンチ
ダビンチXiによる手術

当院は2015年に北大阪エリアの公立病院として初めて、手術支援ロボット・ダビンチを導入しました。2023年にはダビンチSiからXiへと機器のバージョンアップを行うと同時に、“ロボット手術センター”を開設しました。現在、泌尿器科・外科・産婦人科の3つの診療科で使用しており、特に泌尿器科の前立腺がん手術件数が多く、直腸がん、結腸がんもほとんどダビンチで行っており、着実に実績を重ねています。

――― ダビンチ手術適応(2024年11月時点)―――

2023年には、ダビンチに加えて人工関節手術支援ロボット・メイコーを導入し、“人工関節手術センター”を開設しました。メイコーは、事前に撮影したCT画像をもとにシミュレーションを行い、骨を削る位置や角度などを決めておくことにより、高い精度で人工関節手術を行うことが可能です。

メイコー
Mako(メイコー)による手術

手術支援ロボットを活用することにより、傷口や神経の損傷を最小限に抑えることができ、患者さんの身体的・精神的な負担軽減に大きく寄与することが期待できます。今後も新しい機器を積極的に導入することにより、質の高い医療の提供と患者さんの負担軽減に努めてまいります。

当院は、2010年より“大阪府がん診療拠点病院”として指定を受けています。がん診療推進部では、がん診療に関わる各診療科の医師、がん化学療法看護認定看護師、緩和ケア認定看護師*をはじめ、専門のスタッフがチームとなり、がん診療の質とサービス向上を目指しています。

*がん化学療法看護認定看護師、緩和ケア認定看護師……日本看護協会認定

多職種で支える“緩和ケアチーム”“化学療法チーム”

当院では、“がんと診断された時からの緩和ケア”が大切であると考えています。そのため、がんの診断がついた時点から、診療に関するさまざまなお悩みに緩和ケアチームが対応し、患者さん一人ひとりにきめ細やかなサポートを行えるよう体制を整えています。

また、めまぐるしい進歩を遂げるがん薬物療法についても、患者さんが安心・安全・確実に治療を受けられるよう多職種で構成された化学療法チームがサポートしています。

悩みを共有し支え合う“がんサロン ゆず”

当院では、患者さんとそのご家族、医療スタッフが参加する“がんサロン ゆず”を定期的に開催しています。自身やご家族ががんであることが分かると、さまざまな疑問や不安、悩みを抱えるようになるものです。がんサロン ゆずは、同じ悩みや不安を持つ方が気軽に相談し合あったり、世間話などを楽しみリラックスできる場として開設しました。スタッフによるミニレクチャーなども行っています。自身の悩みを話したり、似た悩みをもつ方の話を聞いたりすることで、不安な気持ちが楽になることもあるかと思いますので、ぜひ活用していただけたら幸いです。

2018年に開設した救急科では、二次救急医療を中心に24時間体制で診療を行っています。平日の診療時間内は、急病や外傷などに救急総合診療部(ER)として対応し、夜間は内科、外科、小児科、産婦人科の救急担当医と連携しながら診療を行っています。2023年に4,316件ほどだった救急車の受け入れ件数は、2024年にはさらに増える見込みです。

救急対応は、地域の皆さんから求められる医療の1つです。今後新たに誕生する新病院ではさらなる医療体制の充実を図り、地域の救急医療に貢献していきたいと考えています。

当院は協和会病院との再編統合による新病院建設を計画しており、数年内の開院を目指しています。新病院では急性期病床を390床へ増床し、大阪府内の公立病院としては初めて全ての病室を個室にすることを検討しています。また、呼吸器・免疫内科、腎臓内科、放射線治療科、緩和ケア科などを新設し、医療体制の充実を図る予定です。

新病院の開院に先駆けて、2025年4月から指定管理者医療法人協和会に引き継ぎます。今後ますます協和会病院との交流を深め、新病院のスムーズな開院につなげたいと考えています。

当院は地域の皆さんに、質が高く安心安全な医療を提供できるよう努めると同時に、未来を担う人材育成にも力を入れています。先端機器がそろっていることもあり、たくさんの研修医が当院で学ぶことを希望してくれていますが、この背景には各診療科の垣根が低く、穏やかな院内文化が醸成されていることも大きいのではないかと自負しています。

新病院開設に向けてスタッフの増員や診療体制の強化を図り、患者さんに“選ばれる病院”となることを目指すと共に、地域の皆さんの命と健康を守り、急性期医療体制を将来にわたって維持・発展させるため、関係者一丸となって取り組んでまいります。

*写真提供……箕面市立病院

*診療科や医師、提供している医療の内容および病床数など本文中の数字は全て、2024年11月時点のものです。

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