原因
乾癬は、皮膚の細胞が通常よりも速く入れ替わることで発症します。通常、皮膚では基底層で新しい表皮細胞が作られ、古い細胞は徐々に押し上げられて角質となり、最終的に垢となってはがれ落ちます。この過程を「ターンオーバー」と呼びます。
乾癬患者の皮膚では、表皮細胞の異常な増殖によりターンオーバーの周期が極端に短くなっています。その結果、十分に成熟していない細胞が急速に表面に押し上げられ、皮膚の表面が厚く盛り上がります。さらに、積み重なった角質が鱗屑となってふけのようにボロボロと剥がれ落ちます。
この表皮の異常は、T細胞や樹状細胞、好中球といった免疫細胞が引き起こすことが分かっています。発症の詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境的要因などが複合的に関与していると考えられています。
遺伝的(先天的)要因
乾癬は家族内で発症することがあるため、特定の遺伝子異常が関与していると考えられています。病変部では免疫細胞が中心となり、表皮細胞と相互に作用して炎症を引き起こすサイトカイン(TNF-α、IL-17、IL-23など)が生成されており、これらサイトカインに関わる遺伝子に異常が起こることが背景にあると推測されています。
環境的(後天的)要因
外傷、紫外線、感染症、薬剤などの外的刺激が乾癬を誘発または悪化させることがあります。また、生活習慣病も重要な要因です。肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病が乾癬と深く関連しており、ときに乾癬発症の引き金となることも分かっています。ただし、これらの病気も遺伝的背景があるため、完全に後天的な要因とは言い切れない面もあります。さらに、飲酒や喫煙も症状や治療の効果に影響を与える可能性があります。
自己免疫的要因
乾癬は免疫疾患の一種であり、自己免疫疾患*である可能性も考えられてきました。しかし、現在のところ特定の自己抗体は同定されていません。
*自己免疫疾患:免疫機能が正常にはたらかなくなり、自分自身の健康な細胞や組織を誤って攻撃してしまう病気のこと。
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