皮膚疾患にはさまざまなものが存在しますが、その中に“乾癬”という病気があります。乾癬は皮膚病の中でも原因不明とされる病気の1つであり、いまだになぜ起こるのかが解明されていません。乾癬とはいったいどのような病気なのでしょうか? 山王病院皮膚科部長であり、乾癬治療を専門とされている佐藤 佐由里先生にお話をお聞きしました。
乾癬を発症する原因は不明であり、慢性的な経過をたどる皮膚疾患です。乾癬の皮膚症状は、表面に銀白色の皮膚のかさつきを伴う、境界のはっきりした紅斑です。
皮疹は全身のどこにでも出る可能性はありますが、特に頭皮・肘・膝・腰など摩擦が起こるところにできやすいという特徴があります。また、爪にできることもあります。
上記のような皮膚症状のみの乾癬は“尋常性乾癬”と呼ばれますが、このほか、リウマチに似た関節炎を伴う“乾癬性関節炎”や全身の皮膚が真っ赤になる(変色する)“乾癬性紅皮症”、膿をもった重症の皮膚症状や発熱を伴う“膿疱性乾癬”、扁桃腺炎などをきっかけに生じる“滴状乾癬”など、一口に乾癬と言ってもさまざまなタイプが存在します。
従来、乾癬は日本人には比較的まれな病気として扱われていました。しかし、近年は日本でも増加傾向にあり、早期の診断と適切な治療(迅速な対応)が必要とされています。年代は20歳代〜50歳代までの方に発症しやすく、発症の頻度は人口の0.1%と推定されています。一方で、白人における頻度は人口の2~3%ともいわれており、欧米ではすでに一般的にもよく知られた病気です。
原因は完全には分かっていませんが、近年研究が進み、免疫細胞の一部での異常がこの皮膚症状や関節症状を引き起こすことが分かってきました。
欧米では家族内発症が20%以上あるということが報告されるなど、遺伝因子も原因として無視できません。しかし、環境因子(外傷・感染・薬剤・ストレス・肥満・生活習慣)が悪化因子として考えられ、メタボリックシンドロームに似て、肥満や心臓血管の病気にも関わってくることが分かってきたことから、全身を見渡して検査や治療、生活習慣の改善など、医療者と患者さんが二人三脚で取り組むべき病気と捉えられるようになりました。
山王病院 皮膚科部長
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