乾癬とは、皮膚の表面が炎症によって角化を起こしている状態です。日本人では1,000人に1人の割合で発症し、現在10万人以上の患者さんがいると報告されています。男女比は2:1で男性の発症が多く、年齢別にみると20歳代の青年から40歳代の中年に多く見られます。関西医科大学皮膚科の山崎文和先生にお話をうかがいます。
乾癬には尋常性乾癬・滴状乾癬・膿疱性乾癬などに分類されています。
銀白色で皮膚に粉がふいたような状態(この状態を鱗屑と言います)が見られ、そのまわりは直径1cm~数cmの大きさで赤みを帯びています。全身にはくっきりと盛り上がった赤いブツブツが出るような症状が見られます。乾癬の患者さんの90%位にこの症状が見られます。大きさ・数・形は様々で、ブツブツした発疹同士がくっついた大きな病変を作ることもあります。好発部位として、刺激を受けやすい頭・肘・膝・お尻や肥満体型の人は太ももの前側(下腿伸側)など擦れやすい部分にもできやすくなっています。尋常性乾癬は20代~30代に発症することが多く、複数箇所に見られます。全く自覚症状がない場合もありますが、約50%の患者さんはかゆみを伴いうことがあります。また、爪が粗く研がれたように変形したり、凹んだりすることも高頻度に生じます。
体の中央部や前腕・膝下などに1cm大までの比較的小さなブツブツが多発します。このブツブツの表面は盛り上がっておらず、赤くてカサカサしています(角化性紅斑)。その他の銀白色の鱗屑は尋常性乾癬と同様の症状がみられます。滴状乾癬は小児に発症することが多く、連鎖球菌感染後や薬を服用後に発症することがあります。この場合、数ヶ月でなくなることも多く、比較的治りやすくなっています。
炎症性関節炎を伴う乾癬のことで、乾癬の6~34%を占めるとされています。皮膚症状が先行する例が60%、関節症状が先行する例が20%、同時発生が20%と言われています。脊椎や仙腸関節に炎症が生じることで、腰痛として症状が発生する場合もあります。
通常は乾癬の悪化により皮膚表面の90%程を乾癬の皮疹で覆われた状態のことです。急激な全身療法の中断、全身性のステロイド投与、光線療法による刺激などで起こる場合があります。
中に膿を含むような黄色い水ぶくれ(膿疱)が見られます。全身に出るパターン(汎発型)と体の一部に限局して出るパターン(限局型)があります。汎発型では発熱や全身のだるさ・寒気を感じ、全身に赤いブツブツが出た後、膿疱が多発します。さらに広がった膿疱は非常に破れやすく、皮膚の表面から体液が漏れ出て低タンパク血症をきたし、全身状態が悪化する場合もあります。尋常性乾癬を発症している時に膿疱が生じる場合もありますが、乾癬になったことがない人でも突然発症することがあります。
痛くもかゆくもないという人もいる一方で、それほど強くはないですがかゆみを伴う方もいます。特にお風呂に入ったり、お酒を飲んだり、辛いものを食べたりして身体が温まるとかゆみが強くなります。耐えられないほどの強いかゆみを伴う場合、他の病気の可能性があるため、一度医療機関を受診してみましょう。また、引っ掻くと症状が悪化することもあるので、かゆい場合はかゆみ止めを塗ってなるべくさわらないようにすることが重要です。
乾癬の根本的な原因は未だによくわかっていません。ただ、角化細胞が異常に増殖しているために、通常は45日程度で入れ替わる基底細胞と呼ばれる皮膚を形成する細胞が、4〜7日と短期間で脱落し、ターンオーバーが生じていることがわかっています。この原因として、現在以下のような要因が考えられています。
家族内で同じ症状をもつ人の割合が高くなっており、複数の遺伝子が関与していると考えられています。ただ、欧米では家族内発症が40〜50%にみられると報告がありますが、日本では4〜5%と欧米に比べると低くなっています。
外傷など外からの刺激を受けたり、レンサ球菌の感染やリチウム・カルシウム拮抗薬などの薬剤を服用したりする際に発症することがわかっています。そのため、これらの刺激がなんらかの誘発因子となっていると考えられています。反対に日光に浴びると乾癬の症状は改善されることも知られており、これは紫外線による効果だとわかっています。
ヘルパーT細胞と呼ばれる白血球の一種が病変部位で免疫反応を起こしていることがわかっています。また、IL-17(インターロイキン17)、TNF-α、IL-23という炎症性物質を産生する細胞が炎症に関与していることも知られてきており、近年それらを抑制する治療法が開発されました。
乾癬はもともと生活の質(QOL(quality of life))が低い疾患であり、合併症としてうつ等の精神疾患の存在も認めています。
これは、乾癬に罹患して皮膚の状態が悪くなることも原因ですが、近年では乾癬の原因となる成分の一つであるTNF-αと言われる成分が過剰になることにより、精神にも作用する可能性があると考えられています。また、そのTNF-αは体内の血管に作用して炎症を引き起こし、糖尿病の治療の阻害や、心血管病変の原因を形成する可能性が指摘されており、その状態を乾癬マーチとよび、乾癬を治療することにより乾癬マーチを止め、心血管系への負担を減らすことが健康余命につながると考えられています。
下記に挙げた疾患は、乾癬と間違えやすいため注意が必要です。
乾癬は皮膚の表面が角化するために、ポロポロと表面が剥がれやすくなっています。また、前腕や膝下など見えやすい箇所に生じることが多いために、人にうつしてしまうのではないか?と心配される方もいます。しかし、乾癬はうつる病気ではありません。この章では乾癬のメカニズムから、乾癬という病気について正しく理解していただきたいと思っています。
乾癬は、この「ポロポロ皮膚が落ちる」ことが日常生活を送るうえでストレスとなり、QOLを下げる要因となります。例えば、スーツを着ている時に頭皮がポロポロ肩に落ちてフケが多いと思われたり、水泳の授業などで皮膚が気になったり、お友達と温泉に行けないなどの悩みは良く聞きます。
治療により、お友達と積極的に出かけられるようになったり、今まで恋愛に引っ込み思案であったのが、積極的になることができて結婚できたなどの例もあり「人生が変わった」と言ってもらえることもしばしば増えてきました。
東海大学医学部専門診療学系皮膚科学 准教授
周辺で乾癬の実績がある医師
国際医療福祉大学三田病院 皮膚科講師
内科、血液内科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、脳神経内科、血管外科、脊椎脊髄外科、放射線診断科、放射線治療科、頭頸部外科、病理診断科
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山王病院 皮膚科部長
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帝京大学医学部附属病院 皮膚科 准教授
内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、ペインクリニック科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、肝胆膵外科、内分泌外科、総合診療科、病理診断科
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帝京大学 医学部 皮膚科学講座 主任教授
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東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座 主任教授
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