
生理痛(月経痛)が以前に比べてひどくなったと感じる場合、主にストレスや血行不良、運動不足など生活習慣に関連するものが原因として考えられますが、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などの婦人科系疾患が原因となっている可能性もあります。病気が原因の場合は治療が必要となるケースがあるため、放置することは危険だと考えられます。そのため、気になる症状がある場合は我慢せずに医師に相談するようにしましょう。
本記事では、生理痛がひどくなったと感じる場合の原因や対処法について解説します。
以前に比べて生理痛がひどくなったと感じる場合、月経困難症である可能性があります。月経困難症とは、生活に支障をきたすほどの生理痛、生理時に起こる病的症状のことで、日本には800万人以上の患者がいると推定されています。
月経困難症の症状は下腹部痛以外にも、腰痛、頭痛、悪心、嘔吐、食欲不振、イライラなど多岐にわたります。原因はさまざまですが、病気が原因のものを“器質性月経困難症”、病気がなくストレスや運動不足、ホルモンなどが影響していると考えられるものを“機能性月経困難症”と分類します。月経困難症患者の多くは、機能性月経困難症であるといわれています。
以前に比べて生理痛がひどくなったと感じる場合には、ホルモンバランスの乱れや血行不良、ストレスなどによって生じていることが考えられます。このような、原因が病気でないものを機能性月経困難症と呼びます。
この場合は原因に合わせて対策を行うことも大切ですが、痛みは我慢せずに鎮痛薬を服用しても問題ないといわれています。鎮痛薬には市販されているものもあり、選ぶ際は痛みの原因となるホルモン(プロスタグランディン)を阻害できる薬(プロスタグランディン合成阻止薬)がよいとされています。なお、市販薬にはさまざまな種類があるため、購入前は薬剤師に相談するようにしましょう。
また、鎮痛薬は早めの服用(できれば痛みが始まる前)を心がけることで少量で作用するといわれてます。ただし、鎮痛薬が効かない、対策を行っても痛みが治まらない、生活に支障をきたすほど痛みが強いといった場合には、我慢せずに婦人科の受診を検討するとよいでしょう。
以下では、原因と対処法を説明します。
生理痛にはプロスタグランジンというホルモンが関係しています。プロスタグランジンは、経血を体の外に排出するために子宮を収縮させるはたらきがある一方、生理痛の痛みのもとになるといわれ、過剰に分泌されることで生理痛が強くなることがあります。
これは過度なストレスや疲労などがホルモンや自律神経のバランスを乱してしまうことで、痛みを強めるとされています。そのため、ストレスや疲労の自覚がある場合は十分な休息を取る、ストレスや疲労を解消することを心がけるとよいでしょう。
体の冷えなどが原因で血行が悪くなると、痛みのもとになる前述のプロスタグランジンが骨盤で滞ってしまうため、生理痛を強くすることにつながるといわれています。
そのため、適度な運動や体を温めるなどして血行不良を改善すると、生理痛も緩和・改善されることがあります。特に生理が始まる1週間ほど前からジョギングやウォーキング、ヨガ、ストレッチなどの運動を行うとよいとされています。
生理痛がひどくなった場合、その原因が病気である可能性も考えられます。病気が原因の生理痛は器質性月経困難症と呼ばれ、原因となる病気には子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが挙げられます。
以下では、病気の特徴を説明します。
子宮内膜症とは、本来は子宮の中にある子宮内膜がほかの場所(子宮筋を除く)にできる病気のことをいいます。一方で子宮腺筋症は子宮内膜に似た組織が子宮筋の中にできる病気で、子宮筋腫は子宮筋層に発生する良性の腫瘍のことを指します。
生理痛がひどくなったこと以外に生理時以外の下腹部痛、排便痛、性交痛といった症状が見られる場合は上記のような婦人科系疾患の可能性も考えられます。特に子宮内膜症の場合、患者の約90%に生理痛がみられるというデータもあるので注意が必要です。
なお、これらの病気は不妊症や流産・早産の原因にもなり治療が必要な場合もあるため、婦人科の受診を検討するとよいでしょう。
生理痛がひどくなった場合、その原因が婦人科系疾患である可能性もあります。そのため、以前よりも急に生理痛がひどくなった、生理痛がどんどん強くなる、鎮痛薬が効かなくなった、生理(経血)の量が多いと感じる場合などには我慢せずに婦人科の受診を検討するとよいでしょう。
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