院長インタビュー

目指すのは地域から信頼され選ばれる病院――東邦大学医療センター大橋病院

目指すのは地域から信頼され選ばれる病院――東邦大学医療センター大橋病院
渡邉 学 先生

東邦大学医療センター 大橋病院 病院長

渡邉 学 先生

目次
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東京都目黒区にある東邦大学医療センター大橋病院は、区西南部を中心にしたエリアの地域医療を担う基幹病院です。

大学病院として高度で先進的な医療を提供するとともに、優秀な人材の育成に努める同院の役割や今後について、病院長の渡邉 学(わたなべ まなぶ)先生に伺いました。

外観(提供)
東邦大学医療センター大橋病院 外観

当院は1964年に東邦大学医学部付属大橋病院として開設されました。2018年6月には患者さんの療養環境を第一に考え“水と緑に囲まれた病院”をコンセプトにした新病院に生まれ変わっています。新病院に隣接する目黒川の遊歩道には多くの桜の木が植えられており、春になるとガラス張りの2階の外来から満開の桜を望むことができます。

桜

桜2
外来から見える桜

新病院は旧大橋病院と比較すると敷地面積が2.2倍、延床面積が1.3倍と大幅に増加しました。一方、総病床数を320床に減らしたことで1床あたりの床面積が1.7倍になり、入院環境が格段に改善されています。個室も充実しており、特別病棟の個室にはコンシェルジュも配置しています。

特別室
7階 特別室

当院は大学病院として高度かつ先進的な医療提供に注力するとともに、24時間体制で医師・看護師・技師が待機しており、内科・外科・脳神経外科・整形外科において、地域のニ次救急医療(入院や手術を要する患者への救急医療)を担っています。また、2019年4月から目黒区より要請を受けて夜間の小児初期救急診療を始め、目黒区医師会の小児科部会に所属する先生方の協力をいただきながら診療にあたっています。

循環器内科では早期診断・早期治療を基本とし、24時間・365日体制で専門の医師やスタッフが院内に待機しています。重篤な心臓病の患者さんを受け入れるCCU(冠動脈疾患管理室)やICU(集中治療室)も稼働しており、診療体制が充実しているところも当院の強みです。

また、心血管カテーテル・不整脈・画像診断・心臓超音波の4グループに分かれ、それぞれの専門領域において診療と研究を行っています。最新の治療法を積極的に取り入れており、たとえばカテーテルグループでは、TAVI(経皮的大動脈弁置換術・外科手術が困難な重度の大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)の患者さんに対する治療法)や心房中隔欠損の閉鎖術(先天性心疾患の患者さんに対する治療法)などを導入して良好な成績を収めています。

一方、心臓血管外科は冠動脈バイパス手術から弁膜症、大動脈手術など幅広い症例に対応しており、中でも虚血性心疾患狭心症心筋梗塞(しんきんこうそく)・梗塞後の合併症など)に対する外科治療には定評があります。2007年4月からは人工弁への置換が必要な大動脈弁疾患に対し、自己心膜で弁を形成する大動脈弁再建術(Ozaki手術)を行っています。同手術は当院の尾崎 重之教授が開発した手法で、自己心膜を使用することで血栓予防の抗凝固薬が不要になり、感染症に対する抵抗性が強いのが特徴です。この治療を希望して海外から患者さんが受診することもあり、注目度が高いことから世界中の医師や看護師が見学に訪れています。

ダビンチ
ダヴィンチXi

当院では2023年に手術支援ロボット“ダヴィンチXi”を導入しました。ダヴィンチは内視鏡カメラとアームを患者さんの体内に挿入し、術者が3Dで立体的に映し出される画像を見ながら遠隔操作で手術を行える機器です。当院では泌尿器科における前立腺の内視鏡手術を皮切りに、消化器外科(大腸、食道、胃)の手術でも積極的に用いています。最近では呼吸器外科における悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の手術、産婦人科系の手術にも対応しています。また、ダヴィンチは精緻な手術が可能で安全性も高いことから、当院では肝臓・膵臓・胆道の手術にも対応しています。

ダビンチ

ダヴィンチについては一般の方にも認知されるようになり、患者さんからロボット手術ができるかどうか聞かれることも増えました。当院には、同装置の術者認定資格者(certificate)*が複数在籍しておりますので、ご不明な点は遠慮なくお尋ねいただければと思います。

*da Vinci Console Surgeon認定

当院には脳卒中センター、脊柱脊椎(せきちゅうせきつい)センター、乳がんセンターの3つのセンターがあり、専門性の高い診療を提供しています。各診療科との連携が強固なのが特徴で、たとえば脊柱脊椎センターでは、脳神経外科と整形外科が協同して手術を行っています。

また、胆のう専門外来や物忘れ外来、パーキンソン外来、緑内障外来など多くの専門外来を開設しており、患者さんが受診しやすい環境を整備しています。専門性が高く、たとえば胆のう専門外来では、(へそ)だけに開けた小さな穴からカメラなどを挿入して胆のうを切除する内視鏡手術(単孔式腹腔鏡下胆のう摘出術)を実施しています。傷口が目立たない美容面で優れた手術として女性誌などで紹介されたこともあり、女性を中心に多くの方が来院されるようになりました。また、痛みが出てから早めの手術が推奨されている急性胆のう炎については、当院では受診から1日以内に手術を実施するなど、患者さんに合わせて医療を提供しています。

医療に関する情報を積極的に発信して、地域の皆さんの健康維持に貢献したいと考えています。ここ最近では、新型コロナウイルス感染症の影響で控えていた医学公開講座を再開しました。同講座は患者さんや市民の皆さんを対象に、当院1階の臨床講堂で開催しています。直近では、2025年1月に『私たちの体を守る免疫と攻撃する免疫』をテーマに、3月には『当院で行っているフットケア』をテーマに講演する予定です。

また、動画配信サイトを利用して、がん治療と仕事の両立支援セミナーも開催しています。がん患者さんとそのご家族に向けたセミナーで、皆さんの悩みを伺いながら、がん治療と仕事の両立に向けた課題・不安の解消につなげています。

そのほかでは、高校生・中学生を対象にしたブラックジャックセミナーも開催しています。このセミナーでは、実際の手術で使用している内視鏡手術機器や自動縫合器、超音波メスなどを使った手術実習などを体験してもらっています。こうした経験を通して、医師を目指してくれる学生さんが一人でも増えてくれるとうれしいですね。

当院は2024年に旧大橋病院の開設から60周年を迎え、2025年には学校法人東邦大学の開設から100周年という節目を迎えます。これを機に基本理念である“優しい心、親切な心のこもった医療の実践”に立ち返り、患者さんファーストの質の高いチーム医療を提供することを徹底したいと思います。

また、区西南部の基幹病院として、地域の医療機関と密に連携を取りながら地域医療を支えてまいりますので、今後ともご支援・ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

*写真提供……東邦大学医療センター大橋病院

*医師や提供している医療についての内容および本文中の数字は全て、2025年1月時点のものです。

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