連載難病・希少疾患患者に勇気を

難病の医療費助成、患者の半数が法改正   知らず―制度周知に課題

公開日

2024年04月18日

更新日

2024年04月18日

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2024年04月18日

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難病患者の医療費助成制度を一部変更した2022年の難病法と難病法施行令改正(2023年10月1日施行)について、患者の約半数、医師の約4分の1は認知していないことが、日本ベーリンガーインゲルハイム実施のアンケートで分かった。アンケートを監修した医師は「制度の周知に課題がある」などと指摘している。

医師の4分の1、法改正「見聞きしたことがない」

難病法と難病法施行令改正により、難病患者に対する医療費助成の開始時期が、従来の「申請日」から「重症化したと診断された日」に前倒しするよう変更された。

この変更について、医師の76%は認知していた一方、24%は「見聞きしたことがない」と回答した。一方、指定難病の患者では医療費助成制度の利用者、非利用者ともに半数以上が改正難病法の成立や助成開始時期の変更について「今まで見聞きしたことがなかった」としている。患者の認知度を詳細に見ていくと、法改正について▽「内容までは把握していないが、聞いたり見たりしたことがある」は制度利用者が29.0%、非利用者が36.3%▽「内容を把握している」は制度利用者が14.9%、非利用者8.1%▽「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」は制度利用者56.0%、非利用者55.6%――だった。

患者が制度自体やその変更を知る主な情報源は主治医がもっとも多く、制度利用者では70.5%、非利用者は35.1%が認知経路を主治医と回答した。

これに対し、医療費助成制度について「重症度にかかわらず指定難病の患者に紹介している」とした医師は26%にとどまり、「要件を満たす可能性がある患者に紹介する」が52%、「確実に要件を満たすと判断した患者に紹介する」が13%、「自分からは紹介しない」が9%だった。

指定難病の基準など見直し「知らない」患者が約7割

一部の指定難病については概要や診断基準などの見直しが進められ、2024年4月1日から適用が始まっている。こうした見直しについても「今まで見聞きしたことがなかった」と回答した患者がもっとも多く、制度利用者は70.5%、非利用者は67.6%と高い割合となった。一方医師は、見直しについて「内容までは把握していないが聞いたり見たりしたことがある」が40.5%でもっとも多かったものの、「今まで見たり聞いたりしたことがなかった」との回答も32.5%あった。

難病医療費助成制度を利用するうえでの課題としては、利用者は「制度変更に関する情報が入りにくい」が53.9%でもっとも多かったのに対し、非利用者では「制度が分かりにくい」が48.6%でもっとも多く、「相談先」「サポート」に対する課題感が強かった。

医師側から医療費助成申請時の改善ニーズについては▽助成対象の条件(重症度分類)の整備48.0%▽軽症者や医療費が高額でない患者への助成38.0%▽居住地(都道府県)による認定率のばらつきの解消35.0%▽患者の申請書類の種類・数の削減31.0%――など条件面が高かった(複数回答)。

調査を監修した札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座の千葉弘文教授は「難病法や難病医療費助成制度に関する情報の浸透度や制度利用の課題に関する調査は、これまであまり実施されていなかった。患者側にも医師側にも、十分制度内容や制度変更についての情報が届いておらず、制度の周知に課題があることが分かった。また、患者だけでなく、医師からも助成対象の条件の整備や、申請手続きの負担の軽減といった、利用面での改善を期待する声が多いことも、あらためて確認できた」とコメントした。

調査方法

患者調査は、20~79歳で調査対象*の指定難病に罹患していて、現在医療機関で治療を受けている人を対象に実施。医師調査は難病指定医・協力難病指定医で、最近1年間に調査対象の指定難病*で間質性肺疾患(間質性肺炎、肺線維症を含む)を伴う患者を診療していることを条件に実施した。調査はいずれもインターネット経由で行い、実施は2023年10月。有効回答数は患者500、医師200だった。

*全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など13疾患

調査結果の詳細はウェブサイトに掲載
 

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