心臓から肺へ血液を送る血管(肺動脈)の圧力が高くなる肺高血圧症の1つで、難病に指定されている「PAH(肺動脈性肺高血圧症)」をご存知でしょうか。PAHの問題は、病気の認知度が低く初期症状に特異性がなく、診断・治療までに長い時間がかかってしまうことです。そこで、1人でも多くの方にPAHを知ってもらうため、ヤンセンファーマは歌手の一青窈さんと協働で「6 minutes together」というプロジェクトを始動しました。その思いと背景とは――。2021年5月27日に市民公開講座「PAHバーチャルキャンプ」の内容をレポートします。
【プログラム】主催:ヤンセンファーマ株式会社
・PAHについて:田村雄一先生(国際医療福祉大学医学部循環器内科 教授)
・PAH患者さんのアンケート結果発表:土屋美寿々さん(ヤンセンファーマ広報)
・PAHとともに:重藤啓子さん(NPO法人肺高血圧症研究会 代表理事/声楽家)
・6 minutes togetherプロジェクト紹介:土屋美寿々さん(ヤンセンファーマ広報)
・歌に込めた想い:一青窈さん(歌手)
土屋美寿々さん
ヤンセンファーマは、歌手の一青窈さんと協働して「6 minutes together(シックスミニッツトゥギャザー)」というプロジェクトをスタートしました。PAHを1人でも多くの方に知っていただき、患者さん同士、患者さんと医療者・社会との前向きなつながりをつくるための疾患啓発活動です。世界各国の総勢40組のアーティストによる6分間の楽曲を集めた音楽プレイリスト*を作成しました。その中には、歌手の一青窈さんが書き下ろしてくださった「6分」というオリジナルソングが含まれています。
*本プレイリストは実際の6分間歩行検査中に聴くものではありません。
本プロジェクトの起点となった「6分間歩行検査*」は、PAHや慢性呼吸器疾患、心臓病などの患者さんが受ける検査の1つです。PAHの患者さんの中には6分間歩行検査を体力的・精神的につらいと感じる方もいらっしゃり、また、将来のことを心配しながら検査を受ける方も多いようです。
そのようななかで患者さんやご家族が少しでも前向きな気持ちになれるようなきっかけをつくりたいと考え、PAH患者さんの多くが経験されている6分間歩行検査と音楽を掛け合わせることにしました。音楽をきっかけに1人でも多くの方にPAHについて知っていただきたいという思いもあります。
*6分歩行検査はPAHの診断や経過観察で実施されますが、6分間歩行検査のみで病気が診断されることはない点にご留意ください。
一青窈さん
「1人でも多くの方にPAHを知ってほしい」という思いからプロジェクトに参加させていただきました。PAHの患者さんは私と同年代の方、女性の方が多いと聞いています。歌詞を書くにあたり、PAHについていろいろなお話を伺い、患者さんの毎日を想像しました。また、実際に患者さんとオンラインでお会いして、私なりにPAHと向き合って「6分」という歌を書きました。
歌の中に「朝貌」という言葉があり、これは桔梗の花を指します。開花前のつぼみは花びら同士がぴったりと重なり小さな緑の風船のような形をしていますが、だんだん青紫に変わり、開花すると星形になります。患者さんの一歩一歩が実を結び、明るい未来につながるように、1日の終わりに希望の星が輝くようなイメージで詩を書きました。
作曲は、「ハナミズキ」をつくったマシコタツロウさんです。彼とは2人でいろいろな曲を一緒につくってきました。このお話をいただいたとき、患者さんの思いに寄り添う伴走者は「彼しかいない」と思い、お願いしました。特に大サビ部分からの、視野が急激に広がるような疾走感のあるパートが胸を打ちます。私自身も歌いながらいつも涙が出そうになります。
PAHの患者さんには毎日さまざまなハードルがあると思います。途中で疲れて休んでしまうこともあるでしょう。「6分」というこの曲が、毎日頑張っている皆さんの心にそっと寄り添う歌になったらとてもうれしいです。
※6 minutes togetherプロジェクトについてはこちらをご覧ください。
※一青窈さんの「6分」はこちらで聴くことができます。
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