足の付け根のしこり:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
足の付け根にできるしこりの多くがリンパ節の腫れによるもので、リンパ節の腫れはなんらかの病気が原因で起こることがよくあります。
こういった症状があるとき、何が原因になっているのでしょうか。また、どのような場合に受診すべきなのでしょうか。
足の付け根にしこりがある場合、以下のような病気が考えられます。
足の付け根のしこりは、主にリンパ節の腫れによるものです。考えられる病気としては感染症や自己免疫疾患、腫瘍などがあります。
感染症が原因となるもので多いとされているのが、梅毒やクラミジア、HIVなどの性感染症です。いずれも感染から2~3週間後くらいに症状が現れることが多く、足の付け根以外の部位にも腫れが生じることがよくあります。
リンパ節の腫れ以外の症状としては、梅毒なら体全体の赤い発疹や発熱、体のだるさなど、クラミジアなら女性で下腹部痛や性交痛、排尿痛、男性で排尿痛や尿道のかゆみなどです。
HIVでは、発熱や頭痛、筋肉痛などインフルエンザに似た症状が現れることがあります。ただし、いずれも痛みなどの自覚症状が全く現れないことも少なくありません。
また、ネコやイヌなどの動物に足を噛まれたり、ひっかかれたりしてリンパ節が腫れることがあります。熱がでたり、痛みや赤みが出たりするようであれば、受診しましょう。
自己免疫疾患とは、本来ウイルスや細菌などを排除するためにはたらく免疫反応が、自分自身の細胞や臓器に対して攻撃をしてしまう病気の総称です。
足の付け根のリンパ節が腫れるものとして、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、若年性特発性関節炎、シェーグレン症候群などがあります。
リンパ節の腫れ以外に共通する症状は、発熱や体のだるさといった全身症状と関節痛です。全身性エリテマトーデスでは顔・手足の赤い皮疹、シェーグレン症候群では目・口・気道・皮膚の乾燥など、他と異なる症状が現れることがあります。
腫瘍によるものとしては、悪性リンパ腫などの血液中のリンパ球ががん化したものと、他の臓器などのがんが転移したものがあります。
いずれも足の付け根のリンパ節が腫れてしこりが生じ、次第に大きくなります。ほとんどの場合、しこりに触れても痛みはありません。しこりのほか、発熱や食欲低下、体重減少といった全身症状が現れる場合もあります。
しこりの大きさが2cmを超えるようであれば、悪性かどうか調べるために組織をとるなど検査をすることがあります。
リンパ節の腫れによるもの以外では、鼠径ヘルニアも原因のひとつに挙げられます。
鼠径ヘルニアとは、足の付け根にある筋肉の隙間から腸などの内臓が飛び出す病気のことで、特に男性に多いとされています。
内臓が飛び出すことで、足の付け根に柔らかい腫れやしこりのようなものが生じます。また、腫れやしこりが生じた部分に違和感や痛み、お腹に力を入れると突っ張るような感覚がでることもあります。
足の付け根にしこりがある場合、上で挙げたような病気の可能性が考えられます。しこりの大きさが1cm以下で痛みもなければ様子をみましょう。大きくなったり、痛みがでてきたり、熱などがでてくるようでしたら、一度病院を受診しましょう。
受診に適した診療科は、性感染症なら泌尿器科・婦人科、腫瘍によるものなら血液内科、鼠経ヘルニアなら外科など、病気によって異なります。
どれが適しているのか自分では判断が難しいことも多いため、まずはかかりやすい近くの内科やかかりつけの医療機関で相談してみるとよいでしょう。
受診の際には、しこりに痛みがあるか、どのくらいの期間続いているか、しこりの大きさの変化、他に何かしらの症状があれば、その旨を医師に伝えましょう。