インタビュー

子宮奇形とは? 女性の5%ほどにみられる病気

子宮奇形とは? 女性の5%ほどにみられる病気
堤 治 先生

山王病院(東京都) 名誉病院長

堤 治 先生

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この記事の最終更新は2014年12月13日です。

「子宮の形が正常と違う」と言われるととても驚かれると思います。医師になにを聞いていいかもわからないでしょうし、他の人にも相談しにくいでしょう。しかしこの「子宮奇形」は珍しいものではなく、また大半の方にとって治療は不要なのです。子宮奇形について、山王病院院長 堤治先生に伺いました。

子宮は胎児期の早い時期にミュラー管という2本の管が癒合して出来上がります。この癒合が上手くいかないことが子宮奇形の原因であると考えられています。

子宮奇形の分類
子宮奇形の分類

本来の子宮は左上の図のような形をしているのですが、子宮奇形ではその他の図のように子宮が2つに分かれていたり、違う形をしていたり、欠損したりするのです。

子宮奇形はあまり聞いたことのない病気かもしれませんが、決して稀なものではありません。女性の5%程度に見られるといわれています。膣もミュラー管から作られるため、子宮奇形と膣の奇形が合併することも稀ではありません。

症状が起こりにくく、他の理由で診察・検査を行っているときに偶然発見されることが多いです。子宮奇形が診断されるきっかけとしては以下の場合が挙げられます。

  • 婦人科検診をしている時に診断される
  • 強い月経痛などをうったえて受診した際に診断される
  • 妊娠が判明し、初期健診を受けた際に診断される
  • 不妊や習慣流産の原因検索をしている中で診断される

症状の強さや、手術治療の必要性に応じて下記の検査を行うことがあります。ただし、子宮奇形と診断される方の多くは、特にがん検診や妊婦健診で偶然指摘された方のほとんどは下記の検査は行っていません。

子宮奇形の検査としては、以下が挙げられます。

  • 子宮内部を調べるための「子宮鏡検査」や「子宮卵管造影検査」
  • 子宮の外観を調べるための超音波検査やMRI検査
  • より詳しく調べるための腹腔鏡検査

(子宮鏡検査とは、細いファイバースコープで子宮の中を見る検査です。子宮卵管造影検査とは、子宮の中に造影剤を入れて子宮の形や卵管の通過性をみる検査です。)

また、子宮奇形に腎臓や尿管の奇形が合併することがあります。そのため行うのが以下の検査です。

  • 超音波検査
  • 腎臓や尿管の造影検査

これらにより、腎臓や尿管の奇形がないかどうかをみます。

子宮奇形の治療は基本的に手術となります。ただ、子宮奇形であっても正常に妊娠・出産できることも多いので、必ずしも治療が必要になるわけではありません。少なくとも、妊婦健診で偶然指摘された方に手術が必要になることは稀です(ただし、子宮奇形があることで早産や難産のリスクは増加するため、通常より慎重な管理は必要とされます)。

手術治療は以下のような場合に考慮されます。

  1. 他に明らかな原因の無い不妊症の場合。
  2. 流産や早産を繰り返す双角子宮や中隔子宮の場合。
  3. 下腹部痛などの症状が子宮奇形と関係している場合。

双角子宮や中隔子宮というのは、子宮奇形の種類の1つで、子宮の形を表しています(前掲の図参照)。

子宮が2つにわかれているタイプです。子宮奇形の中でも最も多い種類の奇形で、不妊や流産の原因になることがあります。手術をすることが多いですが、双角子宮のままでも妊娠することもあります。双角子宮では2つの子宮を一つにまとめ合わせる手術がおこなわれます。従来は開腹手術で行われましたが、腹腔鏡で実施する施設もあります。入院は開腹では1週間、腹腔鏡なら3~4日程度です。

子宮の中がふたつに仕切られているタイプです。妊娠しても早期流産や早産を引き起こしやすくなります。中隔子宮では子宮鏡下に中隔を切除する手術が行われます。1~2日の入院が必要です。

不妊の原因が子宮奇形である場合、術後の妊娠成績は良好です。出産については双角子宮の修復後は帝王切開となりますが、中隔子宮の修復後は経膣分娩も可能となります。

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