インタビュー

なぜB型肝炎の予防接種が重要視されるのか?

なぜB型肝炎の予防接種が重要視されるのか?
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

B型肝炎」という疾患の名前を一度は耳にしたことがあるかと思います。B型肝炎が起きる原因や症状については「性感染症という視点から見た「B型肝炎」-ウイルスは性行為を通じて感染することも」で詳しくご説明させていただきましたので、今回はこのB型肝炎の予防接種についてご説明していきます。

感染を完全に防ぐことはできないものの、性感染症を予防するためにコンドームを使用することは非常に大きな意味があります。しかし、B型肝炎の原因となるB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)は感染性が強く 、また「キャリア」と呼ばれるHBV保持者の唾液や精液中には、ウイルスが存在することも確認されています。

もしあなたが、もしくはパートナーがキャリアで、すでに性交渉の経験があるならばHBs 抗体と呼ばれるHBVに対する抗体が体内にある可能性があります。もしキャリアであることがわかったら、まずは抗体の有無を検査してください。将来パートナーの方と結婚を考 えているのであれば、なおさらワクチンの接種をお勧めします。

CSW(Comercial sex worker:性産業従事者)など、複数との性交渉を行う可能性がある場合には、あらかじめワクチンを接種しておくというのも、B型肝炎を予防する手段のひとつといえるでしょう。

B型肝炎の予防にはHBワクチン(B型肝炎ワクチン)の使用が有用視されています。このワクチンは3回の接種されます。 また、キャリアの方の血液に触れる、性交渉の機会があったなど濃密な接触があった直後には 、「B型肝炎免疫グロブリン製剤」を併用するという選択をすることもあります。

HBVウイルスに感染する前であれば、B型肝炎ワクチンを受けるのは何歳の時でも意味がある行為だといえるでしょう。特に家庭内やパートナーなど、頻繁に接する機会がある方がキャリアであるときには、積極的な接種をお勧めします。

予防接種の費用ですが、現在では費用を補助しているのは一部の自治体のみで、補助がない場 合には希望者の全額負担というのが現状です。しかし早ければ、平成28年度中にはわが国では 定期接種として制度化される見込みです。

B型肝炎はHBVウイルスに感染しておこる状態の総称ですが、同時に日本性感染症学会の診断・治療ガイドラインに記載されている「性感染症」のひとつでもあります。

性感染症を予防するため「最初から最後までコンドームを使用する」「不特定多数とのセックスをしない」ということの重要性について、これまでにもお伝えしてきました。

B型肝炎の場合も同じです。もしあなたがキャリアであることが分かった場合、素直にパ ートナーに打ち明けてください。反対にあなたが打ち明けられたならば、勇気を出して打ち明けてくれたパートナーを受け入れてください。

B型肝炎ワクチンの必要性について。併せてこちらもご参照下さい。「B型肝炎ワクチン-予防接種のすすめ」

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