インタビュー

B型肝炎の給付金と助成金

B型肝炎の給付金と助成金
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

2011年に締結された基本合意により、裁判上の和解が成立しているB型肝炎の患者さんに対して法律に基づいた給付金が支払われることになりました。またB型肝炎の治療は、都道府県による助成金の対象となる場合があります。

今回はB型肝炎における給付金と助成金について詳しく見ていきます。

B型肝炎には一時的にB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)に感染して急性肝炎や劇症型肝炎を起こす「一過性感染」と、免疫機能に検知されないために体内にHBVを保有し続けている「持続感染」があります。

日本国内には110~140万人の持続感染者が存在すると推定されていますが、1948~1988年の40年間に予防接種もしくはツベルクリン反応検査時の注射器の連続使用が原因でHBVが体内に侵入、持続感染した方は、最大で40万人以上といわれています。

※B型肝炎の集団訴訟について。詳しくはこちらをご参照ください「B型肝炎の訴訟」

B型肝炎の給付金制度とは、集団予防接種が原因でHBVに感染した方と、その方から母子感染した方(相続人含む)を対象とした制度で、病態に応じた金額(50~3600万円)が支払われます。この給付を受けるには所定の要件を満たしているかを裁判所において確認する必要があります。そのため国家賠償請求訴訟を提起し、国との間で和解等を行わなければなりません。

2015年1月には国と原告が「基本合意書(その2)」を締結、合意がなされました。これは20年の除斥期間(行使をしないと法律上の権利が消滅する期間)が経過した軽度の肝硬変、重度の肝硬変、肝がん、死亡した方との和解のためのものです。

B型肝炎におけるインターフェロン治療、インターフェロンフリー治療ならびに核酸アナログ製剤治療の費用は、都道府県による医療費の助成対象となっています。この助成制度を使用すれば、ウイルス性肝炎の治療費を月額1~2万円までに軽減することが可能となります。

  • 医師による診断書
  • 世帯全員の住民税の年額を証明する書類
  • 世帯全体の住民票(写し)
  • 医療費助成の申請書(保健所に用意)
  • 健康保険証(写し)

医療費の助成を受けるためには、現在お住まいの都道府県が交付する「受給者証」が必要となります。この受給者証の交付には審査が必要になります。必要書類を最寄りの保健所に提出、各都道府県に設置されている認定員会によって審査が行われ、一定の条件を満たしていると認められると受給者証が交付されます。この審査書類の提出から受給者証の交付には1~2ヵ月かかることが多いです。

ここでご紹介したのはあくまでも一例です。お住まいの都道府県によって手続きが異なる場合もあるので、必要書類や手続きに関する詳細は最寄りの保健所等に確認してください。

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