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インタビュー

B型肝炎の感染経路-「一過性感染」と「持続感染」

B型肝炎の感染経路-「一過性感染」と「持続感染」
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

B型肝炎は肝臓の疾患のひとつです。しかしその一方で、B型肝炎を引き起こすB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)は性行為により感染することも多いため、日本性感染症学会が診断基準や治療方法を定めている「性感染症」という側面も持ち合わせています。引き続き尾上泰彦先生に、B型肝炎の感染経路について伺いました。

仮に感染したのが免疫系の発達した成人であれば、B型肝炎は一時的な感染症で終わることが多いです。症状としては、倦怠感や黄疸、赤褐色尿などが確認されることが多いです。この一過性感染を起こす原因には、以下のようなケースが考えられます。

日本国内における成人の急性B型肝炎は性行為等が感染経路のひとつと考えられるものの、実数や感染率などの正確な数字は明らかではありません。 HBVに感染しているか(もしくはかつて感染していたか)を示す血清マーカーは、配偶者などパートナーがH抗原キャリアである方の場合、優位的に高くなります。

また、セックスパートナーの数も大きな意味を持ちます。これはアリゾナで行われた調査結果となりますが、過去4ヵ月間に性交渉を行ったパートナーが5人未満の場合、HBVマーカーが陽性反応を示したのが6%だったのに対し、5人以上セックスパートナーがいた場合には21%の人が陽性反応を示しました。

特にHIVに感染している方の場合、HBVとの重複感染を確認することが多く、かつキャリア化する例も多いです。日本国内でのHIV感染例のうち6.4%がHBVのキャリアという調査結果がありますが、一般住民におけるHBVキャリアが約1%であることを踏まえると、この数字がいかに高いものかご理解いただけるかと思います。

1971年の段階で、HBs抗原を持つ「キャリア」との性行為が急性B型肝炎を引きおこす原因となることについては示唆されていました。その後ニューヨークで大規模なMSM(男性間性交渉者。Men who have sex with men)の疫学調査が行われ、そのなかでHBVが性行為によって感染するということが確認されたため、B型肝炎は性感染症としての側面を確立するに至りました。

この調査では、600人超のMSMのうち4.6%がHBs抗原をもつ「キャリア」であり、51.1%がHBs抗体陽性の反応を示していました。このような調査結果となった背景には、異性間性交渉と同様にセックスパートナーの数が最大の危険因子になったと考えられています。

B型肝炎を引き起こすHBVの感染経路には、性行為以外にも以下のようなケースが考えられます。

家族などの身近な人がキャリアである場合、カミソリや歯ブラシの共有などが感染原因となることは十分考えられます。

医療器具や入れ墨、ピアスの穴を開ける器具に十分な消毒がなされていないと、器具を通じて感染するおそれがあります。ほかにも注射器の回し打ちを行う際にキャリアの人がいると次の使用者に感染させる可能性があります。

もし体内にHBVが侵入したとしても、免疫機能が発達した成人であればB型肝炎は一過性に終わることが多いです。しかしある特定のケースにおいて、B型肝炎は慢性化することがあります。とくに3歳以下のお子さんがHBVに感染すると持続感染を起こしやすいといわれています。肝機能も正常で、特にこれといった症状もあらわれない「無症候キャリア」の方が多いです。

女性がキャリアである場合、産道出血により赤ちゃんをHBVに感染させてしまう可能性があります。

免疫医機能が低下している場合では、たとえ成人であっても慢性化することがあります。抗がん剤による治療を行っている、免疫抑制剤を使用している、AIDS(後天性免疫不全)の患者さんの場合特に注意が必要とされています。

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