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インタビュー

B型肝炎の訴訟

B型肝炎の訴訟
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

B型肝炎とはB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)が体内に侵入しておこる症状の総称です。HBVは血液や体液、とくにだ液や精液などにも存在していることが確認されています。成人の場合、性行為等は主な感染経路の一つと考えられています。このHBVは医療器具や注射針の使いまわしなどにより体内に侵入することもあります。

今回ご紹介するのは、わが国におけるB型肝炎の訴訟についてです。

予防接種法等により、1948年以降日本ではすべての国民・住民が予防接種を強制的に受けてきました。その際に注射器を連続して使用したことが原因でHBVに感染したと考えられる方は、国の推計で40数万人といわれています。

通常であれば、体内にウイルスや細菌が侵入しても免疫機能がこれらを異物として認識、体外へ排除します。しかし、この免疫機能が十分に働いていない方の体内にHBVが侵入すると、異物として認識することができないためウイルスを体内に保有した状態となってしまうことがあります(持続感染)。体内にウイルスを保有している状態の方を「キャリア」と呼びますが、このキャリアの方のうち約10%の方は慢性肝炎を発症し、肝硬変肝臓がんへと進行する可能性があるとわれています。

かつて行われた予防接種によりHBVに感染したと考えられる方々しsが、国を相手に法的責任に基づいて損害賠償等を求めたのが「全国B型肝炎訴訟」です。

最高裁判所はHBV感染と集団予防接種の因果関係を認め、国の責任を認める判決を下しました。これを受けて原告(この訴訟を起こした北海道の5名)は他の被害者にも同様の救 済措置を求めました。しかし国と厚生労働省はこの申し出を拒否したため、2008年以降全国10か所の地方裁判所で、各地の被害者が集団提訴を開始しました。

2010年5月から札幌地裁で和解協議が開始しました。これは全国の原告と今後提訴する方による原告団と国との間で行われ、2011年5月に札幌地裁による和解所見を原告と国の両者が受諾するすることを確認、6月に国からの正式な謝罪を受けたことにより、国・全国 原告団・全国弁護団間での基本合意が成立しました。

この基本合意に基づいて成立したのが「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(特措法)です。

2011年に締結された基本合意の主な内容は以下の通りです。

  1. 国は責任を認め、感染被害者と遺族に対して正式に謝罪すること
  2. 和解の手続きと内容に関する取り決め
  3. 後続訴訟について(2011年1月12日以降の訴訟に対する和解の取り決め)
  4. 和解に関するその他の留意事項(和解手続きは基本合意書に基づき、適正かつ迅速に進めるよう努める。また、国は和解の手続きや内容に関して、国民に広く周知を図る)
  5. 恒久対策等(肝炎患者が不当な偏見や差別を受けることなく安心して暮らせるようにするため、国は啓発・広報に努める。また、肝炎ウイルス検査の推進や肝炎医療に関連する研究の推進、 医療費の助成など、必要な施策を講ずるよう努める)

B型肝炎における提訴可能な方の認定要件は以下の通りです。

  1. B型肝炎ウイルスの持続感染をおこしている
  2. 満7歳までに集団予防接種を受けた(母子手帳や予防接種台帳その他の資料により、予防接種を受けていたことが立証できる )
  3. 集団予防接種時に注射器の連続使用が行われていた
  4. 母子感染ではない(母親がHBs抗原検査・HBc抗体検査で陰性など。または医学的知見から考えて母子感染と認められない)
  5. 感染原因が集団予防接種以外に無い
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