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インタビュー

逆流性食道炎の新しい治療法―ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは?

逆流性食道炎の新しい治療法―ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは?
樋口 和秀 先生

大阪医科大学三島南病院 院長補佐/消化器内科教授

樋口 和秀 先生

逆流性食道炎胃食道逆流症)の治療は基本的にプロトンポンプ阻害薬を代表とした薬物による治療が第一選択となりますが、近年、手術療法も発展を見せています。そのなかでも大阪医科大学が着目し、現在研究と試験を進めている治療法に、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)があります。ESDとはどのような方法なのでしょうか? この治療法は、逆流性食道炎においてどれほど効果を発揮しているのでしょうか? 大阪医科大学附属病院消化器内科教授の樋口和秀先生にお話頂きました。

技術がアメリカから入ってこなくなった現在、日本でできる技術にはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)があります。

ESDは患部周囲の粘膜を専用電気メスで切開したあと、粘膜の下層部分を少しずつ剥離して炎症部分を除去する方法で、もともと胃がん食道がんの手術に用いられていた手技です。逆流性食道炎に対しては、食道の下端部にESDを施すことで治療が可能です。また、治るときに必ず瘢痕収縮することもわかっています。このESDは確立された技法であり、消化器科医であれば誰もが知っている方法です。

 

海外のデバイスが使えなくなるのはある程度予測できることでした。それであれば日本でなにかをやりたいと考え、本来日本のどこでもできるESDに目を付けました。

食道の4分の1程度を2か所摘出し、正常部分を残します。そうすることによって食道運動を保った形で治療を終えます。ESDであれば、正常な粘膜を取るだけですから、非常にやりやすいです。しかし、ESDでの治療を保険適応しようとする場合、全国で大々的にこの治療成績を上げないといけなくなります。

通常の内視鏡下手術代と同じくらいと考えてください。臨床試験中ですので、自由診療ではないため、負担が莫大というわけでもありません。

一例だけ狭窄がありましたが、その他の方は合併症もなく軽快しています。

その他に考えられる合併症は普通のESDの合併症と同じ種類(術後出血、穿孔、狭窄、咽頭痛、発熱、嘔気など)です。ただしもともとがんではないため、患者さんに過度な負担がかからないよう、むやみに摘出はしない方向で手術を行います。そのため安全にできて、しかも成功率が高い手術といえます。

逆流性食道炎に対してESDによる治療を行っているのは、現在で大阪医科大学と昭和大学だけです。将来的に全国へ広めることを目標としていますが、今は臨床試験レベルの段階といえます。しかし希望者は多く、大阪医大のホームページを見たり、逆流性食道炎のワードを検索してESD治療に興味を持たれたりした患者さんが全国から問い合わせてきます。

ESDでECジャンクション部分が瘢痕収縮するため、胃から食道への逆流が治まります。ESDの治療の効果は非常に良いといえるでしょう。また、再発することは80%以上ないと考えられます。

逆流性食道炎に対するESD治療を2011年から始めてから、年2~3人の患者さんを執刀しています。これまでにESDを適応した患者さんは、合わせて15~20人くらい、昭和大学と併せて40~50人くらいの計算です。

逆流性食道炎の薬を飲んでも状態が良くならない患者さんが大阪医科大学や昭和大学に来れば、こういった内視鏡的な治療で治療をすることも不可能ではありません。

このESD治療を日本で広めていくためには、学会を挙げて動いていく必要があると思います。

逆流性食道炎は良性疾患とはいえ、その患者さんのQOL(生活の質)に影響する病気です。ですから、よりいい治療がこれからますます広まるべきではないでしょうか。

また、逆流の症状が強い方、つまり内視鏡で診たときには治癒状態であるにもかかわらず、症状だけがなかなか取れない方がいます。それは食道下端部の神経が過敏になっていることが原因だと考えられます。そのような方たちであっても、ESDではより深い神経の部分まで取ることができるため、食道の過敏性が抑えられます。つまり、ESDによる治療で神経過敏の症状も取ることができるということです。

ただし、プラセボ(偽の手術)と比較しないかぎり本当に痛みを発する神経に作用しているのか、精神的なものからくる痛みなのかがわかりません。これらの内視鏡治療は、プラセボ効果の証明が難しいとされます。それでも、精神的な面を含め効いているのは確かであり、相談に来る方も多々いらっしゃいます。

これからは様々なアウトリーチ活動によって普及活動をしていこうと考えていますが、現状はまだ発展途上です。しかし、今後は徐々に広まっていくでしょう。

 

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