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前立腺がんの検査ー図で解説する精密検査の方法。
前立腺がんは自覚症状がほとんどなく、1980年あたりまで発見が遅れてしまうことが多く、みつかったときにはすでに進行していることもしばしばありました。しかし、1990年代に血液検査による前立腺のP...
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前立腺がんの検査ー図で解説する精密検査の方法。

公開日 2017 年 12 月 25 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

前立腺がんの検査ー図で解説する精密検査の方法。
上島 成也 先生

独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター

上島 成也 先生

目次

前立腺がんは自覚症状がほとんどなく、1980年あたりまで発見が遅れてしまうことが多く、みつかったときにはすでに進行していることもしばしばありました。しかし、1990年代に血液検査による前立腺のPSA(前立腺特異抗原)検査が確立されたことにより、早期発見が可能になってきました。

今回はPSA検査や、前立腺がん診断までの流れについて国立病院機構大阪南医療センター中央診療科総括部長、緩和ケア推進室長の上島成也先生にお話を伺いました。

PSA(前立腺特異抗原)とは?

診断時、容態の検査ともに使用される

PSAとは前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)のことです。PSAは精液内に分泌されているタンパク質の一種であり、その一部は血液にも流れています。前立腺がんのPSA検査は血液採取によって行われ、血液中のPSAの濃度によって前立腺がんの可能性が高いか低いか、あるいは治療の効果がきちんと現れているかどうかを図ることができます。PSA検査が確立してからは、より早期に前立腺がんを発見できるようになりました。治療効果と並行して数値が動くため、再発・再燃時の診断の基準ともなります。

しかしPSAはがん特有の数値ではなく、炎症や肥大症の影響、あるいは自転車やバイクに乗るなどの刺激でも数値が動くことがあります。更にPSAの値がそう高くない場合でも前立腺がんに罹患するケースもあります。ですから、この数値を絶対とせず、1つの指標として取り扱うことが大切です。

PSA値が高いほど、前立腺がんの可能性も高い

PSA検査はその値が高くなればなるほど、前立腺がんの発見される確率が高くなります。その数値は健康な方の場合には2ng/ml程度といわれています。以後、4ng/ml〜10ng/ml未満がグレーゾーンといわれ25〜30%の確率で前立腺がんに罹患している可能性があり、10ng/ml以上が50〜80%、100ng/ml以上ではがんの進行や転移が大いに疑われるといわれています。

その一方、PSAの値が4ng/mlを超えない方でも、前立腺がんに罹患している方もいらっしゃいますので、PSA数値だけを鵜呑みにせず慎重に診断することが大切です。

図で解説 前立腺がんの検査について

PSA検査などで数値が高い場合や自覚症状があり前立腺がんが疑われた場合、まずは精密検査が行われます。前立腺がんの精密検査では下記のようなことが調べられます。

<前立腺がんの精密検査>

  • PSAの再検査
  • 直腸診
  • 超音波検査

直腸診とは

前立腺の触診は直腸診といって、医師が肛門に指を挿入して実際に前立腺の腫れ、硬さなどを確かめます。直腸診は患者さんにとってやや抵抗のある検査かもしれませんが、前立腺がん診断の上で非常に大切な検査です。特に硬さの判別は非常に重要で、人の骨のように硬い場合には前立腺がん、少し弾力のある硬さの場合には前立腺肥大症と診断されます。

前立腺

精密検査で所見があれば前立腺針生検

上記の精密検査でがんの疑いが高いと判断された場合に行われるのが前立腺針生検法と呼ばれる検査です。この検査は前立腺がんの確定診断をするために行われます。肛門から針生検の器具を挿入して前立腺の組織を採取し、その組織を顕微鏡で拡大してみることによってがんの有無、悪性度、進行状態を把握します。

前立腺

前立腺生検によってがんが確定したら、臨床病期を診断するためにより詳しい検査を行います。まずはCT検査によって臓器、リンパ節への転移がないかどうかを調べます。次に転移の多い骨の状態を調べるために骨のシンチグラムを撮影し、総合的な状態でがんの病期分類を行います。

前立腺がんの診断には触診が基本

医師

記事1『65歳以上の男性に多い前立腺がんとは?症状、原因について』で述べたように前立腺がんの病態、進行度合いを図るためにはTNM分類という分類方法が用いられます。この分類は元来欧米で発展した分類方法で、特に大きさについての判断は医師の触診によって行われるため、腫瘍のサイズが小さかったり、わかりにくかったりすると正確に判断できないこともあります。

そのため日本では補助診断としてMRIを用いた検査も行います。この検査は大阪南医療センターの場合、前立腺生検の前に行います。その理由は生検の際に組織を採取することで出血が起き、MRIの画像がうまく撮影できないことがあるからです。治療計画を立てるにあたってTNM分類による診断と、MRIによる診断はそれぞれ行われる意味合いが異なるということを留意しておかなければなりません。

PSA確立前の前立腺がん

早期発見がほとんどなかった

前立腺がんは自覚症状がほとんどなく、たとえ排尿障害が見受けられたとしても自覚するまでに時間がかかることもあり、1980年代辺りまでそのほとんどが進行がんの状態で発見されていました。進行した前立腺がんでは、骨転移等による骨痛、尿道に浸潤することによる血尿などがあらわれることがあり、そうした症状がきっかけで発覚することがほとんどでした。

そのため最初から泌尿器科を受診される患者さんは少なく、整形外科や内科など別の診療科から紹介されて泌尿器科を受診される患者さんがほとんどでした。現在でもそのような経緯で当科を受診される患者さんは少数ですがいらっしゃいます。

違和感を覚えている方は泌尿器科へ

上島成也先生

「泌尿器科には恥ずかしくて受診しにくい」と考える患者さんもいらっしゃいますが、私は気になる症状のある方には是非勇気を持って泌尿器科を受診していただきたいと思っています。前立腺がんは早期に発見できれば治療方法を選択することもでき、根治が十分に見込めるケースも多々あります。

大阪南医療センターが位置する河内長野市周辺では、患者さんが前立腺がんの検査をきちんと行い、早期にがんを発見できるような環境を作るため、周辺の内科、泌尿器科の開業医の先生と患者さんのPSA数値を共有する「PSA連携パス」というものを作成しています。患者さんのかかりつけの病院でPSA検査に気になる所見が見受けられた場合には、その数値を元に当院にてより詳しい検査(精密検査、前立腺針生検等)を行うことができるようにしています。

現在は多くの地域の泌尿器科、内科の医師が前立腺がんの早期発見を目指し、さまざまな取り組みを行っています。気になる症状があった際には是非勇気を持ってお近くの泌尿器科を受診してみてください。
 

1985年帝京大学医学部卒業。2014年より独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センターへ赴任。泌尿器科科長の他、中央診療科総括部長、緩和ケア推進室長も併任。

「前立腺がん」についての相談が8件あります

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