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第57回日本癌治療学会学術集会 会長企画シンポジウム16“希少がん診療の現状と課題”

第57回日本癌治療学会学術集会 会長企画シンポジウム16“希少がん診療の現状と課題”
吉田 和弘 先生

岐阜大学大学院腫瘍制御学講座腫瘍外科学分野 教授

吉田 和弘 先生

北川 雄光 先生

慶應義塾 常任理事、慶應義塾大学医学部 外科学 教授、国立がん研究センター 理事(がん対策担当...

北川 雄光 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年12月11日です。

2019年10月24日(木)〜10月26日(土)の3日間にわたり、福岡国際会議場・福岡サンパレス・マリンメッセ福岡にて、第57回日本癌治療学会学術集会(以下、本学術集会)が開催されました。本学術集会では、“社会と医療のニーズに応える−TACKLING THE NEEDS OF SOCIETY AND MEDICINE−”をテーマに、多数の講演やシンポジウムが行われ、明日のがん治療について、活発な学術的議論が繰り広げられました。

本記事では、3日目に福岡国際会議場にて行われた【希少がん診療の現状と課題】の概要をお届けします。

司会:

石岡千加史先生(東北大学病院 腫瘍内科)

北川雄光先生(慶應義塾大学 外科)

会長企画シンポジウム16では、初めに大会長の吉田和宏先生よりご挨拶があり、その後“希少がん診療の現状と課題”をテーマに、4名の演者による講演が行われました。

大会長 吉田和弘先生からのご挨拶

「患者さんが満足してこそ、医療発展の意義があるでしょう。しかし、希少がんの診療については、まだ手が行き届いていない部分がある。厚生労働省のがん対策推進基本計画でも、希少がんは患者本位のがん医療の充実が課題として挙げられています。私たちは今、グローバルに希少がんの診療を考えていく必要があるのです。これからは、当学会だけでなく他学会とも力を合わせ、希少がん診療に取り組んでまいります。当シンポジウムの計画と実行にご協力くださった眞島さんに、心から感謝申し上げます」

眞島喜幸さんによる講演

はじめに、眞島喜幸さん(日本希少がん患者会ネットワーク)より、“患者参画の希少がん薬剤開発および国際標準治療へのアクセスを目指して”と題した講演が行われました。

眞島さんは、希少がんには200種類ほどありますが、それぞれの患者数が少ないため研究が進みにくく、新薬の開発も大幅に遅れている現状を説明しました。そして、この状況を改善するために世界で行われている“患者参加型”の活動について紹介し、日本におけるそのような活動の必要性を述べました。

佐藤淳子さんによる講演

続いて、佐藤淳子さん(医薬品医療機器総合機構 国際部)より、“革新的医療製品開発への患者参画”についてお話がありました。

佐藤さんは、医薬品開発の形は科学の進歩によって変化し、腫瘍学の分野では、臓器ごとの開発に加え、標的となる遺伝子ごとの開発が進んでいると話しました。一方で、日本における医薬品開発はまだまだ企業や医師主導である現状を説明したうえで、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、今後、医薬品開発に関して、患者の関与を強化したいと話しました。

白沢博満さんによる講演

続いて、白沢博満さん(MSD株式会社 研究開発部門)より、“希少がんを対象とした薬剤の開発と臨床情報収集における課題とグローバルな展望”と題した講演が行われました。

白沢さんは、生物医学研究の進展や新たなモダリティの発見、プレシジョンメディシンの活用などにより、腫瘍学の新薬開発が世界中で加速していると話しました。そして、スピードが早く、情報が散在しがちな分野では、大きな変化を最新の情報の集合知として希少がんの新薬開発にまで届けることが重要であると説明しました。

小川千登世先生による講演

最後に、小川千登世先生(国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)より、“希少がんにおける治療開発の現状と展望: 小児・AYAを例に”と題した講演が行われました。

小川先生は、希少がんは治療薬の市場規模が小さいことから新薬の開発が進みにくい現状があると説明し、小児やAYA世代(15歳から30歳前後の思春期・若年成人)のがん診療と新薬の開発に向けた取り組み、たとえば、国立がん研究センターにおける、希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進する産学共同プロジェクト“MASTER KEY project”などについて紹介しました。

このようにして、【希少がん診療の現状と課題】では、有意義な議論が繰り広げられ、会場は大きな拍手に包まれて終了しました。

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  • 慶應義塾 常任理事、慶應義塾大学医学部 外科学 教授、国立がん研究センター 理事(がん対策担当)兼任

    北川 雄光 先生

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