院長インタビュー

ロボット支援手術のトップランナー、東京国際大堀病院

ロボット支援手術のトップランナー、東京国際大堀病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

東京都三鷹市にある医療法人社団 實理会 東京国際大堀病院(以下、東京国際大堀病院)は、手術件数の約3割に手術支援ロボットを活用し、先進的な治療や患者さんのQOL (生活の質)向上に取り組んでいる病院です。2019年の開院以来、全国からの来院が途絶えず、泌尿器科や婦人科の疾患を中心に低侵襲(からだへの負担が少ない)な治療に取り組む同院の地域での役割や今後ついて、病院長である大堀(おおほり) (まこと)先生に伺いました。

私は38年間にわたり、前立腺がん治療やロボット支援手術の専門医として医療に携わってきました。そのような経歴から周囲に開業を勧められ、2019年に前身である医療法人社団医経会 武蔵野病院を継承し、当院を開設する運びとなりました。

当院は、私の専門分野でもある手術支援ロボットを活用した治療が強みで、患者さんの負担をできる限り抑えながら早期に日常生活に戻れるようサポートしています。

当院では前立腺がん治療などを行う泌尿器科をはじめ、専門分野に精通した医師が多数在籍しており、2020年には婦人科のロボット支援手術で日本有数の実績をもつ医師を招いてさらに体制を強化しました。おかげさまで開院してから患者さんの来院数が増え続け、近い将来、大規模な増床や消化器外科の新設などを予定しています。

当院のある三鷹市は東京都多摩地域の東部に位置し、“水と緑の公園都市”と呼ばれる美しい街です。当院では全国からの患者さんも多数いらっしゃいますが、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県からなる1都3県にお住まいの患者さんが大半です。当院は、より広範な医療ニーズに応えるため、グループ施設である東京八重洲クリニックや近隣のクリニックと連携して地域医療の役割を担っています。今後も都内のみならず、関東や全国の患者さんを幅広く受け入れていきたいと考えています。

ロボット
手術支援ロボット“ダビンチ”(東京国際大堀病院ご提供)

当院の手術支援ロボット“ダビンチ”による前立腺がん治療は、全国的に見ても非常に症例数が多いのではないかと自負しています。従来の手技による治療は出血も多く、術後に尿失禁や性機能障害が見られることもありましたが、手術支援ロボットを活用すれば出血を最小限に抑えられるうえに術後の経過も良好です。またロボット支援による手術は低侵襲のため、80歳以上の高齢の患者さんに対しても手術を行うことができます。

ロボット手術は費用面の負担が大きいと思われるかもしれませんが、2014年に前立腺がんに対する前立腺全摘除術の保険適用が認められ、その後も様々ながんに対して保険適用の範囲は拡大しています。手術支援ロボットの活用は、より正確に治療を行えるようになるだけではなく、患者さんの負担軽減や術後の経過を良好に保つなどメリットの多い治療法です。

当院では専門医による無料インターネット相談を行っており、患者さんからセカンドピニオンとしてご相談頂けるケースも多いです。かかりつけの病院がある場合でも、ぜひお気軽にご相談頂ければと思います。

近年、高齢化に伴う排尿障害の増加が問題視されています。例えば加齢により尿が出にくくなる前立腺肥大症のほか、尿失禁をもたらす過活動膀胱などがよくある疾患です。

こうした医療の課題に対して新たな治療方法が続々と誕生する中、当院も次々とエキスパートの医師を招いて医療体制を拡充しています。例えば排尿障害については、排尿障害センター長として陣頭指揮に立つ経験豊富な實重(さねしげ) (まなぶ)先生のほか、東京都リハビリテーション病院の泌尿器科部長を長く務められ排尿障害を専門とする鈴木(すずき) 康之(やすゆき)先生に外来をお任せしています。

高齢化社会の日本では、急にトイレに行きたくなったり、トイレに何回も行ってしまう過活動膀胱に1,000万人以上が悩まされていると言われます。40歳以降の女性の40%以上が経験するともいわれている尿失禁(尿漏れ)とも相まって、国を挙げた排尿障害への対策が急務です。過活動膀胱については原因をはっきり特定できないケースもありますが、尿失禁については有効な治療方法がありますので、当院としては積極的に患者さんを受け入れていきたいと考えています。

当院では、子宮筋腫など婦人科の疾患も積極的に治療しています。2020年には婦人科におけるロボット支援手術の第一人者である井坂(いさか) 惠一(けいいち)医師を招き入れ、対応できる医療の幅が一気に広がりました。

婦人科での手術支援ロボット、ダビンチ“Xi”は、子宮筋腫をはじめ、子宮頸がん子宮体がんなどに幅広く活用しています。また骨盤臓器脱に対する仙骨膣固定術のロボット支援手術が保険適用となり、治療を受けられる患者さんが増えています。

骨盤臓器脱は子宮、膀胱、直腸といった骨盤内の臓器が膣外に出てくる女性特有の病気で尿失禁・頻尿・排尿困難などの症状があります。その症状から、恥ずかしくて相談できないという話もよく聞きますが、健康で快適な日常生活のためにも一度受診されることをお勧めします。

当院のような比較的小規模な病院で、病理診断科を備えているのは珍しいかもしれません。病理診断科は、その名の通り病気の診断に特化した診療科で、治療方針をスピーディーかつ的確に決定するための重要な部門です。

当院ではがんや腫瘍などの摘出手術を数多く実施していますので、病理検体を院内で処理し迅速な病理診断を行えることや直接、病理医からカンファレンスで説明を受けられるのは、当院の強みとなっています。

当院は、導入している手術支援ロボット“ダヴィンチ”についての習熟度が認められ、製造メーカーから“ダビンチサージカルシステム症例見学施設”として認定されました。その知見を活かし、関東方面の泌尿器科や婦人科の医師を対象に、症例の見学会を開催しています。また豊富な実績から、日本泌尿器科学会からも泌尿器科専門医教育施設として認定されています。

当院では先進的な治療方法をいくつも取り入れていますので、患者さんのご協力のもと臨床研究も積極的に行っています。今後、ロボット手術の適用がさらに広がり、ほとんどの手術にロボットを活用する日がやって来ると思います。その際、我々が培ってきた医療技術や臨床データを日本全国で活用して頂けるよう、日々の医療活動に励んでいます。

大堀先生
(東京国際大堀病院ご提供)

当院のモットーは、“患者さんに寄り添う医療”です。ロボットの支援による手術という先進的な医療を提供していますが、テクノロジーに頼るのではなく、患者さんはもちろんですがご家族を含めたQOL向上を最優先に考えて治療方針を決定しています。

泌尿器科と婦人科のがんを対象にセカンドオピニオン外来を設置しているのも、患者さんにより良い選択肢を選んで頂きたいという想いからです。

近未来、当院は大幅に病床数を拡大し、手狭になった病院施設を一新したいと考えています。これからもロボット支援による先進的な医療を追求し、一人でも多くの患者さんの病気の完治とQOLを向上できるように努めて参ります。

実績のある医師をチェック

Icon unfold more