院長インタビュー

世界水準の医療技術で地域を支える京都府立医科大学附属病院

世界水準の医療技術で地域を支える京都府立医科大学附属病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]院長インタビュー

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京都市上京区にある京都府立医科大学附属病院は、明治初期から150年以上にわたって京都市やその周辺地域の医療を支えている伝統ある総合病院です。開院より一貫して“世界トップレベルの医療を地域へ”という理念を掲げ、37の診療部門(2024年現在)を持つ特定機能病院として医療を提供、がん診療、周産期医療、災害医療の拠点としても地域の中で重要な役割を担っています。

そんな同院の特長について、院長の佐和 貞治(さわ ていじ)先生にお話を伺いました。

当院は、前身である京都療病院として1872年に診療をスタートしました。当時最先端であった西洋医学を取り入れるため、全身麻酔器を世界に先駆けて開発したドイツ人医師・ヨンケルを初代外国人教師として招へいしました。“世界トップレベルの医療を地域へ”という理念は、当時の精神を引き継いだもので、2022年に150周年を迎えた今も、34の診療科をもつ総合病院としてその精神は続いています。

現在は、がん診療連携拠点病院をはじめ、周産期母子医療センターや災害拠点病院にも指定されており、地域連携においても重要な役割を担っています。

当院の立地は、東に鴨川の清流、西に緑豊かな京都御所を見渡せる恵まれた環境です。清らかな自然の中で患者さんは落ち着いて治療に専念し、医師や職員はいきいきと医療活動を行っています。

当院はロボット支援下手術を積極的に採用しており、“ダヴィンチ”2台に加えて2024年には“ヒノトリ”も導入し、泌尿器科を中心に医療体制を強化しています。ロボット支援下手術については適用範囲を徐々に拡大し、現在では、年間6,000例を目標に手術を行っています。

また、可動式CTの“O-arm(オーアーム)術中ナビゲーションシステム”を導入しており、脳神経外科や整形外科などの診療に活用しています。特に脊柱に関する疾患については、3D画像をもとにしたナビゲーションシステムによって、これまで以上に正確で、患者さんの体への負担が少ない低侵襲な手術を行えるようになりました。

循環器内科では、カテーテル治療を積極的に行っています。特に大動脈弁置換術や経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip)については、関西地区でも症例数が多いと自負しています。また、高齢者の大動脈弁狭窄症に対するTAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)も年間100例(2023年度実績)を越えており、これからさらに伸ばしていきたいと思っています。

消化器内科では、胃がん食道がんの治療を得意としています。胃がんの治療には低侵襲の腹腔鏡下手術を積極的に導入し、一部でロボット支援下手術も行っています。また食道がんについては、腹腔鏡と縦隔鏡による非開胸食道切除術式を独自に開発し、術後の合併症が予想されるハイリスク症例などに適用しています。食道がんの手術は年間60例(2023年度実績)ほどですが、非開胸食道切除術式による手術を一目見ようと他院から多くの先生が見学に来ています。

そのほか過去に全国ネットのテレビ番組にも取り上げられた小児心臓血管外科をはじめ、肺がんなどの診療を行う呼吸器内科や呼吸器外科にも専門性の高い医師がそろっています。

当院は2024年に救命救急センターの指定を受け、これまでの二次救急に加えて三次救急にも乗り出しました。救急医療において対応できる幅が広がったことで応需率(救急車の受け入れ率)も100%に近づき、地域の皆さんのお役に立てることができてうれしく思います。

日本では、心疾患や脳血管疾患などの死亡率はがんに匹敵するほど高く、心筋梗塞脳卒中など緊急を要する疾患への対策に迫られています。当院は、各科専門医の当直体制により年間約20,000名(2023年度実績)の患者さんに救急医療を提供し、これらの重篤な疾患に対応しています。

当院のような大学附属病院には高いレベルの医療を追求するという使命が課されていますが、その中で一人でも多くの患者さんを救い、救急医療の受け入れ体制をさらに拡充していきたいと考えています。

先方提供
京都ハウス完成イメージ(https://www.dmhcj.or.jp/news/7459/

私は、研修医時代からの長年の願いとして、ドナルド・マクドナルド・ハウスの運営に携わりたいと思っていました。ドナルド・マクドナルド・ハウスとは、病気のお子さんと、その治療に付き添うご家族が利用できる滞在施設で、小児がん拠点病院でもある当院にとって大変意義のある施設です。

当院は、小児医療を専門に行うこども医療センターを2021年に開設しており、遠方から多くの患者さんにご来院頂いています。遠方から通院や入院する場合、またお子さんが長期的に入院する場合でも、ドナルド・マクドナルド・ハウスを活用することにより、ご家族の精神面や体力面の負担を軽減できるようになると期待しています。

ドナルド・マクドナルド・ハウス京都は、当院と京都大学医学部附属病院の共同利用施設として2026年秋のオープンを目指しています。完成すれば、地域における小児医療の重要拠点としてこれまで以上に躍進できると考えています。

当院は、150年来の理念である“世界トップレベルの医療を地域へ”を掲げ、大学病院として先進医療にまい進しながら、引き続き京都府南部を中心とした地域医療に努めます。また、より質の高い医療を提供するため、医療体制のさらなる改革や医療人の教育を徹底します。

これからも当院はすべての患者さんのニーズに応えるべく、職員一丸となって日々の医療活動に励んで参ります。

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